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玄関から一歩踏み出しただけで足が重くなる。
『はぁ……今日も学校か』
特に嫌なことがあるわけじゃない。いじめられているわけでもないし、そこそこ話せる友達もいるが、なんとなく体が重い。
『行きたくない………』
でも行かないわけにはいかない。今月はもう2回サボっている。これ以上休むと出席日数が足りなくなる。単位が危うくなる。進学に響く。わかってはいる。わかってはいるのに。
『休むか……』
そうと決めたら足取りは軽い。いつもの散歩コース。学校とは逆方向だから知り合いに出くわす心配もない。
『……あれ?』
いつもの散歩コース。いつもの…散歩……
…ない。毎週お世話になっているコンビニがない。
かわりに妙に怪しい小屋のような建物がある。なんだこれは。
『「T氏の占い館」……?』
看板からして怪しすぎる。こんなところに占いの店なんてなかったはず。
でもちょっと気になる。こんな住宅街ど真ん中で占いの店なんてはやるのだろうか。
しばらく看板を眺めていると、中から人が出てきた。
『あっどうもー』
イケメン。まずはそう思った。
とにかくかっこいい顔立ちをしている。輪郭がきれいで、鼻筋がシュッとしていて、でも怖い感じはしない。こんなとこで占いとかやってる人だから変な布纏ってるとか、じゃらじゃらしたアクセサリーつけてるのかと思ったけど、全然普通の人。笑顔は胡散臭そうだけど。
『お兄さん、こんなとこに占いなんてって思ったでしょ』
図星だ。思った。
『実はね、うち出張で占いやってるんですよ。
この近くにパワースポットがあるって聞いてね。それでついでに』
はぁ。そうなんだ。
『お兄さん地元の…あぁ、六奏高校の子か
もしかしてサボり?』
サボり。その言葉が突き刺さる。間違いではないんだけれども。
おもわずうつむいたのを見て、お兄さんはちょっと笑った。
『…じゃあさ、ここで会えたのも何かの縁だし、俺の占い、受けていかない?』