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stxxx
nmmn
本人様とは関係ありません
病院での話です。結構生々しい感じです
年齢操作あり
最後の少しだけ死ネタ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
桃side
桃「よ。」
紫「よって…部屋隣だし」
桃「まぁな、笑」
カーテンで仕切られた病院の2人部屋の相手。
俺はずっとこの人。同い年で距離感や価値観は
合ってて過ごしやすい。まぁ小学生から
いるからなのかもしれないけど。
紫くんは部屋よりホールにいることが多かった。
だから、それなりに友達がいる。俺は隣で
ついていったのに、静かに座ってるだけ。
でも、最近は部屋で寝たきり。基本
開けるようにしようね、と二人で決めた
お互いを仕切るように被さるカーテンは
空いてて、でもベットの足側になる方と
壁側は閉まってて狭い部屋だけどお互いを
感じられるこのシステム。だからこそ、紫くんが
しんどそうなのもずっと見てる。
紫くんは自分でナースコールも押さないし
そこだけは、カーテン開けてて良かったと思う。
今日も、朝ごはんは俺の分だけ運ばれてきて
紫くんには代わりに鼻に通す管がついていた。
つい数日前に食事が難しいから、と
付けられていた。
紫くんは嫌らしいけどやっぱり、大人の圧には
逆らえないし逆らうような年齢でもないから
紫くんは嫌な顔しながらも頑張ってた。
ちなみに今日はカーテン閉めてた。
先生が閉めた。
紫「…これ気持ち悪いね」
桃「違和感あるよね、」
2年前、自分の病態が悪かった時俺もつけてて
あれの違和感は知ってる。ほんとに嫌な違和感。
紫「…トイレ行きたい」
桃「立てる?」
紫「むり。…ねえ」
桃「ん?」
支えてやろうと思って立とうとしたら
また、何か違う話が始まった。
紫「おれさ、あるくの、すこし、とめられてて」
紫「わけはあとでカウンセリングルームで」
紫「はなすから…あそこの車椅子乗せて欲しい」
桃「…わかった」
カウンセリングルームにお世話になるのは多分
俺がメンタル死んでた中学生時代以来だ。正直
端に寄せられてた畳められた紫色の私物の
車椅子の存在には気づいていて疑問はあった。
丁寧に、車椅子を広げて紫くんのペースで
車いすに乗せて、トイレまで持っていく。
トイレが部屋にあるのはほんとにいいと思う。
紫くんを見てると、自分の病気のことを
忘れるからほんとに危ない。
桃「終わったー?」
紫「ずぼんあげれない…たてない」
桃「開けていい?」
紫「ん」
こういうのも、お互いするから何も思わない。
風呂もどっちかがしんどい時は一緒に入ったり
基本、支え合いで生きてきたはず。
手洗いまで済ませてまたベットに寝かせる。
紫くんはまた俺の方向いて俺見てる。
ご飯食べてる俺なんて需要ないはずなのに。
紫「めっちゃこぼしてるよ」
桃「…口麻痺してるから、こぼれる」
エプロンなきゃ生きれないかも。下見れば
食べたものが落ちてる。汚すぎる。手の麻痺は
ある程度治ったけど口のリハビリは
まだまだ続くみたい。
紫「ふらふらする…」
桃「貧血。食わないから」
紫「…そうだね」
今日も無理そうだな、こんなんで
カウンセリングルームに行けるのだろうか。
俺も、上手く食べれなくてご飯は時間がかかって
遅くなった。ちょうど空いてたからいいけど。
また車椅子を押して部屋に入った。
自分の点滴スタンドも押さなきゃだし
紫くんのも押さなきゃだし紫くんの車椅子も
押さなきゃだしなんか大変。
紫「…ちょっとまって、」
桃「、うん…いくらでも待つよ」
