異空間の競技場——まるで日本列島を象った巨大な闘技場のような光景のなかで、鳥取と島根は最後の激突を迎えていた。
「《砂風輪舞(さふうらんぶ)》——!!」
鳥取が放つ、砂丘の風を纏った回転突撃。鳥取砂丘の地形特性を活かし、風と砂を渦のようにまとわせた技は、視界と動きを封じる戦術型必殺。
「……読めているぞッッ!《出雲神遷(いずもしんせん)》!」
島根は背中から神々しい光を放ち、神話の神々の加護を受けたかのような身のこなしで、飛翔するように鳥取の攻撃をかわす。そして、その瞬間を狙って――
「《神代連撃(かみよれんげき)》!」
拳に宿る神意を重ねるように、連撃を叩き込む島根!
「ぐっ……!」
しかし、鳥取は耐える。目を逸らさず、前を向いたまま拳を握る。
「こんなんじゃ……倒れませんよ! 俺はもう、最弱じゃないんです!」
そして、
「——《風砂の追想(ふうさのついそう)》!」
砂丘での修行、兵庫との戦い、幻の愛知との修練。そのすべてを「思い出」として力に変え、渾身の一撃を島根の懐に叩き込んだ。
ドガッ——!!
島根の身体が、砂塵の向こうに吹き飛ぶ。
静寂。
日本サンの声が響いた。
「勝者……鳥取!!」
観戦者の幻影たちが拍手を送る。広島が目を細め、岡山が鼻を鳴らす。愛知は興味なさそうに見えるが、拳を強く握っていた。
——試合後。
島根は砂の上でゆっくりと身を起こす。
「……強くなったな、鳥取。」
「ありがとうございます……でも、まだまだです。」
鳥取が手を差し出すと、島根もそれを受け取って立ち上がった。どこか憑き物が落ちたような表情の島根は、薄く笑った。
勝利のあと、鳥取は静かに故郷へ帰っていた。
「……なんか、夢みたいっすね。」
鳥取砂丘の風に吹かれながら、彼は空を見上げる。遠くにはラクダがのんびり歩いており、砂丘の売店からは梨ソフトの匂いが漂う。
「でも、あそこは終わりやない。始まりや。」
大阪の声がどこかで聞こえた気がして、鳥取はニッと笑う。
ガラス張りの巨大オフィス、その最上階。東京は書類を手に静かに目を通していた。
「……鳥取が、島根に勝ったそうですね。」
淡々と、部下の神奈川が告げる。
「ええ。仮とはいえ、あの舞台に“入った”者が勝利するとは。」
東京は椅子を回し、夜景を見下ろす。その表情は変わらないが、指先が微かに机を叩いていた。
「面白くなってきました。」
——そして、東京の背後には、名もなき男が控えていた。
「このまま放置していいのか?」
「問題ありません。あの程度で全体の流れは変わらない……が。」
東京は一度だけ笑った。
「次に彼が“誰と出会うか”ですね。」
——次なる試練は、まだ鳥取の知らぬ場所にあった。
〈続く〉
コメント
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ピャァァァァァァァ!!!今日も最高過ぎるゥゥゥ!!!この世に生まれてきて良かったァァァァ!!厨二病で良かったァァァァ!!(うるさい)話変わるけど、お友達って、、なれる、、? 嫌だったら全然いいんだけど!!