6月12日
小柳くんに家に来ないか、なんて誘われてついて行った。家についてまず最初に案内された部屋がここ。ベットと机と椅子といくつか本が入った棚がある。最初は殺風景だけど小柳くんらしいと言えばそうかな、とか思ってた。でも途中でおかしなことに気づいた。この部屋には窓がない。
それを小柳くんに尋ねた。でも小柳くんはなんていうか俺の話が通じてない?感じでつい俺もいらいらしちゃって大きな声を出した。そしたら笑ってた小柳くんの顔が急に怖くなって首に何か刺されて……気づいたらベットで寝てた。今俺の足には鎖がついててこの部屋の中しか自由に動けない。
小柳くんがこんなことをしたなんて信じたくない……。次この部屋に来たら今度こそちゃんと話し合いたいな。
部屋にペンとメモ帳があったからライやカゲツ、Oriensのみんなが助けに来てくれた時のためにこの日記を残しておこうと思う。小柳くんの真意はわかんないけど、万一何かあったときのために起きたことをなるべく細かく書くつもり。
流石に1週間くらい俺が音信不通になったら誰か気づいてくれるよね?
6月13日
カゲツが部屋に来た。助けに来てくれたんだと思ったけど違ったみたい。もう変身して力ずくにでも逃げてやろうと思ったけどなぜか変身できなかった。その時にライがどうこうってカゲツが言ってたから多分ライも共犯なんだと思う。
なんで俺こんな目にあってるんだろうって、思い当たることなんもないからカゲツに聞いた。そしたらなんて言ったと思います?俺のことが好きだからだって。つくならもっとマシな嘘つけって話ですよね!
できるだけ明るく書いてますけど、正直かなり辛いです。渡されたゼリーも食べる気になれないし、かといって寝るのも怖いし。もう頼れるのはOriensのみんなだけです。早く助けてほしい……。
6月14日
やっぱりライが部屋に来た。嫌だって言ったのに無理やりゼリーを流し込まれて最悪でした。いつもよりなぜか上機嫌なのも怖い。
昨日のカゲツのことを思い出してライには直球で聞いてみた。返ってきたのは肯定で、なんとなくそうなのかなって分かってたはずなのに何も言えなくなっちゃった。もうなんか誰のことも見たくなくて俯いてたら急にライの顔が近づいてきて……。
びっくりしたのはもちろん、大切な同期で仲の良い友人!……なんて思ってたのは俺だけだったんだって思ったら無性に悲しくなった。意味ないって分かってるのに泣いて、暴れて、気づいたら寝ちゃったみたい。
こんな生活、いつまで続くんだろ。順番的に明日は小柳くんが来るのかな。……やだなぁ。
6月15日(16日かも?)
目が覚めたら誰かに後ろから抱きしめられてた。最初は小柳くんかと思ったけど金木犀の匂いがしてまさかと思って振り向いたらマナがいた。どういうこと?3人じゃなくてマナまで?Oriensも共犯なの?
俺が逃げようとしたらマナが起きた。聞いたことないくらい甘い声で好き好き言われたけど受け入れられなくて突き飛ばしちゃった。そしたらまた注射みたいなの首に刺されて……そこから記憶ない。
変な薬打たれたせいで頭がふわふわして今日が何日か分かんなくなっちゃった。まぁ推定でも書かないよりはマシですよね。Oriensも共犯なら、この日記って誰に宛てて書けばいいんだろう。マネさんとか、先輩とか…?
6月17?日
肌寒くて起きたら服が無かった。頭もまだ少しふわふわしてる。部屋のドアが開いたと思ったらイッテツが覗いてた。自分から開けたくせにびびってて、……これも前なら笑えたのに、なんて考えて自分で辛くなっちゃった。
今まで来た人とは違ってなんか申し訳無さそうだったな、イッテツ。俺が服着るまで頑なにこっち見なかったし。でもここから出してって言ったら断られちゃった。やっぱりイッテツもそっち側なんだ。
ほんの少しだけゼリー食べたからかな?今日は薬を打たれなかった。明日もイッテツだったらいいなって思うけど多分違う。どうせ2人のうちどっちかなんだよね。
6月19?21?日
この前より頭のふわふわが増してる。自分が自分じゃなくなってくみたいで怖い。泣きたくないのに涙が止まらなくて部屋にリトが来たのにも気づけなかった。
リトに何か言われたけどうまく理解できなかった。身体に力入んなくて這いつくばりながらドアの方に行った。どうせ逃げれないのに。鎖で行ける限界まで行ったところでリトに後ろから抱えられて連れ戻された。
もう意味わかんなくて怖くて暴れたら爪でリトのこと傷つけちゃった。そしたら多分殴られた。気絶したみたいで覚えてないけどお腹にアザができてたから事実だと思う。
あと薬のせいかな。この部屋に来る前の記憶がどんどん曖昧になってってるみたい。前に書いてた先輩のこともマネさんのことも思い出せない。これ以上この部屋にいたらおかしくなる。
6 月 日
頭が痛い。何か思い出さなきゃいけないはずなのに何も考えられない。ベットでうずくまってたらウェンが来た。何も分かんないまま久しぶりにご飯食べさせられた。今日も薬は打たれてない……けど今考えたらご飯に入ってたのかも。
あと今日ウェンに好きって言われた時、なぜか嬉しいって思っちゃった。薬のせいでみんなにやられたことも曖昧になってる気がする。日記のおかげで思い出せたけど……この日記が無くなったら本当にまずい。
いつもは枕の下に隠してるけど今日は本棚の奥に入れとこうかな、この日記。
月 日
月 日
「で、日記はここでお終いってわけ。どうする?これ。」
「処分してよくなーい?」
「えーでも俺らの思い出としてさ!とっとくのも有りやない?」
「それでこのことがバレたら元も子もないやろ。」
「……話変わるけど、完全に薬回ったみたいだったよ。な、テツ?」
「うん。さっき部屋行った時俺たち見てもにこにこしてた。」
「良かった!ひとまず俺らの計画は成功だね!」
心のどこかではこれが異常だってみんな分かってる。でも一度手に入れた美しい蝶を逃がせるほど、清い正義の心を俺たちは持ってなかったみたい。
まぁそれもしょうがないか。だって
恋は盲目、って言うもんね。
スクロールありがとうございました。
元々3話〜6話の話が書きたくて書き始めたのに……気づいたらだいぶ凝った1話になってました。不思議ですね。
コメント
2件
日記で物語が進んでいくの面白いですね 続きが楽しみです!
え、最高過ぎる こういう薬漬け監禁系好き💗