今から言うことはきっと深刻なことだろう。
そう部屋の空気の重さが教えてくれる。
向き合って座るのも、良く考えれば
久しぶりかもしれない。ちょっと恥ずかしい。
紫「ふぅ……ごめん、」
紫「…..俺この1週間に3回倒れてさ、」
紫「集中治療室にも入ったしさ、検査も沢山した」
紫「そしたらね…」
紫「違うとこに移転してたんだって」
紫「だから、歩くのも痛いしだめって言われて」
紫「…俺余命まで決められちゃったんだよ」
桃「は、…余命、っ」
1番聞きたくない単語だった。正直どっちが
先にそれを言うかわかんなかった。言わない
運命は無いかのようにはっきり言われて
俺は、頭の中がぱんぱんだった。
倒れたことと集中治療室に入ったこと
検査が多かったことは知ってた。感じてた。
でも移転のこと余命のことは今知った。
1人、頭の中で整理を頑張ってると紫くんが
俺の奥の奥を見ながら喋り始める。
紫「…あと、持って5ヶ月」
紫「でも、紫くん次第。紫くんの体力次第」
紫「紫くん、正直5ヶ月生きれる自信ない」
桃「そっ…か、」
一人称が紫くんのときは紫くんが不安な時
しんどい時眠たい時。分かったよ。分かるよ。
紫「でもいつものようにして欲しいの」
紫「…もうすぐ抗がん剤も始まるし」
紫「寝たきりだと思うけど」
桃「わかった、」
いつものように、出来るのかな。と一瞬
思ったけど、その考えはすぐ捨てた。
点滴を変える時間になる前に。紫くんの
体力に余裕があるうちにカウンセリングルームを
出て、また病室に戻った。
紫「っ、ふう……いたい」
桃「ごめん触っちゃったかも」
紫「大丈夫、」
ああ、こう出来るのもあと少しか、なんて
まだ生きれる未来もあるのにそう感じてしまう。
桃「震えてる俺の手」
紫「…笑ごめんね…たくさん使わせて」
桃「リハビリになるから大丈夫。」
桃「問題は口だよな滑舌はいいんだけど」
紫「あかちゃんみたいだからねえ…」
赤ちゃんじゃねぇし。嚥下が下手すぎて一時期
赤ちゃんがつけるようなエプロン
付けられてたけど。
紫「卒業式、一緒に出来るだけで俺は幸せ」
桃「…もう卒業か、」
紫「世の中は今受験だよ」
桃「んだな…」
本当は高3の年。もう卒業式も遠くはない。
学校は違うけど一緒に制服を着て外に出ようって
約束していた。外は無理かもしれない。まず
部屋から出れないかもしれない。でも
着替えだけは俺の手が痺れてでもやりたい。
幸せなら、紫くんが幸せなら。
紫「…なんかいっぱいやり残したことある」
桃「、例えば?」
紫「んー……」
目を瞑って考え込む紫くん。なんかそのまま
寝ちゃいそう。でも寝ることなく紫くんは
しっかり答えを出した。
紫「なわとびとか。」
桃「なわとび…笑あれジャンプするだけだし」
紫「……俺したことないもん。」
縄跳びらしい。多分眠いからもう頭が
回ってないんだと思う。ねむそうにしてる
紫「ねる」
桃「おやすみ」
昼でも寝れるのは辛い証拠だと思う。
俺は昼ごはんまでアニメ見る。どれもこれも
見尽くしててそろそろ見るアニメも
なくなってきたところ。
昼ごはんも質素で汚れるし。
ひとり寂しく。
結局紫くんが起きたのは3時前後。起きた理由も
お腹の痛みだって。トイレで吐いてナースコール
押してた。ここまで来ると俺も何も出来ないし
静かにしとく。カーテンは閉めなかった。
紫くんに怒られちゃうからね。
紫「ごはん…とどいてるよ」
桃「…ほんとだ、ありがと」
ベットでぐったりしてる紫くんに声かけられて
気づいたらもう6時。夕飯の時間。晩御飯も質素
アニメ見てたら看護師さんも無視してた。
怒られるかも。
紫「…ぅ……ッはぁ…」
桃「っぶな、大丈夫?」
紫「ん…あぃがとぉ、」
