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願望と捏造まみれ。藍にこんな背景があったらいいなのきもち。
「なあ、仁人」
『…ん?何、そんな顔して』
ふと恋人に声をかけられたかと思えば、 顔を顰めて、どこか悲しそうな、それでいて怒っているような…そんな表情の恋人と目が合う。
「曲、聴いたよ」
『ああ、…藍?どうも』
「なんであんな歌詞なん」
「俺と失恋でもする予定?それとも過去の話?」
なるほど、そういうことか。
最近出した曲が失恋ソングで、その歌詞がどうも彼には気に入らなかったご様子。
『…んー。過去と言えば過去ですけど』
『あれはあくまでも曲。あんな失恋はしてないよ笑』
「…..ふーん。」
あんまりこの人は俺の過去について聞いてこない。だから、俺も彼の過去についてはあんまりに聞かない。…とはいえ、納得がいってないらしい。
『ぅ、わ…何、そんなやだった?』
急に抱きついてきては、グリグリと頭を擦り寄せられる。こうなるくらいだから、よっぽど嫌だったんだなぁ。
「そりゃ嫌だろ。お前に過去の記憶があんのも、お前にそんな思いさせた奴がいんのも、俺以外のこと考えて書いた曲があんのも、…」
『はは、笑そりゃそっか』
『俺はもう佐野さんしか見えないし、今後失恋予定は無いと思って生きてるんですけど。』
『それじゃダメ?』
「…出た、その口…..」
「マジずりぃ。なしだろ、許しちゃうだろそんなんされたらぁ…」
わざとらしく上目遣いなんかして、いつも勇斗が嫌がるかわい子ちゃんを演じてみる。すると勇斗はやられた、というような顔をしている。
『ふは、笑笑相変わらずちょろい…』
「…お前がそうやって、俺で笑ってくれてんならいいか。」
「失恋予定なんて作らせねーよ」
『…そりゃどーも』
ちぅ、と頬にキスをされた。もうそれ以上のことなんてとっくに終わっているはずなのに、不意打ちのキスにはまだ慣れない。顔が熱い。
勇斗はすっかり、俺が勇斗以外の人を想っていた過去があると思い込んでいるかもしれないけど。
本当は貴方のことを想って書いた曲、なんて。