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前日。
午後の柔らかい光が差し込むペットショップ。
レゼは,棚に並ぶ様々な色をした首輪を,真剣な目つきで眺めていた。
そこで手に取ったのは,耐久性に優れていて,なおかつ肌当たりの良さそうな犬用の首輪。
「……うん、これなら…」
会計時。
にこやかに対応をしてくれる店員。ふと、こんな言葉が飛んできた。
「失礼ですが、どんなワンちゃんを飼われているんですか?」
「大型犬ですよ。とってもお利口で、可愛いんです」
レゼは一切の迷いもなくそう口にした。店員は「まあ、そうなんですね!懐かれていらっしゃるんですね!」と,すっかり目の前の少女と大型犬が戯れる生活を想像している様子。
「はい、しっかり『待て』もできるし、『鳴いちゃダメ』って言ったら鳴き止んでくれるんです」
「えら〜い!賢い子なんですね」
「…でも、我慢できずに鳴いちゃう所も、また可愛くって」
レゼの口角が,徐々に上がっていく。
「あはは、分かります!我慢しきれないのも甘えん坊な証拠ですよね。これからも、沢山可愛がってあげてくださいね!」
店員はそう言って,明るく送り出そうとした。
しかし,その瞬間だけレゼの周りの空気感が,ふわりと変わった。
「——–はい。壊れない程度に、可愛がってあげます」
その『壊れない程度に』という言葉の意味を店員が理解するまでに,レゼはまた無邪気そうな笑みを浮かべて「ありがとうございました!」と店を後にしていた。
——翌日の夜。
まさに店員に言った通りに,レゼはデンジを『壊れない程度に』可愛がり倒していた。
鎖を引く度に鳴る革の軋み。
店員が想像した大型犬よりも,ずっと必死で,ずっと淫らに,デンジは無様に,そして幸せそうに果てていく。
「ねぇ、デンジ君。……この首輪買った時さ、店員さんも『沢山可愛がってあげて』って言ってたよ?」
「……だから、もう遠慮しないね。…苦しくて死んじゃいそうでも、何回でも私が治してあげるから。…ほら、もう一回。『わん』は?」
そう言って,デンジを可愛がり続けていくレゼ。
この時間は,翌日の朝になって疲れて眠りにつくまで,終わりそうになかった。