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※注意
この作品はボーイズラブです。
政治的意図、戦争賛美表現の不在、また、実在する団体、事件、人物等については一切の関係がない事をご了承下さい
「なぁ、お前。日本の事好きなのか?」
喉を嚥下しかけていた焼きそばパンが、爆弾発言によりみるみるうちに迫り上がって来て、俺はむせた。
「ゲホッ、ガハッ!、」
「…あからさまアルね」
第一話『嚥下』
【午後1:10分 屋上】
未成年飲酒常習犯のロシア、ペラペラと煩いチャイナ。俺の大切な悪友どもだ。
そうだ。俺達は仲良く昼食を取っていた。こんな雲の峰の真中、屋上で。
彼方の積乱雲が霞んで見える。
「おいおいあからさまとはなんだあからさまとは」
「辞書ひけアル」
「そういう事じゃ無くてな」
焦って会話から読点が消失している俺を尻目に、ロシアは喋り出した。
「やっぱりな。薄々勘付いてたよ」
「はあ?」
それに同調する様にチャイナが話し出す。
「巷じゃお前が小日本を好きな事、専らの噂アルよ」
「どこだその巷ぶっ壊しに行ってやろうか?」
「お前が今いる所ね」
焦った。イタリアドイツ辺りになら兎も角、兄貴(クソ紅茶野郎)にまで噂が行っていたら俺はもうコーラ一気飲みして自殺する。
「ほれ、観念したなら早く白状するヨロシ」
「そんな事言われても…なぁ〜…」
「ほぉ、じゃあお前が隠れて撮ってる小日本の写真集を学校中にばら撒かれて良いって事アルよね?」
「なっ!?」
チャイナの背後、無言で俺のガラケーをポケットから出すロシア。
なんて事!!お前らグルだったんか!!というかそのスリの技術は何だよ!!
「おいお前ら!!大切な友の大切な初恋の果てに撮れた貴重な写真集なんだぞ!!もっと丁重に扱えよ!!」
「あ、コイツ今初恋って言ったアル」
「言ったな」
くっせーアルと吐き捨てるチャイナ。何時もみたいに黙って突っ立ってるけど口角から笑みが隠せていないロシア。
どうしよう、俺友達選びミスったかも。
「…そんなお前らは初恋とかしてねえのかよ」
「皆が皆お前みたいに甘酸っぱい青春脳の馬鹿な訳じゃ無いアルよ。勿論我も」
「俺は恋とかそういう感情は嫌いだ。親父のせいで痛い目見たからな」
「口を開けば罵倒と否定って…」
糞、今ここに少しでももっと真摯に恋愛相談に付き合ってくれる奴が居たら…なんて思ったが、そんな奴今の俺の友達にはいない事を思い出した。にゃぽんだったら一見真面目に向き合ってくれそうでは有るが、彼奴は中々のチクり魔だし、何より俺から恋慕を向けられている当事者の姉だ。悪い予感しかしないだろ。
「なあお前ら、少しばかりはまともに相談に付き合ってくれても良いんじゃないかー?」
「ん、その無様な涙面を引っ込めてくれれば聞いてやらん事も無いアルよ」
「右に同じく」
「何だよお前ら本当冷えなぁ〜…」
二人の辛辣な言葉掛けに少し傷つく事も有ったりする。コイツらは本当に躊躇が無い。でも、この変に気を遣わなくて良い緩い関係性が気に入ってる俺も居るのは事実だ。そんな事を考えながら、ズビズビ鼻を啜る。
「お、いつものハンサムフェイスに戻ったアルね」
「ぜってぇ思ってねえだろ」
「まさか?」
「それで、お前は何故、彼奴が好きなんアルか?」
チャイナが俺のガラケーチラつかせながら質問を問う。先にそれ返せよ。
「…そりゃあ…可愛いだろ。何時もニコニコしてて…華奢だし…」
「ありゃりゃ、美国は中々の面食いさんなんアルね〜」
「…別に…見た目だけじゃねぇもん…」
「お、見た目以外に何かあるのか」
恋愛の類を嫌いと言い放っていたロシアは、何故か俺の相談に興味津々だ。
ていうか有るに決まってんだろ馬鹿やろー。
「…この前…俺の落としたハンカチ…拾ってくれた…」
チャイナとロシアは同時に目を見開く。
「えぇ…ええ…!?それだけの事で!?」
「それだけの事だが?」
「天下の大警察様がこんな事で靡いてしまうなんて…地球のお先は真っ暗だな。」
「何勝手に真っ暗にしてんだよ」
「というか我もお前の落とした消しゴム拾ってあげた事三回は有ると思うんだが?その理論なら真っ先に我好きになって無いと可笑しいアルよね?」
「なんだそのアヒルの刷り込みみたいな理論。お前が拾った後の消しゴム絶対落書き付いてるから嫌なんだわ」
「そんなの詭弁じゃ無いアルか!」
あーだこーだ言うチャイナを横目に、ロシアがうっすら手を挙げていた。
「アメリカ先生、それじゃあ貴方は」
「待て待て、先生ってなんだ」
「絶対だ設定。こういうの決めた方が、話にのめり込み易くなる気がしないか?」
「す、するかしないかで言えばする…」
相変わらず妙に説得力のある奴だ、ロシア…
「こほん。アメリカ先生、それじゃ貴方はもしも日本さんのハートを無事撃墜する事が出来たとして、何がしたいんですか」
「ふっ…あの高嶺の花が俺みたいなチンピラに靡く所なんて滅多に想像できないがな…」
「もしも、の話です」
「そっ、そうだなぁ…イチャ…イチャイチャしたいな。うん」
「それって具体的にどう言う事で?」
「そ、そりゃぁ…ハグとか…キスとか…手繋ぐとか…」
「セックスは?セックスはしないんですか?」
「ロシア!?」
俺、アメリカは大変動揺した。何だコイツ!?何故急にぶっ込んで来やがったんだ!?
