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#怪獣8号
大野福🌕🪽
6,242
注意 この話はとても長いです
・・・・・・・・・
最終話 月舟の約束
封印の門が、ゆっくりと開いていく。
銀色の光が回廊を埋め尽くし、佐野は思わず目を細めた。
「佐野くん!」
暗の声が遠く聞こえる。
だが、門の向こうから響く少女の声は、それ以上に強く心を引いた。
『来て。思い出して』
その瞬間、佐野の三日月紋が眩く輝いた。
世界が白く染まる。
そして命は、すべてを思い出した。
――遥か昔。
星々の狭間を渡る舟。
その名は「月舟」。
月舟は世界の記憶を運び、時の流れを守る存在だった。
だがある日、闇が星々を呑み込み始めた。
その闇を封じるため、一人の少女が自ら眠りについた。
月舟の巫女。
佐野によく似た少女。
彼女の名は――月乃。
そして佐野は驚く。
月乃は命の前世の人だ。
月乃は微笑んだ。
『私は記憶を守るために眠った』
『そしてあなたは、その未来として生まれた』
「俺が……未来?」
『うん』
月乃は静かに頷く。
『だから鍵を持てたの』
その時、黒い霧の男が門の中へ踏み込んできた。
赤い瞳が妖しく光る。
「感動の再会は終わりだ」
男の体から闇が溢れ出す。
「封印が続く限り、私は消え続ける。ならば世界ごと解き放つまでだ」
暗が札を出す
「やはりお前だったか、影喰い」
影喰い。
それは封印された闇そのものだった。
長い年月の中で意思を持ち、解放の機会を狙っていたのだ。
闇が空を覆う。
星々が消えていく。
回廊が崩れ始めた。
「佐野くん!」
暗が叫ぶ。
「今ならまだ封印できる!」
「でも……!」
封印すれば、月乃は再び眠りにつく。
ようやく出会えたのに。
その時、月乃が優しく佐野の手を握った。
『大丈夫』
「……寂しくないのか?」
月乃は少しだけ考えてから笑った。
『寂しいよ』
『だけどね』
彼女は空を見上げた。
『守りたい未来があるから』
その言葉に、佐野の胸が熱くなった。
守りたい未来。
友達。
家族。
学校で過ごす何気ない毎日。
暗との出会い。
全部が大切だった。
だから前を向く。
「俺が守る」
三日月紋が輝く。
月乃の光と重なり、一つの大きな月となった。
「月舟の鍵よ――」
世界中の星が応えるように瞬く。
「未来を守る力になれ!」
光が解き放たれた。
銀色の波が闇を包む。
影喰いは叫んだ。
「馬鹿な……!」
闇は砕け、星の粒となって消えていく。
やがて静寂が訪れた。
崩れかけていた回廊も止まり、空には穏やかな星々が戻っていた。
月乃の姿が少しずつ薄れていく。
「月乃!」
佐野が手を伸ばす。
月乃は最後まで微笑んでいた。
『ありがとう』
『私の未来』
その言葉を残して、光の中へ溶けていった。
――。
気がつくと、佐野は図書室にいた。
机に突っ伏して眠っていたらしい。
窓の外では夕日が校庭を赤く染めている。
「夢……だったのかな」
そう呟いた時。
手首を見る。
三日月紋は消えていた。
代わりに、小さな銀色の欠片が掌に残っていた。
「……」
その時、図書室の扉が開く。
振り向くと、暗が立っていた。
いつもの無表情。
だが少しだけ優しく笑っている。
「帰りますよ」
「は?」
「また遅刻する気ですか?」
佐野は思わず吹き出した。
「今放課後なんだけど?」
「そうでしたね」
二人は顔を見合わせて笑った。
図書室の窓から見える空には、一番星が輝いている。
どこか遠くで、白い舟が静かに進んでいる気がした。
未来へ向かって。
いつまでも。
・・・・・・・・・・
完結です(絶対に)
てことでバイなら
コメント
1件
わあ…読み終わって、しばらく呆けてしまいました。第8話、最終話だったんですね。佐野くんと月乃の再会が、出会ったばかりなのにずっと前から知ってたような温かさで、胸がぎゅっとなりました。「守りたい未来があるから」って月乃が笑ったところ、本当に優しくて強いなって。最後、図書室で暗さんと他愛ない会話をする佐野くんの日常が戻ってきて、ほっとした反面、月乃のいない世界が切なくて…。銀色の欠片が掌にあるの、大切な証みたいですごく好きです。完結、お疲れさまでした!✨