戦後アメ日です
軽い設定として、その国に何らかの変化が起きた際に肉体の再構築が行われてます。
戦後なので参戦国は全員肉体的には変わってます、精神(魂)は同じです。ガワだけ入れ替わってる感じ。傷跡とかもないです。それでも良ければどうぞ。
「よう、2日ぶり」
片腕を高く上げるふざけた格好の男が、視界の端にうつる。
「…何しに来た?俺…あー、僕は来るなと言ったはずだが」
8月も終わりに近づいてきたが、まだまだ夏は終わらない。
燃えるような暑さが街を覆う。
肌を刺すような日差しが、目の前の男…アメリカの事のように思えて。
ついにイカれちまったのかもな、忌々しい太陽め。
「はは、つれないこと言うなよ。てか、ちゃんとやってんのね、口調矯正」
お前の事だから、早々に辞めてんのかと思ってた、なんて口角を少し上げて笑うアメリカ。
その相手を舐めた態度が本当に憎らしくて、気持ち悪くて、でも怒る力も残っていなくて。
いくら肉体が変わろうと、心ではあの全身が燃えて、汚染された雨に打たれる痛みは残ってるんだ。擦り減った精神力では、”意地でも生き残る”以外の感情なんて無駄だし湧いても来ない。
「んでさ、行くだろ?飯!」
「はぁ?」
「んま〜〜!!!お前も食えよ!」
昼も過ぎ、人通りの多い町の中。
てらす席とやらで昼食を取る。
どうやらアメリカの行きつけの店らしく、こいつと同じようなテンションで質問攻めにされたのは記憶に新しい。
「…ここ、箸とかないのか?」
使えないことは無いが、やはり外国の物は使いにくい。洋食レストランであるこの場所で箸を使うのはマナー違反であると思うが、汚く食べるほうがよっぽどマナー違反だ。
「ある訳無いだろ?いい加減慣れなよ、もう六十年はたったぜ?」
「開国からの年数とナイフとフォークが使えるかどうかは関係ないだろ!」
クソガキが、痛い所を突いてきやがる。
「もう諦めてステーキ食えよ、お前も腹減ってんだろ」
確かに最後に食事を取ったのは昨日の昼だし、腹も空いているが、こいつの言う通りにするのは俺…じゃなくて、僕のプライドが許さない。
だが…
「…!!お、いしぃ…!!」
美味しさに思わず頬が緩む。やはり欲求には逆らうべきじゃない。戦争はもう終わったんだ。物資だってアメリカから少しずつだが貰っているし、この位…少しくらい良いだろう。
「っ…そうかよ!」
「これ、全部…僕が食べていいんだよな…?」
「当たり前だ、俺の奢りだからって残すなよ」
「するわけ無いだろ、もったいない」
こんな料理食べるのなんて、久々だ。昔は数回イギリスやフランスに連れて行ってもらったっけ…
どれも前の体の話だが。その時は箸を用意してもらっていたんだ。
懐かしいなぁ。
「そう言えば、これが終わったらアメリカはどうするんだ」
「そりゃ買い物だけど」
「…戦勝国サマは気楽で良いですね〜」
当たり前かのように”労働”以外の選択肢が出てきて苛つく。こっちは仕事がまだまだ残ってるってのに。まぁ聞いたのは僕なんだが。
「何言ってんだ、お前のよ、お前の」
そこで僕は今日二度目の盛大なため息をだした。
コメント
2件
うわ設定が大好きすぎました、、😭😭この設定のお話一生読みたいぐらいです。 まだ口調が完全に抜けきっていない日本さん、とっても大好きですめっちゃ刺さりました!!