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【引き続きの注意】
センシティブ作品です。
本当に赤ちゃんみたいになっています。
何でも大丈夫な方だけ続きへどうぞ。
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それでもとにかく着替えさせようと、湿った下着に指を引っ掛け、ゆっくりと下へ動かした。ズボンよりも密着している下着は、水分を含んで肌にぴったりと張り付き、思うように動いてくれない。そうしてゆっくりと下ろしていくと、元貴のモノがあらわになった。ぐっしょりと濡れそぼっているそれを見ないように、無意識に視線を逸らし、そのまま一気に足元まで引き下げた。
「右あげて」
「……ん」
「OK。次は左ね」
指示を出すたびに、元貴はふらつきながらも俺の肩に必死に掴まって足を浮かせる。その動作のひとつひとつが、あまりにも頼りない。
そうしてようやく脱がせ終えると、元貴の下半身は完全に裸になった。涼ちゃんから受け取った清潔なタオルを広げ、濡れた性器や太もも、そして雫が伝うふくらはぎを丁寧に拭いていく。
「自分で拭ける?」なんて聞くのは、もうやめた。今の元貴にそれを求めるのは酷だと思った。
黙々と手を動かす。タオル越しに伝わる元貴の肌は驚くほど冷えていて、体温を奪われているのがよくわかる。まるでお風呂上がりの子供を世話する親のような手つきで、一滴の水分も残さないよう細心の注意を払う。
元貴は、身体を拭かれている最中も、それがまるで自分のものではない何かであるかのように見つめていた。羞恥心さえも、今の彼には遠い場所にあるようで、その空虚な瞳はどこか現実味を欠いている。
「よし、これで綺麗になった」
最後の一拭きを終えると、小さく息を吐いた。膝をついて立つと、達成感のようなものが胸に宿る。
「あ、服はあるけどパンツ…どうする?」
涼ちゃんが困ったような顔で呟く。
その言葉に、楽屋の空気が一瞬だけ固まった。服はともかく、替えの下着まで持ち歩いていることは稀だろう。手元の湿ったタオルを見つめ、それから元貴の白い肌へと視線を移した。
「……あー、そこまで考えてなかったな…」
思わず低く呟いてしまう。元貴は相変わらず、涼ちゃんが差し出している新品のジャージを眺めたまま、動こうとしない。このままノーパンで履かせるわけにもいかないし、かといって、この幼児のようになった元貴を置いて、誰かが買いに走るわけにもいかなかった。
その時だ。
「ぼく、もってる……」
頭上から、消え入りそうなほど小さな声が聞こえた。
「……え? なんて言った?」
俺と涼ちゃんの視線が、同時に元貴へと集まる。元貴は相変わらず視線をどこへ向けるでもなく、ただ自分の足元のあたりをぼんやりと見つめたまま、もう一度繰り返した。
「ぼく、もってる……ぱんつ…」
「ほんと? どこにあるの?」
優しく聞き返すと、元貴は力なく自分の私物が置かれている場所を指さした。
「かばん…」
「わかった、探してくる!」
涼ちゃんがそう言うと、解決の糸口が見つかった安堵からか、小走りで元貴のカバン目掛けて駆けていった。
その時、ふとした疑問が胸をかすめる。何故着替えの予備を、それも下着をピンポイントで持ち歩いていたんだろう。
乾いた喉をゆっくりと鳴らした。
ショックがなかったと言えば嘘になる。けれど、もし今までずっと元貴が一人で対処して向き合ってきていたとしたら。
どれほどの孤独と戦っていたんだろう。
どれだけ一人で、自分を隠してきたんだろう。
「…わかい、おこってる、?」
真顔で考え込んでいた俺を見て、不安になったのか眉を下げて潤んだ瞳でこちらを見てくる。
「……ううん、怒ってないよ。ちゃんと準備してたの、偉いね」
震えそうになる声を必死に抑えて、口角を上げ元貴の顔を見つめる。すると、元貴はえへへ、と嬉しそうに笑った。
「あったよ!これで合ってる?」
声のした方に目をやると、涼ちゃんがまだ包装も解かれていない新品の下着を持っていた。
涼ちゃんから下着を受け取り、再び元貴の前に膝をつく。足通しを作ってやると、元貴は俺の肩に置いた手にぎゅっと力を込めながら、促されるままに左右の足を交互に持ち上げる。その動作はやはりどこかぎこちない。
下着を引き上げ、ランニング用のズボンを履かせる。 さらりとした生地が肌を滑る感覚に、元貴は少しだけくすぐったそうに身を縮めたが、それでも視線は虚空を彷徨ったままだ
全て穿かせ終えると、元貴の強張っていた体がわずかに緩んだのがわかった。
「すっきりしたなぁ」
安心したような、安堵を浮かべた元貴の表情を見て、俺の口から自然と声が漏れる。
「良かったねぇ」
涼ちゃんも、まるで小さな子供を見守るような穏やかな表情で元貴を見つめている。最初はあれほど動揺していたのに、今ではこの赤ちゃんのような元貴を受け入れ始めていた。
「上はどうする?」
