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月詠天空/💜🪽
13
#佐久間担
yuka
33
3話目になります!
渡辺side
その夜。誰もいなくなった楽屋に、渡辺は一人戻って、ひたすらダンスの練習をしていた。
頭の中は、照の視線でいっぱいだった。
(あの目は何なんだよ……。照も、俺と同じ気持ちなのか……? いや、まさかな)
自惚れるな、と自分に言い聞かせる。
けれど、膨らんでしまった期待は簡単には萎んでくれない。
「翔太」
突然、楽屋のドアが開いて、照が入ってきた。すでに帰ったはずのあいつの登場に、肩を跳ね上げる。
「……照? なんでいんの」
「翔太がまだ残ってるって聞いたから。」
その優しさが今は辛いのに…。
そう思いながらも、きてくれたことに喜びを表に出しそうになる。
そんなことを考えていたら、唐突に照は言った。
「……なぁ、最近俺のこと避けてるだろ」
そう言った照はまっすぐに俺の前に歩みを進めると、机に手をついて、俺を私物と机の間に閉じ込めるような形をとった。
「っ、避けて、ねぇよ……」
「嘘つけ。」
間髪入れずに反論が返ってくる。
「目も合わせないし、話しかけてもすぐどっか行くじゃん。俺、なんか怒らせるようなことした?」
照の顔が、じりじりと近づいてくる。
その表情には、焦りと、少しの苛立ちが混じっていた。
こんなに近くで、そんな風に迫られて、平気な顔をしていられるわけがなかった。
「怒ってねぇよ!」
「 ……ただ、しんどいだけ、だから」
「何がしんどいんだよ。言わなきゃ分かんねぇだろ!」
「お前のことが好きだからだよ!!」
頭で考えるよりも先に、叫んでいた。
楽屋の静寂に、自分の声が激しく響く。
言ってしまった、という絶望感で渡辺の視界が急激に潤んでいく。
一度溢れ出したら、最後、止めることはできなくなった。
「……お前とメンバーで、ずっと一緒にいなきゃいけないのに。触られるたびにドキドキして、他の奴と話してっと嫉妬して……こんなの、頭おかしくなりそうなんだよ。だから、離れてくれって……っ」
涙がボロボロと溢れ、腕で顔を隠した。
拒絶されるのが怖くて、その場から走り去ろうとした。
その時。
グイッ、と腕が強引に引かれ、そのまま照の大きな胸の中に抱きすくめられた。
「……え?」
「バカ。まじでバカじゃん、翔太」
耳元で聞こえた照の声は、怒っているどころか、どこか酷く安堵したように震えていた。
照は、俺の体を壊れ物を扱うように優しく、けれど絶対に離さないという強い力で抱きしめている。
「俺が、なんのために最近お前の近くにばっかいたと思ってんの」
急に、そんな質問を投げかけられる
「……え、だって、筋トレとか……」
「違う。お前が他のメンバーと飯行くって言うだけで、俺、毎回仕事に集中できなくなってた。撮影の時だって、お前が綺麗すぎて、他の奴に見せたくねぇってずっと思ってた」
照がゆっくりと体を離し、涙で濡れた頬を大きな両手で包み込む。 その親指で、優しく涙を拭われたとき、やっと、泣いていたことに気がついた。
「俺さ、ずっと翔太に男として見てほしくて、アピールしてたんだけど。……全然気づかないから、もう無理やり奪うしかないかって思ってたところ」
あいつの口元に、いつもの、けれど少し意地悪で雄々しい笑みが浮かぶ。
「照……お前、本気、なの……?」
「本気じゃなきゃ、こんなに一人の男に執着しねぇよ」
照の顔が近づき、俺は静かに目を閉じた。
自然と重なった唇は、驚くほど柔らかくて、そして体の芯まで焦がすほどに熱かった。
長年築き上げてきた「メンバー」という境界線が、音を立てて崩れ去り、新しい二人の関係が始まっていく。
「もう避けるの禁止な、翔太」
「……お前が優しくしろよ、照」
少し赤くなった顔で強がる俺を、あいつは愛おしくてたまらないというように、何度も、何度も、キスの雨を降らせた。
コメント
1件
最後の告白シーン、すごかった……壁ドンからの「無理やり奪うしかないか」は反則だわ。照はずっとアピールしてたって言うけど、渡辺sideから見ると確かに気づかなそう。お互いに「メンバーって枠」に苦しんでたのが伝わってきて、想いが通じ合ったときの安堵感が地の文からじんわり来た。ラストのキスの雨、すごく優しくて温かい描写で締め方が綺麗だった。続きが気になる……!