静かな部屋

声は出さないで。

やり切れなさに沈黙で叫んだ。

言葉なんてここじゃ全く役に立たないことはわかってるだろう。

何を口にしても味がしないな。

まるで粘土細工のようだった。

夜の塊。

追い回されて嵌る水溜り。

泣き出した女の子が言った。

エマ「どうしてこんなにかなしいの？」

下を向いたままで答えた。

マイキー「エマもすぐに慣れるよ。」

鮮やかで煩い公園でシーソー。

穏やかな心が回転しそうだ。

涙みたい。

きらきら二人照らす鈴灯。

淡い淡い闇の中へ泳いでいくからついておいで。

固く繋いだ手はずっと離さないで。

ねぇ、まだいるかい？

長い長い道の端を爪先で歩く靴はいらない。

最後の時までその目は離さないで。

ねぇ、まだいるかい？

全部忘れても宵の寒さに閉塞で嘆いた。

幸せだけ繰り返しても虚しくなることはわかってたけど。

夢を口にしても味気ないな。

まるで泥人形のようだった。

帰路の陽だまり。

添い遂げられて気づく蟠り。

逃げ出した男の子が言った。

マイキー「どうしてこんなにくるしいの？」

目を見つめたままで答えた。

エマ「きっと誰かの為だよ。」

賑やかで寂しい桑園でいっそしたたかに過ぎ行く人生みたいだった。

手を伸ばす。

浴槽に浮かんでいた水花火。

緩い緩い風の中を流れていくから幼い日に。

かわした約束はずっと忘れないでいてよ。

もういいかい？

永い永い暮らしの中指先で探す愛に会いに。

最後の夜ならちゃんと聞かせて。

本当のことはもういっか。

崩れ落ちてく、崩れ落ちてく。　

いつか見た景色もすぐ褪せてく。

流れ落ちてく、流れ落ちてく。

涙の行方を君は見たのか。

はやく、はやく、はやく、消えてしまえ。

どうせもうまともじゃ居られないんだから。

黙ったままで帰りを待たせて。

淡い、淡い闇の中へ泳いでいくからついておいで。

固く繋いだ手はずっと離さないでいて。

ねぇ、まだいるかい？

長い、長い道の端を爪先で歩く靴はいらない。

最後の時までその目は離さないで。

ねぇ、まだいるかい？