「…そりゃしたいけどさ…そんな生々しい…」
「万が一、出来たとしたら、です。先生は突っ込みたいんですか?突っ込まれたいんですか?」
「…突っ込まれたい…です…」
ロシアは一瞬瞳孔を小さくしたと思うと、非常に楽しそうなツラで振り返った。
「聞いたかキタイ!!突っ込まれたいだってさ!!」
ロシアの一言により、チャイナはさっきまでうんうん唸ってたのが嘘みたいに馬鹿笑いし始めた。
「ぶははははは!!ひー、涙止まらんアル!!!!あはひひひひひ!!」
「邪悪な笑い方辞めろ…何が面白いんだよ…」
「ふー、スマンアルねぇ。お前プライドの塊だからどうせ突っ込みたいとか言うのかと」
「ナチュラル失礼な奴ら…コレもういじめだろ…」
「いやいや、我もエールオスーも否定はしてないアルよ。多様性多様性。ふひ。」
喉をクツクツ鳴らしながらチャイナが答える。説得力がまるで無い。
「それじゃ、お前の趣味嗜好も存分に分かった事だし」
「優しい我から一つアドバイスアル」
「一つ、相手の事を振り向かせたいのなら、自分が相手から振り向いて良いと思われる様な相手にならなきゃ行けないヨロシ」
「…それって、結構当たり前の事では?」
「相変わらずおたんこなすアルねぇ。皆当たり前の事が、一番分からなかったりするんアルよ」
「馬鹿にしてんのか?」
「恐らく」
難解な会話。国同士だから出来る高度な会話を交わした直ぐ後に、チャイナは食べ掛けの肉まんとピロシキを持ち、後ろ手を振って、下へ降りていった。
ロシアはもっと早く降りて行ったのだろう。
一人、あの子の事をぐるぐる考える。次第に頬が熱くなって、鼓動が煩わしくなって来た。やはりコレが恋なのだろう。
素晴らしくて、何だか少し切ない感じ。
遠くの万緑を見つめると、蝉時雨が大きくなった気がした。
これ以上見つめるのは辞めておく。彼と見る、その時の為に、今はもう少し取っておこう。
ジャンパーのポケットを漁る。
ん?ガラケーが無い…
「…あの野郎………」
アメリカ
男 高校一年生 187センチ
日本に恋する一般大男。クラスでは常に中心に位置しており、カリスマ性と圧倒的な判断力で、学年を束ねている(多分)。学級委員に入らないかとお誘いが来るのを待っていたが、結局来なかった。
ロシア
男 高校一年生 197センチ
アメリカの悪友。高一にしては有り得ないくらい体躯がデカい。これも国の特権。未成年にして飲酒と葉巻をこよなく愛しており、既に三回先生に指導されている。それでも懲りない。
中国
男 高校一年生 183センチ
アメリカの悪友2。自分の事を「我」と呼称したり、語尾に「アル」等を付けたり、厨二病疑いが出ている。本人曰く、生来の物。自国のパンダより和歌山のパンダの方がフワフワなのを認めていない。
日本
男 高校一年生 175センチ
アメリカの初恋相手。物腰柔らかい。意外と肉食男子。
にゃぽん
女 高校三年生 177センチ
日本のお姉ちゃん。アメリカからの信頼が割と薄い。
嚥下 終
コメント
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あっ… 文才も…あるんですね… 神か…? 最後のにゃぽんの信頼が薄いで笑ってしまった…