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「そこらに散らかっているモノには触れてはいけませんよ。」

「何が起こるかは、私にも分かりませんので…♪」






薄暗い路地裏、冷たい風が俺を襲う。

街は昼間の為明るいというのに、ここはどうだ?不気味で少しおっかない場所…けど、やっぱり気になる。

俺は好奇心に負けて、その路地裏へと足を運んだ。


道は狭く、やっぱり冷たい。とても寒い訳ではないが、手先が少しだけ冷たくなる。


路地裏を抜けた先にあったのは、その場所には似合わない、まるで魔道士でもいるんじゃないかと言わんばかりの豪華で不思議な建物。

俺は唾を飲み込んで、恐る恐るドアに手を掛けた。

すると…


「おや?お客さんですか?」


その突然の声に俺は思わず驚いて、大声をあげ尻餅をついてしまった。


声を掛けてきたその人の姿は、まるで本物の魔道士のように、割と大きなマントを羽織っていて片眼鏡をつけていた。


「驚かせてしまってごめんなさい、大丈夫ですか?」


困ったような顔でそう言ってきたが、色々と大丈夫ではない。

咄嗟に俺は首を横に振ってしまった。


「あらまぁ大変!!では、此処で少し休んで行ってください…♪」


その人はあの建物の扉をゆっくり開けてそう言ってきた。どうやらこの建物は…この人の所有物らしい…俺はまた唾を飲み込んだ。


「どうぞ此方へ、今本を持って来ますね♪」


その人はそう言って近くの棚を漁り始めた。

案内された室内では色々なモノが転がっていて、葉っぱやガラス瓶、謎の液体や散乱した本など。お世辞でも綺麗とは言えなかった…。


俺は我慢出来ず、側にあった謎の小瓶に手を伸ばした。


「…あぁ、そこらに散らかっているモノには触れてはいけませんよ。」

「何が起こるかは、私にも分かりませんので…♪」


伸ばした手の先の小瓶は、その人の手によって塞がれた。その人の顔を見ると、俺に微笑みかけていた。

ほんの少しだけ不気味に思えた。


「それでは、回復魔法の言葉が載っている本を持ってきたので、今から唱えていきますね♪」


何故か楽しそうに見えるその姿に少々驚きと呆れを感じつつも、唱えている姿は本物の魔道士だった。

尻餅をついた時の下半身の痛みはまるで消え、気分すらもとても良くなった。



唱え終わって、気分はどうかと聞かれ大丈夫だと応えると、良かったと言いながら急いで扉の前まで移動させられる。


「治ってよかったです♪それじゃあ…」

「ああ、それと」


「もう、此処へ来ては行けませんよ?此処はちょっと…”危ない所”…ですので♪」


建物の外へ出され、その言葉を言われた後すぐに扉をパタン…と閉められた。

俺はその言葉を聞いて、暫く口を開けたまま放心状態だった。怖くて動けなかった足をやっと動かし、来た道を戻った。


きっともう来ない。

いや、来ないと言うより、行けない。


俺は何事もなかったかのように我が家へと帰った。

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