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第肆話【新たな傷】
はっきりと、歩みを進める。
だが、今の自分には、
迷いが生じていた。
どう、復讐するべきか。
本当にわからないことだから。
「ありがとうございます~」
なぜか目に留まった、
八百屋の、リンゴを買った。
笑顔がいっぱいの、女の子がこちらを見る。
「………、はい。では」
「は~い、また来てくださいね~!」
「…」
うつむき、歩いている。
きっと、どこまでも。
「………、」
走っていこうと思ったとき。
と、叫び声がした。
すぐさま振り向くと、
あの女の子が人質に取られていた。
悩む暇なんかなかった。
気が付くと、自分は走り出していた。
考えるよりも先に。
「やめろ!」
というと、そいつは、その子に銃をつきつけ、
「ハッ、こいつがどうなってもいいのかッ!!」
と、悪役の台詞をいう。
でも、どうなってもよくない。
自分の非力ゆえに人が死ぬなんて、
もう、見たくない!
足を上げる。
銃が飛んだように見える。だが、
「……………バカだな、お前」
銃を構えられる。
銃口が自分に向き、迷いなく引き金を引かれる。
軍に入っていたこともあって、
自分はちゃんと避けれた。
が、
その子はすでに、血だらけになっていた。
自分でもわかる、震えている声だ。
「………、たびびと、さ、」
目が、閉じる。
「あ、あ、」
あの風景が、
自分が助けられなかった姿が。
人が、人が、
自分にかかわった人が。
死ぬなんて、
膝から崩れ落ちる。
「なんてこと、してくれたんだ!!」
最悪のにおい。鉄の味。
あの時と同じ。
最悪だ、最悪だ、最悪だ―――。
また、守れなかったのか。
自分の所為か?
道が血に濡れる。
頭の中がぐるぐる回って、
この場所から動けない。
次、血を見るのは、彼奴が死ぬときと決めていたのに!
許せない、許せない、自分の前で人が殺されて、
救えた命が、まだあった命が、
「………、!!」
両の視界が濡れる。
「……―――~~~ッ!!!」
あの時から、自分でもわかってしまうほど、
自分は、
自分は。
「なんで?単純な理由だ。殺りたかったから、それだけだ。」
ひどい、あまりにもひどい――。
理由だった。
彼奴も、そんな単純な理由で?
そんな理由だとしても、人は殺したらいけない。
倫理観などない。
そんな世界に生まれたことを、今はただ。