1人で、無茶して車椅子に乗ろうとするから
落ちそうになるし。咄嗟に支えようと箸も
落とすし。箸掴むのもギリギリの俺の手。
俺も、調子悪いかもしれない。
紫くん程では無いけど。
紫「シャワーいった…?」
桃「まだ。今から行く。点滴抜けたし」
ご飯も点滴も終わって調子がいい時に
行こうと思ってお風呂の準備をしていると
隣から紫くんも、と弱々しい声が聞こえる。
入っていいのか、分からなくて一応聞いてみた
けど熱がなくて血圧も脈も正常だし意識も
ハッキリしてるから入っていいと許可を貰って
紫くんも点滴を抜いてもらって2人で
シャワー室に向かう。2人でシャワー室も
なかなかの狭さ。もう移動だけで疲れてる
紫くんを見て、少し自分の体を急いで洗う。
紫「かみかわかして」
桃「ちょっとまって」
紫「…先トイレ行く」
桃「どこの?」
紫「あそこ」
またトイレ行った。紫くんがトイレ行く度
ヒヤヒヤする。自分の髪を乾かして終わった頃
紫くんが帰ってくる痛いね、なんて笑いながら
腹を摩る姿は少し悲しそうだった。
痛い場所が増えただけ。
痛む場所が変わったんじゃない。
気持ちを変えるためにちょっかいかけてみたり
いじってみたり。とにかく、紫くんと楽しく
過ごしたくて俺は無理やりでも笑った。
紫「…ふう、」
桃「、ここおいで」
病院の消灯時間ははやすぎる。まあ俺らは
個室だから自分たちで消して間接照明
付けてるんだけど。俺らの部屋はよく空が見えた
朝も、昼も夜も綺麗に見えた。
紫「紫ぁくんは幼稚園の頃からいるよ。ここ」
桃「ずっと?」
紫「…ちょこちょこ学校行ったりしてたけどね」
紫「やっぱ動きすぎるとと痛くて」
小学生の頃から、といっても小学四年生から。
紫くんは幼稚園の頃からここにいるらしいから
きっと俺より色んなしんどさを知ってるはず。
紫「…ねたらさぁ死んでたりしないかな」
紫「こわい」
桃「大丈夫だよ」
責任感のない発言だなと直後に反省する。
余命宣告されて夜を越すのは怖いか、
桃「…ごめん」
紫「だいじょうぶ。ね。元気元気」
なんで、同い年なのに紫くんの方がこんなに
大人なんだろうって。色んな辛いことを
経験してるからなのかもしれない。
紫「あんまり夜更かししたら怒られるから寝よ」
桃「うん。おやすみ」
紫「おやすみ」
今日はいつもより疲れた気がする。
しっかり寝れそう。
紫「点滴の時間だってさー」
紫「桃くんしんさつのじかーん。おきてー」
朝早く紫くんの声が1番に聞こえて目が覚める。
もう俺の腕は括り付けられてて紫くんが
言った通りベットもしっかり座ってる角度で
血圧が計られてる。起きれば聴診器も当てられる
俺が起きないからベットまであげられて。
一生こんな感じ。入院生活して生活習慣が。
桃「…点滴痛い」
体温も測って、点滴が左手の甲に刺される。
なんかいつもより強く刺された気がする。痛い。
やっぱここの病院の人は苦手。こわい。
紫「みてぇ。心電図~」
紫「この機械2回目」
看護師さんが居なくなって少しして頭が起きて
横見てみれば夜にはなかった大きい機械が
1個。顔見知りの機械だ。
桃「それ俺ずっとつけてた」
紫「前ね。結構邪魔だねこれ」
桃「この線が邪魔。」
紫「そうそう」
胸元も指も繋げられて邪魔だと思うほんとに。
紫くんは今から検査なのか病衣に着替えていた。
俺はまだ寝る気でいるけど、流石に紫くんが
検査に行くまでは起きておこうと体を起こす。
紫「そっちのベット行く」
桃「気をつけろよ引っ掛けないように」
紫「ん…いてて…っんしょ、」
頑張って移動してる。かわいい。
紫「んへへ、」
桃「おっきい赤ちゃん抱っこしてる」
紫「ばぁ~か」
俺のお腹に乗ってきた。1週間前よりずっと
