テラーノベル
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《12回裏、ランナー一塁というとこで、次のバッターは大勢に回りますが月城が準備しています》
《一昨日一軍登録されてどこで使うのかと待ち望んでいましたが、ここでと。まさに月城らしい。》
“バッター大勢に変わりまして、月城”
《歓声がすごいですね、笑》
《月城がこれだけ期待されてるってことですよ》
《さぁ、若様のルーティーンが始まりましたよ》
いつものルーティーン。
バッターボックスに入る前、ベンチに向かって左胸に手を当て頭を下げる。
《彼のこのルーティーンが始まってから若様と呼ばれるそうになったんですねぇ、》
《王子のような人ですからね。》
月城の応援歌が三年ぶりに東京ドームに響く。
栄光の道を 駆け抜けろ仁
力の限り 白球を追え
勝利へと導け その一打
月城仁 我らの夢
ここで月城が敬意を示し、ライトスタンドに向かってバットを掲げる。
帰った来たぞ、と。
《内野陣が集まりました。やはり月城を警戒していますね。》
《サヨナラのチャンスですから、そりゃねぇ》
《月城はここで次のバッターにつなげるのか、自分がサヨナラをするのか、!!》
初球 ボール
《おや、今月城がニヤッとしましたね?》
《余裕そうですね~、》
高く上がって、伸びて、伸びて!!
ライトスタンドに入りました!!!
《ファンも涙しています、これぞ月城の力》
《我らの月城が、帰ってきました!!!》
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