コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「…みことちゃん、久しぶり」
俺は墓石に声を掛ける
「また俺のイラストバズったんだよ?あとみことちゃんの好きそうなカフェも見つけちゃった」
「それと最近またらんらんが女声講座やってて、俺だけ前受けてなかったから1番酷くて…」
もう居ない人に話しかけるのは余り良くないこと。それでも聞いて欲しいから…でも今日は
「…ごめんねみことちゃん。そいえば今日用事があったんだった。綺麗にしてから帰るからね。」
『すちくん?』
一瞬振り返りそうになった。だってだってあの声は____
あの声は他でもないみことちゃんだったから。
今すぐにでも振り返って抱きしめたい。
今すぐ振り返って話したい。
今すぐに振り返って顔を見たい。
今すぐにでも振り返りたい。
だけどそれはありえないから。
もう居ないんだから。
きっと今のは幻聴。
だから____
『あぁっ!?ちょっすちくん!!帰らんといて?…てか待って?これって俺の声聞こえてるんやろか…?』
「…みことちゃん?」
『わぁやった!!すちくんに聞こえてたんや!!じゃあなんでずっと前向いとるんやろ?こっち見てや』
思わず声に出してしまった
何度も幻聴聞いたら普通反応するでしょ
でもどうせ俺の妄想とか俺のせいで異常をきたしてるだけだから。
ホンモノはもう居ないから…
そう思うことにしてたのに
ガバッ
「!?」
不意に背中になにか乗った
『もーすちくん無視せんといて?俺悲しくなるんやけど。』
ホンモノだ。声もこの温もりも匂いも全部全部。
もう二度と感じることの出来ないと思っていたのに
「…みこ、と…ちゃ、ん?」
『そうだよみことだよ。 』
「本、当にみ…こと、ちゃん…?」
『本当やからすちくん泣かんといて?』
「…泣いてな、んて…無い、から」
『大丈夫やで?俺以外見とらんし』
そう言われて緊張の糸が切れたように泣き喚いた。
しばらく泣いてから、みことちゃんと一緒に向かった。
大きな大病院。
広くて静かなそこに無機質な機械音が響いていた。
ピーッピーッ
命の終わりを告げる鐘の音
眠るように息を引き取った青年は笑っていた。