軽い。食べてないのに吐いてるからだろうか。
胸に貼ってある機械が俺に抑えられて
痛いけど、もう検査の時間だろうし我慢しよう。
結局紫くんは動くなって怒られながら検査に
連れていかれた。ずっとあんな感じ。
俺より、ずっとやんちゃでいつも怒られて
でも好奇心旺盛で何事も1回はやろうとする。
一緒に病院抜け出した時も怒られて病室から
出れなくなったのがよく覚えてる。
検査後はもう疲れて寝てたから俺も静かに
過ごした。紫くんと次話したのは次の朝だった。
大した会話はしてないし2人とも寝たままだけど
幸せは感じた。まだ紫くんには大きな機械が
ついててこれが減ることはなく、一ヶ月後には
ひとつまたこれより大きい機械が増えていた。
いつの間にか抗がん剤も始まってるし俺も
卒業式に入る前の検査が色々あって少し
疲れて過ごす日々が続いていた。
紫「おれ、卒業式、いけるかなぁ…」
紫「すっごいね…からだがおもい」
桃「1ヶ月、安静にしてたら絶対行ける、」
桃「この前制服取ってきたから、」
取ってきてもらった、のほうが正しいけど
ほんとに、逃したくないチャンスだった。
これだけは叶えたかった。
俺だって、検査頑張ってるし
治療も頑張ってるから。
紫「もうしんじゃいそうおれ」
紫「ふわふわ、する」
桃「…貧血のせいだろ、」
1か月前は元気元気、なんて言ってたのに
今では弱音吐きばっか。最近は背を向けて
寝ること、泣いてるとこを見たり。
増えた気がする。
紫「あれ…とってほしい…」
桃「ん。ちょっとまって」
俺も体力なくて向かいの棚まで歩くのも
少し疲れる。少しベットを借りよう。
紫「…めのまえになるけどはいていいの…?」
桃「大丈夫、背中さするよ、」
紫「っん……ごめ…っ、…」
何も食べてないから出すものもないまま
嘔吐く紫くん。さっと消えてしまいそうで
俺も怖かった。一応、ナースコールで伝えたら
また追加された点滴。2本同時。
紫「んふふ…みて…かみぬけた。」
桃「やめなよ……」
紫「綺麗なむらさきいろなのにね…」
紫「抜けちゃった。あげるよ」
桃「笑、」
紫くんの髪の毛が束で渡される。よく2人で
いると髪色の色が可愛いって女の子たちが
集まってきたのを思い出す。
紫とピンクって結構相性がいいから
女の子は好きな色なはず。
桃「一緒に髪染めたいな、」
紫「そつぎょうしきのあと…?」
桃「うん…体力あったらね」
紫「それまでかみのけあるかなぁ……笑」
紫「おれはぴんくめっしゅ」
桃「…じゃあ紫メッシュ」
また、無駄なお願いしてしまったかもしれない。
できるかも分からないのに。変なこと言って
しまった。でも、出来たらいいな。
また、数日紫くんと普通の日々を過ごした。
紫くんは確実に弱っていた。
紫「ぅ……ッあぅ…っ、ぅ…」
桃「っ、ナースコール押すよ、」
病室で苦しむ紫くんを見て、ナースコールを
押すこともこの1、2ヶ月で増えた。卒業式まで
あと1ヶ月ほど。1ヶ月もない2週間半。行けるか
不安だけど先生たちが卒業式に向けて頑張って
くれてるから相談はできず俺は、紫くんの横で
とにかく気を紛らわすためにアニメを見ていた。
紫「あした、…手術だって、…笑」
紫「あとちょっとなのに…しんだら、どうしよう」
紫「紫ぁくん、ここまでうけたくない手術初めて」
桃「…絶対、生きてよね」
紫「がんばるよ、さいご、まであきらめない」
2週間半前なのに急遽決まった手術。紫くんは
たくさんの大きい機械に囲まれて、ここに
いるのも紫くんが俺と一緒にいたいと駄々こねて
ここにいると、先生が言っていた。本当は
高度治療室にいて欲しいみたいだけどいつ
終わりが来てもおかしくないから紫くんの
要望にお答えすると、先生は言っていた。
