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「なんでこばやしは“女の子”のふくきてんの?“男の子”なんだから、ずぼんはけよ!」

「だ、だってわたし、“女の子”だもん!おかあさんも、“女の子”って言ってたもん!」


幼稚園の時からそうだった。

“男の子”のくせに、可愛いって言われる方が好きだった。

可愛い女の子より、カッコいい男の子の方が“好き”だった。


母は、そんな僕に気を使っていたのか、僕を心“くん”ではなく、心“ちゃん”と呼んでくれた。

幼稚園の時の同級生からは、からかわれたりすることもあった。

けど、皆純粋だったから、悪意は無かったんだと思う。


小学校に入学しても、僕は“男の子”ではなく、“女の子”として振る舞った。

毎年、先生が必ず同級生に僕のことについて言ってくれるから、みんな、僕に何も言わなかった。


小学四年生の時だった。

とある女子の同級生と、殴り合いの喧嘩になったことがある。

好きな子が被った上に、その好きな子が僕の事が好きらしいから、だ。

もちろん、僕は体が男だから、僕の方が優勢だった。

けれど、

「光太くんに手を出さないでよ!“女の子”じゃないくせに、スカート履くとか…気持ち悪い!“男の子のくせに”女の子の“フリ”して、男の子の事“好き”になるとか、異常者じゃん!皆もそう思ってるんでしょ?!光太くんも!なんでこんな奴好きになったの?!」

そう言われた瞬間、殴りかかろうとした手を僕は止めた。

その言葉は、僕のみぞおちの辺りを突き刺した。

未だに耳にこびりついている。


それから僕は約一年間、その子の計らいによっていじめられる事になった。

両親に相談すると、速やかに僕を転校させてくれた。


次の学校で、僕は“男の子”として生きるようになった。

自分を偽るというのは、とても辛い事だと分かった。

段々と、本当の僕が偽りの僕へと変わっていく。自分が自分ではなくなってゆく。

それは、震える程怖かった。


ある日、両親が喧嘩しているのを、隠れて見ていた事がある。

その時の喧嘩原因は、もちろん僕。


僕は、それを聞いて涙が止まらなかった。

怒りなど湧かなかった。

ただただ、申し訳なくて。


中学生になったら、この世に別れを告げよう。


僕は、その時誓った。


目線:小林心

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