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愛が重い太宰さん最高すぎますね!
注意
・太中
・ヤンデレ
・中也が可哀想
・ほんわかの欠片もございません
・初投稿なので大目に見てもらえると助かります。
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「中也」
…そこに居たのは、中原中也とー
見知らぬ女。
「…手前ェかよ」
少々、否かなり嫌悪感を剥き出して中原中也は云った。
「わたしじゃ駄目だったかい?」
嫌悪感を丸出しにされて腹を立てているがそれを押し殺し、平常心で私は会話を続ける。
「中也くん…この人、誰?」
中也の隣にいた女は中也の腕を優しく掴んで怯えて問う。
「…あー、そうだな……」
少し考え込んだ。いい言葉が浮かんでこないのか。
「お嬢さん、彼はわたしのものなんですよ。」
中也の代わりにわたしが言ってあげた。本人はこれを言おうとは思ってなかったみたいだけど。「おい太宰やめろ。この人は仕事相手だ。」
「仕事相手がそこまで馴れ馴れしく腕まで掴んじゃって、しかも中也を名前呼びで……」
「おい、太宰。」
自分でもこれは冷静ではないと分かっていながらも、自分ではもう止められそうになかった。中也が悪いのだから。わたしは躾をするのだ。「お嬢さん。貴方は本当に中也の仕事相手かい?」
「え、?……えぇ。そ、そうよ……?」
言動、態度、汗の出方…嘘だ。わかり易すぎる。「……そうですか、それはそれは、すみませんでした。」
まぁいい。どうせ後で幾らでも聴けるのだから。戯笑で騙されててもいいかもね。
ーーこれが中也も最後だし。
「い、いえ…それじゃあ、わたしはこれで…」
「……はい。さようなら。」
貼り付けた戯笑は、女が去るまでは保っておいた。
「……それで?中也。さっきの女とはどういう関係?」
もう他人は居なくなって、昔、マフィア時代のような聴き方をしてしまった。
「……」
「無言?」
どうやら、話す気は無いようだし、わからせるしかない。閉じ込めて、閉じ込めて。わたしだけ。わたしのことしか目に触れないところに…
「…い」
「ん?」
「悪い……」
謝罪。今更か。
「今更、許されると思ってるの?今の、自白行為だけど?」
「あー……そうだな。自白になっちまったな。」
「…どういうこと?ねぇ」
「太宰、別れよう」
その言葉の意味が理解できなくて理解をするのに時間がかかった。
別れる?わたしと?中也が?
「中也、どうして?」
「…正直に云う。太宰。手前ェは重い。かなり。俺の身体に発信機つけるし、連絡先消すし、職場で話してたら其奴殺すし。……俺はこういうの、好きじゃない。」
「……確かに。わたしは愛が重いと。自覚していたところはあった。だけれど、それ全部、中也の為なのに…?わたしと中也は2人だけの方が中也も嬉しい筈なのに?何時でも来てくれたら嬉しい、自分に嫉妬してくれる…これ以上にない幸せ。わたしも中也もなんの障害もなく、幸せに暮らせる。其れの何が……其れの何が不満だって云うのかい?中也……どうして?ねぇ、わたしの中也でしょ?どうして、なんで……」「太宰」「君は誰かに誑かされたのか?それなら違うよ、其奴の云っている事は間違いだし、其奴を教えてくれればいい。後はわたしが…」「太宰!!」
「……俺の意思だ。俺は俺の意思で手前ェと別れてぇンだ。」
「…そっか、わたしも中也の意思を…
尊重してあげたかったのだけどね。」
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見知らぬ天井。先程の部屋と違うことは一目で、否、空気でわかった。消毒液の匂いが鼻を突く。…ここは一体どこだと云うのだ?
(俺は確か…太宰と話してて…)
…そこからの記憶が欠片もなく、此処が何処なのか、結局分からずじまいだ。
ーーー目が開いた。
いつもスラスラ動く身体は無機物になってしまったかのように動かない。
(身体が動かせねェ。薬でも盛られたか。)
そんな考えはすぐに崩壊した。
薬ではない。拘束だ。それも極めて頑丈な。
「中也…?中也!起きたのかい?」
「太宰……?なんで手…「ああ良かった!!目を覚まさなかったらどうしようかと……」
俺の問い掛けには無視し目の前の男…太宰治は自身の気持ちをぶち撒ける。
「本当に……良かったよ中也」「なァ此処は…「止血が上手くいかなくて、死んじゃったりしてたら…どうしようって」
……止血?今、この男は止血と?身体はどこも怪我していなかった筈だ。そう。どこも。
目を使って自分の体をみた。何処も怪我はない。そう。
「もう、逃げられないからね?」
衣服で隠れた足以外は。
「あ、あぁああぁああぁあぁ!??」
叫んだ。痛くはない。麻酔が有った。痛くはないのだ。だが、もう中原中也は太宰治からは逃げられない。今後一生。
「わっ、ビックリした…中也ったら。でも大丈夫だよ。わたしが一生中也の事見ててあげる。何処も行かず、ずぅっといっしょに居ようね」
言葉の意味が理解できず、足を失ったことに理解できず、この場に理解ができなかった。
「ぁ、?あ、ぁ」
言葉にならない声だけだった。拘束は外されていた。下を見れば自分の足が有った。膝上まで綺麗に切り取られていた。又、気づいてしまった。
ーー片目が堕ちていた。
「目……、?」
なんで。そう云おうと思っていても喉に張り付いて出てこない。
「ああ、わたし以外を見ていた目は要らないだろう?でも、わたしを見るのに片目は必要だと思ったからね。落としたのは右目だけ。」
「な、……こん、な」
太宰が優しく、子供を抱きしめるような、今にも壊れそうなものを抱きしめ、云った。
「ずぅっと一緒だよ?中也!」
その日、俺達は精神的に死んだ。