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昨日、安音先輩が私に告白してきたことが気になって何も頭に入りやしない、とりあえず昨日の放課後は
「先輩、、時間をください、、」
「どれくらい?」
「10年ほど、、」
ひとまずつまらないギャグかなんかもわからない何かでやり過ごしたがあの後のことが全く頭に入ってこない私がその日晩ごはんを食べている時も
「あれ?いつの間に完食したんだろ?」
他にも私が寝ようとした時も先輩の言葉が頭をぐるぐる回ってもう何が何だかわからなくなって気づけば時計の秒針が11時を指していた。
そのせいで私は今めちゃくちゃ寝不足なのだ。
「磨製石器を使い定住をした時代を春花さん、」
「田沼意次、」
「それはもうちょっと後に勉強しますね。」
その瞬間まるでお笑い芸人のボケが入ったみたいに教室が笑いに包まれた。
その後も
「春花ちゃん!ちゃんと前見て!」
声の主の方を見ると同じく私と同じくクラスで浮いている方の子の大久保実(おおくぼみのり)さんが必死な形相で叫んでいた。
私が前を見るとそこには
「あっぶね!」
階段があって後ちょっとで転がり落ちるところだった。
まったく、、あの先輩のことを考えると何にも考えられなくなるそれはまるで
恋愛小説とか漫画の典型的なやつだ。
そんなことは頭から箒で履くように耳の中から出そうと思うけど、そう簡単にはいかない、
ノートの文字はミミズの運動会状態だし、授業中は思考が先輩一色になっているしで、もうはちゃめちゃだ。もう、諦めて私が帰る支度していると
「はーるかちゃーん!」
先輩が毎日のように小野小町が毎日きたら付き合うとか言ってた人みたいに毎日迎えにきやがる。
まぁ、その人は指定日数のあと1日で死んでしまったらしいけど、
あの、「はーるかちゃーん」と言う元気な声が頭の中でループしていて日常生活にも影響が出始めている。
本当に安音先輩に振り回されまくっている気がする、、、
(今日は!安音先輩が来る前に帰る!二度あることは!三度ある!)
とか、私は自分でもよくわかんないようなセリフを心の中で言いながら私は教室の外を右見て左見てもう一度右を見る横断歩道渡る時のやつを繰り返す。
「いないねー。」
そう思うと思わず安堵の息が漏れ私が教室からスキップで飛び出した瞬間。
「はーるーかちゃーん」
と、この学校全体に響くんじゃないかってくらい大声で安音先輩が私に飛びついてきた。
しわひとつない綺麗なYシャツ。
まっすぐな背筋。
落ち着いた歩幅。
生徒会役員。
やっぱり優等生の鏡みたいな人だ。
私とは正反対だ。
そして、今日も安音先輩が横でくっちゃべりながら帰路についた。
「春花ちゃんって仮面ライダー好きなんだよね、誰が一番好き?」
「スーパー戦隊とのコラボってのもあるから見 逃がせないよねー?」
「で、春花ちゃん?」
突然、安音先輩の声が不意に真面目になった。
「一昨日の告白の返事聞かせてもらってもいい?」
その言葉に私は下を向く。するとアスファルトの割れ目ばっか目に入ってくる。
「迷ってるのはわかるよ。でもね、春花ちゃん」
「私は、本気だから」
その言葉。
昨日から頭の中で無限ループしてるやつ。
(いや本気とか……私だよ?)
(根暗で陰キャで妄想女で動物と話すタイプだよ?)
(絶対…飽きちゃうって……)
もちろん口には出さない。
そんなこと言えるはずない。もし言ったら先輩がどんな顔するかわかったもんじゃないから。
安音先輩は、じっと待ってる。
まぁ、私みたいな人なら飽きると思うし、
だったら……
「……わかりました」
喉が勝手に動いた。
「つ、つきあってください……安音先輩……」
するとさっきまで岩みたいに固かった安音先輩の表情が一気に豆腐みたいに柔らかくなり
「やったー!!」
と子供みたいに楽しそうに跳ねている。
いやいや、私みたいな人、3日、いや2日。いや初日であこられてもおかしくないと思うだけどなぁ?
「春花ちゃん、私は本気だから?ちゃんと君のこと好きだから。」
安音先輩って、本当は人を見る目がないんじゃないかとも思うけど、
なんだろう、、胸から何か奇妙な感触がしてくる。
何かが生えてくるような感触がする。
それがなんなのかは知らない、知りたくない。そう思った。
「春花ちゃん、恋人同士って何をすればわかるかな?」
安音先輩の突然の質問に私は言葉が詰まる。
「春花ちゃん?」
安音先輩の声で、我に返る。
気づけば、立ち止まったまま、先輩のシャツのボタンだけを見つめていた。
「大丈夫?」
「……はい」
大丈夫じゃない、なんて言えるわけがない。
だって今、私の中で起きているこの変化が、
“好き”なのか、
“期待”なのか、
それともただの勘違いなのか、
自分でもまだ、わからないから。
安音先輩は、そんな私の沈黙を責めることもなく、
いつものように少しだけ笑って言った。
「ゆっくりでいいよ。春花ちゃんのペースで」
……ずるい。
そんなこと言われたら、
ますます逃げ場がなくなるじゃないですか。
でも、その「ずるさ」が、
嫌じゃないと思ってしまった時点で、
もう私は前と同じ場所には戻れないんだと思う。
この胸の奥で生え始めた何かは、
きっと、もう引っこ抜けない。
それが何なのか、
私はまだ知らない。
知らないままでいてほしい、とも思っている。
でも――
安音先輩の隣を歩いているこの時間だけは、
少しだけ、悪くないと思ってしまった。
「あ、春花ちゃん、」
「はい、何です?」
「今週末デートしよ。」
「はーい」
ん、、、?あ、、、直後私の脳内で警報が鳴り響いた。
流れで返事しちまったけど私は今、重大なことの返事を軽く済ませてしまったようだ。これは、、、借金の契約書を確認せず利子が10日で5割だと後から気づいたぐらい最悪なことだ。
「まぁ、でも、、」
横を見ると、安音先輩はご機嫌そうに歩いている。
さっきまでの真剣な顔が嘘みたいだ。
……この人、絶対確信犯だ。
でも、不思議と逃げ出したい気持ちは湧いてこない。
胸の奥で、さっき生え始めた“何か”が、
今度は小さく、くすぐったそうに揺れた。
……たぶん、これが。
安音先輩の“幸せ”ってもんなのかもしれない。
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いいねー!