呼吸器もしっかり付けられて酸素マスクが無駄に
重そうだった。点滴もバッチリ。吐いて吐いての
繰り返しで細かった身がもっと細くなってて
こんな痛々しい姿は最後なのにあまり
見たくなかった。
紫「ねえ…なんで、そんなにつめたいの」
紫「紫ぁくん、といるのいや?」
桃「…違うよ、」
紫「じゃあ、しゃべろうよ…」
紫「おれの最後に、付き合わせすぎた?」
桃「ちがう、ちがうから…」
紫「ねぇ、ほんとのこと、いって…」
紫くんと、喋ってたら俺が生きてていいのか
分からなくなるから、俺がここまで元気で
いていいのか分からなくなるから。ただの
俺のせい。だから。
言葉が出てこなくて、説明出来なかった。
今日は背を向けて寝た。
起きたら朝から手術だった紫くんはいなくて
広いのに1人の病室。診察も終われば俺は1人。
朝ごはんも少しだけつついて今日は返した。
桃「…屋上行きたい先生、」
1人で病室にいるのは少し寂しくて
ナースステーションまで久しぶりに歩いた。
普段は閉められてるけど、行ってみたかった。
桃「じゃあカウンセリングルーム借りる、」
やっぱり屋上はダメだった。でも空いてた
カウンセリングルームあったからそこで
好きにすることにした。
よく、紫くんとここで将棋したりトランプしたり
ここでよく遊んでた。小学生の頃だけど。
2人とも友達はいなくて、親も忙しくて
面会はなくて、ずっとここにいた。
でも、入っても何もすることがなくて俺は
病室に戻って寝ることにした。俺も、明日検査。
昼ごはんもなし。夜もなし。紫くんもなし。
寂しすぎる1日は寝て過ごした方がいい。
何もかもが鬱すぎる。自分が健康すぎることも
嫌になってくる。でもいつ倒れるか分からないと
退院なんて言われもしないし紫くんとも
離れたくなかった。
検査も朝イチで昼からは疲れてたけど暇だった。
やっぱり手術後はしんどそうだった。紫くんは
ぐっすり。いっぱい、機械がある。怖い。
夜ご飯で、起こされてたけど。
紫「……たべたくない」
桃「、食べなきゃ」
紫「もう酸素マスクつけたいくらい。」
紫「ぜんそくくるしい」
桃「食べなよ、1口くらい」
食べたくないとご飯をかき混ぜるだけかき混ぜて
駄々こねる紫くん。お粥だから、食べやすいと
思うけど、それでもいやらしい。
紫「…ねえ卒業式、いけるかな…」
桃「知らないよ」
紫「つめたいなぁ…」
冷たくないよ、とは言えなくて、言葉が詰まる。
紫「おれ、嫌われてるならもう死ぬんだけど、」
紫「嫌いか好きか、言ってよ素直に」
桃「…好きだよ」
体調悪いのに、喋るの好きなんだから。
決して、好きなことが嘘ではないけど態度は
おかしいな、と1人で後悔する。
紫「ふふっ…」
紫「おれも、来世は、ももくんみたいに」
紫「かっこよくなる」
桃「俺そんなかっこよくないし」
桃「紫くんのほうがかっこいい」
自分で言っといて、少し照れ手顔を逸らす。
紫くんがかっこいいのは、事実だけど。
紫「ねる、おやすみ」
桃「おやすみ」
今日も、1日終わった。2週間なんてすぐ
通り過ぎてもう、外は桜で明るく彩られ
外も明るく、晴れの日が多くなってきた。
気づけばもう卒業式まで数日だった。
桃「かわいいなにそれ」
紫「これ寝る時枕にまく髪の毛ついちゃうから」
桃「笑、なんでそのタオルにしたの…笑」
紫くんが持ってたのは覚えてないくらい
何年も前に俺があげたなんかキャラもののタオル
今見ればどんだけでかいタオルあげてんだって
思うくらい人のことを考えない大きさ。
紫「おれ髪の毛染めれる。」
紫「でもねなんかね抗がん剤してるから」
紫「ダメージ少ない色にしてって言われた」
紫「俺は絶対ピンクにするって怒ってきた」
