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輝と猫

3 - モーニングルーティン

♥

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2025年03月15日

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【モーニングルーティーン】





べしっ


「っ、ぅう…、おはようあかね…」


あかねを迎えてからの僕の一日は、猫パンチにより叩き起されて始まる。まだ完全には吹っ飛ばない眠気に耐えつつ少し目を開けると、枕元で自慢気な顔をしているあかねがいた。朝が弱い僕にとっては有難い話ではあるけど、何しろ起こし方が雑。…まあ、丁寧に起こされても起きる気はしないんだけど。

早く体を起こせ、と言わんばかりにベシベシとおでこを叩かれる。痛いと思われそうだけど、最初の一撃以外は痛みはない。まあ最初もそんな痛くはないけど、勢いが凄いから痛そうには見える。

仕方が無いので頑張って目だけは開けようと目を擦ってみたけど、どうにも開けられない。

そうしてぐずっているとまた叩かれる。うん、起きる、起きるよ。あと五分くらいしたら。多分。


「………‪」


あ、どっかいっちゃった。ひどいなあ。まあ放っておいた僕が悪いんだけどさ。…あとでマグロのちゅーるあげたら機嫌直してくれるかな。

体を起こすことに成功したのは、それから三十分後。でも、まだ眠い……。


「おはようあかね、さっきはごめんね~…」


あかねはそっぽを向いたまま此方には体どころか顔すら向けてくれない。ちょっと傷つく。


「ごめんってばあかね、ほらこっち向いて…っいだっ」


……叩かれた。酷い。


「はあ…。朝ごはん食べた?」


あかねは不機嫌そうにミィ、と鳴く。どうやら自分で機械から出して食べてしまったらしい。賢いのはいいことだが、なんかちょっとさみしい…。


「…とりゃっ、」


「!?」


「さみしいよ〜、こっちむいてよ〜…」


ミ゙ィイ、と呻きながら僕の腕から逃げようとするから、前足の脇に手を入れてがっちりと捕まえる。そしたらまた叩かれたから、捕まえたまま腕だけ伸ばすと、手が届かないのでジタバタと暴れるだけになる。

暫くそうして構い倒してたけど、噛みはしないとは言っても、あまりに必死に呻いて逃げようとするから、なんだか可哀想に見えてきた。戯れあいのつもりだったんだけど、本人が嫌なら辞めた方がいいかなあ。

そう思って、僕の手から離して床に置く。ふーんだ、あかねが構ってくれなくたって、僕には布団があるんだもんね。


「………にゃあ?」


「……………………………はあ、」


でも傷つくなあ、仮にも飼い主なのに、そんな嫌がられるなんて。やっぱり、僕には動物を飼うなんて向いてなかったのかな。

…と、溜息を吐いたその時。

ぴょんっ、とあかねがベッドに乗って、僕の腕の中に入り込んできた。


「んにゃあ~。」


「……!!あ、あかね……!!」


初めて、初めてあかねから寄ってきてくれた。それに、喉からゴロゴロという音も聞こえる。良かった、嫌われてた訳じゃなかったんだ。胸の中があったかいのでいっぱいになって、表情が緩む。寄って来てくれたのだから、こちらとしてもお返しするべきだろう、とあかねをだきしめようとした、その時。


べしんっ


「……なんで……?? 」


僕のことを叩いても、僕の傍から離れていく訳では無い。つまり、嫌ではないはず。はずなのに、僕は拒否されたの??顔を覗くと、満足げな顔をして目を閉じている。


「…も〜〜〜っ!」


ぐりぐりと頭を押しつける。何故かこれは拒否しない。気分屋で、賢くてもやっぱり猫は猫なんだな、と思った。

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