テラーノベル
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#愚痴
「――次の番号の方、どうぞ」
スタッフの冷たい声が響いた瞬間、僕は持っていたエントリーシートを危うく落としそうになった。いけない、また手の力が抜けていた。
深呼吸、深呼吸。頭の中でそう唱えながら、会議室の重いドアをノックする。がちゃり、と開いた部屋の空気は冷たくて、前方の長い机には3人の面接官がズラリと座っていた。中央のプロデューサーらしき男が、手元の資料に目を落としたまま低く言う。
「どうぞ。お掛けください」
「あ、はいっ! よろしくお願いします!」
椅子に座る。その瞬間、僕の視界の端で、窓の外を横切る一羽の鳩が目に入った。
――あ、あの鳩、羽の柄が左右非対称だ。珍しいな。待て待て、今はそれどころじゃない! 面接、面接!
「えーと、君は……特技が『どこでも一瞬で眠れること』、趣味が『頭の中で勝手に架空のライブを構成すること』、か」
中央の面接官が、呆れたような、あるいは面白がっているような絶妙なトーンで言った。
ピクリ、と僕の足が勝手に揺れ始める。貧乏揺すりだ。慌てて両手で自分の太ももをガシッと掴んで固定する。
「はいっ! 器用なことはあまりできないんですけど、その……集中しすぎると周りが見えなくなっちゃう過集中っていう性質がありまして、でも、ステージの上だけは、その、誰よりも……!」
言葉が喉につかえそうになる。決めていた台詞が頭からスポーンと抜けた。
やばい、真っ白になった。どうしよう。でも、ここで引いたら――。
僕は思い切って、目の前の面接官の目を真っ直ぐに見据えた。
ここから先の展開をどうするか、お好みに合わせて進めることができます!面接を何とか乗り切り、見事に「合格」した後のワンシーンを作成しました!
「合格」のワンシーン(サンプル)
「――以上で、オーディション面接を終了します。結果は後日……」
言いかけたスタッフの言葉を遮るように、中央のプロデューサーがふっと笑った。
「いや、待て。後日なんて焦らす必要もないか。君、名前は?」
「えっ、あ、はい! 店名……じゃなくて、輝明です!」
緊張のあまりフルネームの順番がごちゃ混ぜになりかけた僕に、プロデューサーは一枚の合格通知書をスライドさせた。
「明日から、アイドル候補生のレッスンに参加してもらう。……派手にやらかすなよ、面白そうだから合格だ」
「……え?」
合格、という二文字が頭の中で何度も反響する。
やった、受かったんだ。嬉しさが爆発して、思わずその場で飛び上がりそうになったけれど、椅子の脚が床を盛大に「ガッ!!」と鳴らしてしまい、慌ててお辞儀をした。
「ありがとうございます! 絶対、ぜったい頑張ります!」
帰り道、足取りは驚くほど軽かった。
電柱の影から伸びる自分の影を踏みつけながら、スマホを取り出す。ポケットの中でバラバラになっていたイヤホンのコードが、いつの間にか複雑な知恵の輪のように絡まっていた。
「……まあ、いっか! 俺、アイドルになるんだから!」
夕日に染まる空に向かって叫ぶと、心の中の多動なエンジンが、これから始まる未来に向けて、今まで以上に激しく、そしてワクワクと回り始めた。
コメント
2件
ありがとう
第2話、めっちゃ良かった!面接の緊張感がすごくリアルで、鳩の羽の柄が左右非対称って気づいちゃう感じとか、貧乏揺れを太もも掴んで必死に抑えるとことか、細かい描写が活きてて思わずニヤついた。「面白そうだから合格」ってプロデューサーのノリも最高だし、この主人公の♡♡♡だけど魅力的な感じ、めちゃくちゃ好きだわ🔥 続き読みたい!