桃「俺も、言われたよでも紫にするって言った」
俺は手術してないし抗がん剤も入れてないけど
いつも飲んでる薬がカラー剤と合わないから暗い
色にしろって言われたけど紫って宣言してきた。
紫「おれ制服ぶかぶかだろうなー」
桃「Sサイズ?」
紫「うん。女子のSサイズ進められた時もあった」
紫「でも長さが足りなかった」
桃「あー。ウエストがね」
桃「食べないからな」
紫「…別食べるし」
食べないじゃん。今日も食べてないし。
紫「…夜ご飯食べるからぜったい」
桃「ほんとー?見てるからね」
紫「……だっこしてほしい」
桃「…いいよ」
本当は線が沢山ついててなにかしたら
怖いから嫌だった。でも終わりが近い時間に
悩んでる暇はない気がした。
紫「ふふっ…いいねぇ」
桃「やっぱ機械当たっていたいわ」
紫くん俺の上に乗れば胸に貼ってある機械が
当たって痛い。でも離したくなくて乗ってきた
紫くんの腰に腕を回す。
紫「いたいなぁ…」
紫「桃くんいなかったら俺はもう死んでたよ」
桃「死んでそう」
紫くんぼっちだもん。
友達もいないし家族も来ないんだから。
まぁ俺も一緒だけど。
紫「…気持ち悪くなってきたから戻る」
紫「トイレ行く。」
桃「ん、気をつけろよ」
骨への移転も治りは悪く最近は指の関節を
骨折してて、痛そうだった。まだ治ってないし
その骨折自体も治るのに時間がかかるらしい。
静かに、ナースコール押しといた。
日に日に弱っていく紫くんを見ながら卒業式を
待つのも、嫌だった。でも、もういつの間にか
前日になっていた。この日を迎えるために
病気と向き合ってるのに俺は前日なことを
忘れるほど現実から逃げてる自分が嫌で
前日なのに、元気ではいられなかった。
紫くんも元気じゃない。俺は、元気なはずなのに
紫「あした、はやおきしなきゃって……」
紫「痛すぎて寝れない気がする…笑」
紫「……ねたらしぬかも。」
紫「くるしいんだよこのマスクしてても」
紫くんは、俺に話しかけてくれるけど弱音にしか
聞こえなくて、紫くんが笑ってても俺はなにも
言えないし笑えなかった。
紫「あしたいけるかなぁ…笑」
紫「、夜ご飯も食べれなかったし、いけるかな」
桃「……弱音、だめだよ」
紫「…へんじ、ありがとう」
紫くんの声を聞くと頭が痛くなる。
明日を迎えたくなくて起きてても、もう日付は
卒業式の日付、当日に変わっていた。
桃「おやすみ」
紫「また、明日」
いつからだろうか、寝る時紫くんが間の
カーテンを閉めるようになったのは。朝まで
開かないし、夜は鼻をすする音や声を殺して
泣く声、朝は嘔吐く音が聞こえて俺は何も
出来なかった。こんな俺だから、紫くんが
何と戦っているかなんて分からなかった。
夜遅かったのに、朝早く起こされ俺はご飯を
食べて制服に着替えた。高校の制服も1、2回しか
着てない気がする。せっかく買ってもらったのに
申し訳ない。3年間、綺麗だった制服も着れて
嬉しかった。ネクタイは巻けなくて先生に
頼んだ。悔しすぎる。これも3年あれば
出来ただろうに。
紫「この紐、かくせてる?」
桃「ううん。隠せてない」
紫「隠れない?」
胸元と指に繋いである管を隠したみたい。
隠さないって先生に言われてたけど。
紫「ださいこれ」
桃「ださくないよ」
紫「…嘘つき」
桃「ばれた。」
超だせぇ。でもネクタイが赤だから赤と
黄色と緑の管で良かったんじゃないかな。笑
本人は不服そうだけど。
紫「ネクタイ貸して。」
桃「やだよ、俺一人で結べないし」
桃「せっかく着けたから」
紫「ちぇ……後で青も付けてみる」
桃「笑、付けたいんだ」
俺は青のネクタイ。学校が違うから制服も
違う。紫くんはニットベストを着ていた。基本
