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第6話 気づいてしまった気持ち
翌朝。
莉犬は、いつもより早く学校に来ていた。
莉犬「…………」
机に頬をくっつけながら、昨日のことを思い出す。
るぅと『……います。好きな人』
莉犬「……うぅ……」
思い出しただけで、胸が苦しくなる。
莉犬「誰なんだよぉ……」
ぽつりと呟いた、そのとき。
ころん「おーい、莉犬君!」
莉犬「……ん?」
顔を上げると、ころんが目の前に立っていた。
ころん「朝から何その顔。眠いの?」
莉犬「……別に」
ころん「絶対なんかあるじゃん」
莉犬「何もないってば!」
ころん「ふーん?」
ころんはニヤッと笑った。
ころん「……もしかして、恋?」
莉犬「っ!?!?」
莉犬「ち、違う!!」
ころん「え、図星?」
莉犬「違うってばぁ!!」
ころん「あははっ! 怪しすぎ!」
莉犬「もう! ころちゃんなんて知らない!」
ころん「はいはい、ごめんって」
笑いながら、ころんは自分の席へ戻っていった。
莉犬「…………」
莉犬は、そっと胸に手を当てた。
ころちゃんと話すのは楽しい。
昔からずっと、大好きな人。
なのに。
昨日から、頭に浮かぶのは――
莉犬「……るぅとくん」
その名前を口にした瞬間。
莉犬は机に顔を伏せた。
莉犬「……やっぱり、変だよぉ……」
一時間目が終わった休み時間。
莉犬が廊下に出ると、ちょうど教室からるぅとが出てきた。
るぅと「あ、莉犬!」
莉犬「……っ!」
るぅと「おはようございます」
莉犬「お、おはよう……」
るぅと「?」
るぅとは不思議そうに首を傾げた。
るぅと「なんだか、昨日から様子がおかしいですね」
莉犬「そ、そんなことない!」
るぅと「本当ですか?」
莉犬「本当!」
るぅと「……僕、何かしちゃいました?」
莉犬「えっ?」
るぅと「昨日、急に帰っちゃったから……何か気に障ることを言ったのかなって」
その声は、いつもより少しだけ不安そうだった。
莉犬「……っ」
違う。
るぅとは何も悪くない。
勝手に嫉妬して。
勝手に苦しくなって。
勝手に逃げただけ。
莉犬「……違うよ」
るぅと「え?」
莉犬「るぅとくんは、何も悪くないから」
るぅと「……そうですか?」
莉犬「うん……ごめんね」
るぅとは、ほっとしたように微笑んだ。
るぅと「よかった」
その笑顔に。
莉犬の心臓が、大きく跳ねた。
莉犬(……あ)
莉犬(俺、この笑顔が好きなんだ)
そう思った瞬間。
莉犬は、慌てて目を逸らした。
るぅと「莉犬?」
莉犬「な、なんでもないっ!」
るぅと「……ふふっ」
莉犬「だから笑わないでぇ!」
昼休み。
莉犬は、ころんと一緒に購買へ向かっていた。
ころん「でさー、昨日のゲームなんだけど」
莉犬「うん」
ころん「今度、また一緒にやろうよ」
莉犬「……うん!」
いつも通りの会話。
いつも通りの笑顔。
なのに。
ころんが楽しそうに笑っていても、莉犬の頭の片隅には、るぅとの顔が浮かんでいた。
ころん「莉犬くん?」
莉犬「えっ?」
ころん「聞いてる?」
莉犬「あ、ごめん!」
ころん「……珍しいね」
莉犬「な、何が?」
ころん「莉犬くんが僕の話、聞いてないなんて」
ころんは少しだけ真剣な顔になった。
ころん「……なんかあった?」
莉犬「…………」
莉犬は迷った。
ころんには、何でも話してきた。
好きな人のことだって。
でも。
今の気持ちを話すのは、なぜか怖かった。
莉犬「……ころちゃん」
ころん「ん?」
莉犬「……好きな人ができたら、どうする?」
ころん「……え?」
莉犬「あっ、いや! 例えばの話!」
ころん「ふーん……」
ころんは少し考えてから、笑った。
ころん「そりゃ、嬉しいんじゃない?」
莉犬「……嬉しい?」
ころん「うん。好きな人ができるって、いいことじゃん」
莉犬「…………」
