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猫のような僕の恋人   [完]

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猫のような僕の恋人 [完]

7 - 第7話 終わり

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2022年08月28日

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6年目の記念日。

昨日は残業して来るから帰れないと連絡があったが記念日の日は早めに帰ると言われた。

いつものように仕事帰りにコンビニに寄って帰る。そして玄関を開けると春千夜くんが抱きついてくる。はずだった。

急に仕事が入ったのかと思って連絡が入っているか確認したけれど何も無かった。もしかして何かわざわざ買いに行ってるとかかな?なんて考えながらいつ帰るのかと連絡をいれてリビングに座って待っていた。春千夜くんは大抵遅くても10分くらいで返信が帰ってくる。明らかにおかしい。そろそろ1時間が経つ。さすがに心配になってきた。でも家に居なかったら春千夜くん悲しむだろうと思いとりあえず置き手紙に

「見たら連絡ください」

と書いて外に飛び出した。

太陽は沈んでいて街灯がなかったら周りが見えないほどだった。自分の息切れしている音しか聞こえない静かな商店街を抜けていった。手当り次第向かった。沢山走った。だけどどこにも居なかった。どうしようと慌てている時に自分のケータイが鳴った。着信を見ると春千夜くんからだった。俺は急いで電話に出た。

武道「もしもし!今どこにいるの?」

返事をした声は春千夜くんではなかった。その人は春千夜くんの同僚だと言った。ある場所に来てくださいといわれその場所に急いで向かった。向かった先には大きな建物だった。俺には無縁な場所だから少し怖気ずいたけれど春千夜くんに何があったのか知りたかった俺はインターホンを鳴らした。するとさっきの電話の声の人が出てきた。その人について行くと会議室に連れてこられた。見た目は少し派手な人も居たが春千夜くんの姿はなかった。連れてこられると電話の人は部屋から出てってしまった。無言の空間が少し続いた。目の下に隅がある白髪の男の人が口を開いた。

「お前は三途のなんだ?」

そう聞かれた。俺は恋人だとはっきり答えた。すると紫色と髪の2人が

「あー、あのいつも自慢してくる奴か」

と言った。一体なんの話しをしているのか分からず聞いてしまった。

「春千夜くんはどこなんですか…?」

空気が一瞬にして重たくなった。右眉から大きな傷がある男の人が俺に近ずいてきた。よく見ると目元は泣いた跡のように赤くなっていた。

「春千夜は死んだ」

そう言われた。白髪の男の人は近ずいてきてなぜか謝ってきた。どういうことか分からなかった。でもその場に居た全員の目は嘘を言っているようには見えなかった。頭が真っ白になって、視界が滲んでいった。信じられなかった。

武道「嘘だ…どこなんですか…春千夜くんは!何処ですか!」

俺は大きい声でいった。するとおでこに傷がある男の人が「着いてこい」と言ってきた。部屋を出て後をついて行くと、ある部屋に着いた。扉を開けた先には明らかに力が入ってない横になっている春千夜くんが居た。急いで駆け寄った。手をとったけれどいつもの暖かい体温は残っていなかった。名前を呼んでも返事なんて帰ってこなかった。しばらく泣き続けた。少し収まった頃に手紙を渡された。


武道へ

これを読んでるってことは俺は多分死んでるんだよな。

俺、実は反社なんだ。言ったら俺の仕事場に乗り込んで来そうだから言わなかった。

こんな仕事しててごめんな。許してくれるわけないよな。本当はずっと武道と居たかった。嘘じゃない。







もしさ、来世で本当にあるとしたらまた俺と付き合ってくれよ。次は絶対にずっと一緒に居よう。悲しませない。幸せにする。だから待ってて。

武道。愛してる。



こんな手紙渡されたらもっと泣いちゃうじゃん。来世なんて待てないよ。春千夜くんの馬鹿。許さない。絶対許してあげない。俺を1人にするなんて。あの家で1人は寂しいよ。この先どうやって生きてけばいいの。そう考えて手紙にひとつまたひとつと涙を落とした。手紙がどんどん滲んでいく。手で持っている部分は力がはいり少しだけしわがついてしまった。悔しかった。俺は春千夜くんのことをそんなに知らなかったんだから。今更言ったって仕方がないことだってわかってる。わかってたけど、すごく悔しくて辛かった。君の死は俺の心に大きな穴があいたみたいだった。春千夜くんしか今追いかけてこなかった。器用になんでもこなせて、でも俺の事になると少しだけ不器用で、ツンデレで。俺のことが大好きな春千夜くん。本当に馬鹿だよ。出会わなければ良かった。こんな好きで辛くなるなら出会いたくなかった。もうさよならなんて早すぎるよ。心の準備もまだ出来てないのに。不意に消えていかないでよ。

死に際になると消える。

君は本当に猫みたいだね。

俺も春千夜くんのこと愛してるよ。

これからもずっと。







終わり。

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