ダル着でいる俺からしたらこんなぱきっとした
制服を着るのは久しぶりちなみに俺はブレザー
紫「このパーカーも、桃くんからもらったやつ」
桃「…もうちっちゃいでしょ、」
紫「そんなことないよ。桃くんが3個ぐらい」
紫「サイズアップして買ってくれたからね」
桃「……あの時間違えてごめん」
中学の頃はとにかく尖ってた俺。キャラ物の
タオルもだしサイズが全然違うパーカーもだし。
でも、今の紫くんにはぴったりだった。
部屋で過ごしてるし、あまり着てなかったから
てっきり捨てられてたのかと思ってた。
時間になって、久しぶり外に出る。眩しいし
もう、降りてくることだけで疲れてきた。
紫「…頭痛い。眩しすぎる」
桃「俺の学校そこだから。ラッキー」
紫「くそ。」
もう死にかけてる紫くん。車椅子にはいつもの
倍くらいで機械や点滴がぶら下がってる。
桃「じゃあ、髪染めてからね」
紫「うん。また後でね」
別れて、俺は1人で学校に入った。
1回2回しか行ってないしほぼ入学式なんだけど。
友達や喋りかけてくれる人はいるけど制限
されてることは多かったし早く帰りたかったから
ほんとに卒業式と、写真だけ終わらせて
すぐ美容室に向かった。
美容室なんていつぶりだろう。髪はいつも
病室で切ってもらってたから不思議。
ピンク髪に入っていく紫色のメッシュ。
綺麗だった、紫くんと会うのが楽しみ。
桃「紫くんは?」
数時間、髪も染め終わってナースステーションの
いつもの先生にそう聞く。
疲れて染めてすぐ帰ってきたらしく病室で
寝てるらしい。
せっかくなら、中庭行こうなんて思ってたけど
紫くんの体を考えて俺は病室に向かった。
隣のベットでぐったり眠そうにしてる紫くん。
俺と会うまで頑張ってくれてたみたい。
桃「綺麗じゃん」
紫「ふふ……きれいでしょ…」
紫くんの髪にもピンクが所々に入っていた。
また、違って似合っていた。
でも、疲れきってて、ほぼ目も開いてなくて
瞼は開いて閉じて、ゆっくりと動いていた。
俺の髪の毛を見てくれなくて、少し残念。
紫「……げんきなくて、ごめんね」
紫「かみいろも、みえない…ッ、」
紫「…もうすこしでしんぞう、とまりそう」
紫「ちらちらしてる、へんなのみえる」
紫「いたい。くるしい、」
紫「っ、こわいね」
紫「つたえるの、おそくなったからさぁ…」
紫「おもったより、はやかった…ッね」
桃「、最後になりそうなら、好きなことしたい」
本当はこんな軽い発言はしたくなかった。
紫くんに好きなことをして欲しかった。
でも、ほんとに終わりが近い気がしたから。
紫くんの口に、自分の舌を突っ込む。
荒かった息がもっと荒くなる。
でも、紫くんは笑顔だった
紫「ぁい、がと…ッ、笑」
桃「、ありがとう」
桃「…ナースコール押すね」
桃「あんまり、無理しないで」
結局、この日の夜には、俺は1人だった。
ほんとは、もっといたかった。
でも、俺も諦めてしまったし紫くんだって
もう諦めていた。
俺は体力的に葬式への参列は止められた。
でも数日後。まだ綺麗な、墓に行くことが
出来た。俺の生きる理由はここにあった。
毎日は難しいかもしれない。
週1でもいいから、花を渡しに来ます。
俺は最後の笑顔を忘れることはないと思います。
今日は卒業式の日、渡す予定だったものを
渡すことにします。本当は花束にしてたけど
枯れそうだったので一度バラして花瓶に入れて
持ってきました。
ゆりの花です。
紫くんの誕生花です。俺は詳しくないから
花言葉に意味は無いけど、白いゆりの花は
無邪気という意味があるみたいです。
無邪気な紫くんが好きです。
桃「卒業、おめでとう」
𝙚𝙣𝙙 .
pixivから引っ張り出してきました
これ好評だったので感想ください^_^