「ちょっと濡れてるし着替えないとだね」
漏らさないように握った時に上着ごと握ってしまったようで、少しだけ前が濡れていた。
「でも上下それ着たらほんとに今から走る人になっちゃわない?」
俺が少し茶化すように言うと、涼ちゃんも自分の持ってきたスポーティーなウェアを見つめて苦笑いした。
「確かに。ちょっと気合入りすぎな感じになっちゃうね」
楽屋の空気が、ようやく少しだけ柔らかくなる。俺は自分の荷物の中から、お気に入りのゆったりとしたパーカーを引っ張り出した。
「じゃあ俺のパーカーやるから、これ着たらいい感じかも」
「あ、いいね。元貴が着ると丈が長くなるから……」
「ちょうどいいじゃん、お尻まで隠れるし」
二人でそんな結論を出す間、元貴は会話の内容を理解しようとしているのか、それともただ声の響きを楽しんでいるのか、ぼーっとしながら俺と涼ちゃんの顔を交互に見つめていた。その瞳はまだ焦点が合いきっていないけれど、俺たちのやり取りを心地よさそうに受け入れているのが伝わってくる。
着ていた服を脱がせてパーカーを元貴の頭にふわりと被せると、きょとんとした顔がフードの隙間からひょこっと覗いた。
「元貴、おてて通そうか」
そう言うと、元貴は素直に袖に手を通そうとするも、やっぱり少しおぼつかない手つきだった。
パーカーの袖口を大きく広げ、そこから自分の手を潜り込ませる。筒状になった袖のなかを俺の腕が通る。
元貴は、その様子を不思議そうに見つめていた。まるでそれが何のためのものか、理解が追いついていないような表情。
「こっちの手、貸してね」
そうして掴んだ細い手首をそのまま引き戻すようにして、元貴の腕をパーカーの袖の中へと導いていった。
「そうそう、上手」
俺の手に引かれるまま、元貴の腕がゆっくりと暗い袖の中を潜り抜けていく。肌と布が擦れるわずかな音がして、やがて袖の先から、俺の指先に握られた元貴の白い手首がひょっこりと姿を現した。
「よし。次は反対な」
俺が手を離すと、元貴は自分の腕が袖に通ったことを確認するように、ぶかぶかの袖を振っていた。続いて左手も同じように、俺が袖の中から迎えに行き、彼の手首を掴んで出口まで連れていく。
元貴は、されるがままに俺に手首を握られ、引っ張られる感覚が心地いいのか、されるがままになりながら小さく吐息を漏らした。
着せ終わると、涼ちゃんが言った通り、俺のサイズだと元貴にはかなり大きくて、裾がお尻の下まで隠れている。そのぶかぶかな感じが、今の元貴の幼い雰囲気と相まって、なんだか守ってやらなきゃいけない存在感をさらに強くさせていた。
「うん、似合ってる。あったかい?」
俺がパーカーの裾を整えながら聞くと、元貴は袖をぎゅっと握りしめて、鼻に近づけた。
「……わかの、におい…する…」
ぽつりと呟いたその声は、さっきまでとは違って、どこかとろけそうな甘さを含んでいた。
「そう?貸してやるから、今日はこれでゆっくりしな」
そう言うと元貴はふにゃりと力なく笑って、俺の胸元にこてんと頭を預け抱きついてきた。
完全に電池が切れたみたいに、こちらに体重を預けきっている。そのあまりの無防備さに、俺と涼ちゃんは顔を見合わせて、言葉にならない溜息を漏らした。
「本当に……限界だったんだね、元貴」
涼ちゃんが優しく、でもどこか寂しそうに呟いて、元貴の背中を大きな手で包み込むようにさすった。
しばらくそうしていると、元貴の呼吸がだんだんと深く、規則正しいものに変わっていく。
泣き疲れたのと、安心したのとで、そのまま寝てしまいそうだった。
「元貴、寝るならソファー行こう」
トントンと背中を叩いて耳元で語りかけると、元貴は眠りを邪魔された子供みたいに、低く喉を鳴らして唸った。
眉間にうっすらと皺を寄せて、パーカーに顔を埋めたまま動こうとしない。
「やなの?」
そう聞くと、さらに深く顔を埋めて唸るだけ。
いつもなら周囲に気を遣って、眠くても背筋を伸ばしているはずの元貴のそんな態度に、俺は困ったような、でもどこか愛おしいような気持ちになった。
「ごめんね、ちょっとだけ頑張ろうね」
俺はそう言って、嫌がる元貴を抱きしめ、二人三脚のようにソファーへ向かう。
涼ちゃんも反対側から、「もうちょっとだよー」と優しく声をかけて支えてくれる。
元貴は足元をおぼつかせながらも、一歩、また一歩とソファーへ向かった。
「んー……ぅうー…」
まだ何か言いたげに小さく唸っているけれど、その声に力はない。
ようやくソファーに辿り着き、元貴の身体をゆっくりと沈ませる。
座面に着いた瞬間、元貴は待ってましたと言わんばかりに、ごろりと横になって膝を丸めた。
ぶかぶかのパーカーに包まれて丸まったその姿は、まるで大きな繭のようだった。
床の片付けなど、まだやることは山積みだったけれど。
今はただ、この小さな寝息を立て始めた彼の平穏を一秒でも長く守ってやりたいと、心から思った。
おわり。
#wki受け
コメント
2件

たまらん、、、、、!!!!!!!! 可愛すぎる😍😍😍😍😍😍😍😍😍