ころん「まあ、相手が誰かにもよるけどね!」
莉犬「……そっか」
ころん「莉犬くんは?」
莉犬「え?」
ころん「好きな人、できたの?」
莉犬「っ!!」
莉犬「な、なんでそうなるの!?」
ころん「あははっ! やっぱり怪しい!」
莉犬「もーっ!!」
ころんは笑っていた。
けれど、その笑顔を見ながら。
莉犬は、初めて気づいた。
ころんのことが好きだった気持ちは、嘘じゃない。
でも。
今、隣にいてほしいと思う人は――
莉犬(……るぅとくん、なんだ)
放課後。
莉犬は、教室で帰る準備をしていた。
すると。
るぅと「莉犬」
莉犬「……!」
振り向くと、るぅとが立っていた。
るぅと「今日、一緒に帰りませんか?」
莉犬「……え?」
るぅと「嫌ですか?」
莉犬「ち、違う!」
思わず大きな声が出た。
るぅと「……ふふっ」
莉犬「……っ、もう!」
るぅと「じゃあ、一緒に帰りましょう」
莉犬「……うん」
二人は並んで歩き始めた。
けれど。
今日は、いつもと少し違っていた。
隣を歩くるぅとの横顔を見るたびに、莉犬の胸がドキドキする。
手が触れそうになるだけで、意識してしまう。
莉犬(……どうしよう)
莉犬(俺、本当に……)
そのとき。
るぅと「莉犬」
莉犬「は、はいっ!」
るぅと「……そんなに緊張しなくても」
莉犬「き、緊張なんかしてない!」
るぅと「そうですか?」
るぅとは少し笑ってから、前を向いた。
るぅと「……僕は、嬉しいですけど」
莉犬「……え?」
るぅと「莉犬と一緒に帰れるの」
莉犬「…………っ」
顔が、一気に熱くなった。
莉犬「……そういうこと、簡単に言わないでよ」
るぅと「え?」
莉犬「……なんでもない」
るぅとは不思議そうにしながらも、それ以上は聞かなかった。
そして。
るぅと「……莉犬」
莉犬「ん?」
るぅと「今度の土曜日、空いてますか?」
莉犬「……土曜日?」
るぅと「はい。もしよかったら……僕と出かけませんか?」
莉犬「…………えっ!?」
るぅと「嫌なら、無理にとは言いませんけど……」
莉犬「い、行く!!」
思わず即答してしまった。
るぅと「……ふふっ。よかった」
莉犬「……っ」
るぅと「じゃあ、土曜日。楽しみにしてますね」
そう言って笑うるぅとを見て。
莉犬は、もう誤魔化せなかった。
莉犬(……好きだ)
莉犬(俺、るぅとくんのこと……好きなんだ)
まだ、本人には言えない。
でも。
ようやく、自分の気持ちに気づいた。
その頃。
るぅとは帰り道、一人でスマホを見つめていた。
画面には、莉犬とのメッセージ。
『土曜日、楽しみにしてる!』
その文字を見て、るぅとは小さく微笑んだ。
るぅと「……よかった」
けれど、その直後。
スマホに、別のメッセージが届いた。
『土曜日、空いてる? 話したいことがあるんだけど』
送り主の名前を見た瞬間。
るぅとの表情が、わずかに曇った。
るぅと「…………」
しばらく画面を見つめたあと。
るぅとは静かにスマホを閉じた。
るぅと「……今度こそ」
小さく呟く。
るぅと「……ちゃんと、伝えたい」
その言葉の意味を。
莉犬は、まだ知らない。
そして土曜日。
二人の関係が、大きく動き始める――。
次回 初めてのデート
終了!!
物語では、「?」「!」
とかで
💬の時は、「.ᐣ」「.ᐟ」
使います.ᐟ.ᐟ
おつむぅ!!
なんかリクエスト募集してます!!
コメント
4件
どっちから告白するんや?!
ああ〜〜〜〜もう!莉犬くんの気持ち、ついに気づいちゃったね🥀💗 るぅとくんの笑顔にドキってなって、「この笑顔が好き」って自覚したところ、すごく丁寧で良かった……。 ころちゃんとの会話も、昔と違う自分に戸惑う感じがリアルで、胸キュンを通り越して切ないよ。 最後のるぅとくんの「今度こそちゃんと伝えたい」の呟き、なんか意味深で……次回が怖いし楽しみ。 土曜デート、何が起きるんだろう。</s>