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犬狼鳥(けんろうちょう)・黒子
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犬狼鳥(けんろうちょう)・黒子
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#countryhumans
monake@引退&イラコン
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注意書き(簡易)
これらの作品に政治的意図は一切ございません。創作物であることを踏まえた上、許すことのできる方のみ先へ進んでください。
実在する人物、国家、政権、特定の思想・宗教・歴史的団体とは一切関係ありません。
不定期更新です!!!!
設定があります。説明をすることはないので自由に解釈してください。
私は史実に基づいた、完全な自己解釈による
“CountryHumans”を綴ります。貴方の心に届く物語でありますように。
今回は戦争について触れる点があります。
快く思わない方はブラウザバックをお願いいたします。
それでは本編どうぞ。
青い空が照らす夏。美しい景色が見えるこの街の一角、大勢の国家が静かに祈りを捧げていた。
「…………。…………終わりました、ね。」
今日は8月6日。あの日から、81回目の夏。
一度に10万人以上の命が失われた日だ。この日ばかりは、誰もが正装でここに揃っている。静まりかえった式典の最中、隣に立つアメリカさんがそっと呟いた。
「……このことに関しては申し訳ないと思っている。」
「……お気になさらず。お互い大きなものを背負って生きていきますから。今日皆さんがここに来てくださった、それだけで私は嬉しいんですよ。」
「ありがとな、日本。」
アメリカさんも来てくれた。その事実は何よりも嬉しかった。
この思いが彼に伝わって欲しいと思いながら式典は終わりへと向かっていった。
現在午前の九時、式典は終わり各国は会場を後にしながらものびのびと過ごしていた。
だけど、帰りの空気はまだ式典の名残があるらしく、どこか沈んでいた。
「今年は参加国が過去最多になりましたね。ロシアさんや、中国さんが来ることはなかったですが……」
「欠席や不参加は政治の関係もありますし、ある程度は割りきるべきですよ。120以上の国が来たことに目を向けては?」
「それも、そうですね。」
その空気に耐えかねたのか、はたまた思い付きか、アメリカさんは悪戯っぽくふっと微笑みつつこちらを見て言った。
「あーーっと、折角だし、日本の家に行こうぜ!ここから近いと聞いたしなぁ。」
突然の提案に私の歩みは止まった。周囲の国々も驚いたのか足を止めている。静かになったところにドイツさんは眉をひそめ、呆れたようにこう言った。
「…………。アメリカ、自分たちが先程何をしていたか覚えているだろ??それに日本の都合も考えてやれ。」
ドイツさんはよく、私のことを気遣ってくれるから実家に来てもらう分には問題ないけど……
「そうですよ。安直な考えはやめてくだ——」
「問題ないですよ、イギリスさん。今日くらい、私も歓迎しますよ。」
「えっ、いいのか!?」
すぐにアメリカさんがパッと顔を輝かせる。
イギリスは「おいおい……」と額を押さえてため息をついたが、日本は穏やかに首を振った。
「はい。せっかく皆さんが遠方から来てくださったのです。大したおもてなしはできませんが、我が家で少し涼んでいってください。にゃぽんも喜びますし」
「やったぜ! さすが日本、話が分かる! よーし、そうとなったらすぐに突撃だ!」
「こらアメリカ、はしゃぐな。……すまないな、日本。急に押し掛ける形になってしまって」
申し訳なさそうに言うドイツさんに、日本は「気にしないでください」と優しく微笑む。
だって、最近は仕事が忙しくて休む時間がないから。それに今日は、どうしても兄弟に会わないと——。
「では、移動する前に少しだけ。案内をした後、近場の慰霊碑に、一度だけ挨拶をしてきてもよろしいですか? すぐに戻りますので」
「ああ、もちろんさ。話しながら待ってるよ。ま、遅かったらきっとドイツが来るだろ、HAHA!」
「押し付けてこないでくれ。流石の俺でも黙っちゃいないぞ。」
アメリカさんたちにそう告げて、日本とにゃぽんは少しの間だけ彼らの輪を離れ、静かに丘の上へと歩みを進めた。
私たちがやってきていたのは丘の上にある慰霊碑。桜が置かれ、海が一望出来る場所。今日は雲一つなく、青い空がどこまでも広がっている。私とにゃぽんはそこでもう一度黙祷をする。そっと目を開けると目の前には、懐かしい二人が並んでいた。
白のジャケットに帽子をかぶる彼は、優しく微笑んだ。
『元気にやってたか?』
その隣、たなびくマフラーに飛行帽、ゴーグルも変わらずにつけている。
『久しぶり。兄貴。』
今は忙しくて会える日も少なかったけど——
「…………あゝ、久しいね。」
海と空、久しぶりに会えて嬉しい。
その姿、形。昔は隣に立っていた、兄弟がそこにいる。にゃぽんも嬉しそうに頬を赤らめる。
「にいちゃー!!!」
空や海に抱きつこうとする妹に「にゃぽん、ストップ!!」と声をかけるも——
実体のない彼らに触れることはできない。言葉届かず、派手にその場で転んでしまった。
『……ははっ、またかよーー!』
空が明るくそう言って、すっと妹に手を伸ばす。妹は空とよく似た笑顔を見せながら、その手を掴むようにして立ち上がる。
妹は海と空に会うときはいつもしていることだ。私も自然と笑ってしまう。
『本当にお騒がせな……』
口では手厳しいことを言うが優しく微笑んでいる。
相変わらずの関係性は未来になっても変わらないでいたら、そう願っていた。
『ゆっくり話せる機会ができてよかったよ、本当に……!』
「”俺”たちの方が忙しくてね……。今も変わらずに妹と過ごしてるよ。」
「そうだよー!私たち元気!!!」
元気に過ごしてると伝えれば二人は笑顔になる。この優しい笑顔を見ると、どうしてもずっと近くに居たいと思ってしまう。
「最近の旧国たちはどうですか?僕らは関わりがないので……。」
『問題なく動けているよ。……そういえば日本、少し一人称が変わっているな。』
海の言葉にハッとした。
「あれ、本当だ…………無意識に……なんでだろう?」
「ふふ、分かったよ!日帝時代の癖だと思うよ。」
にゃぽんが言う通り、一昔前は「俺」と名乗っていたものだったなぁ……。
「確かに、あの頃はそうだったね。……そういえば海、……日帝は?」
未来の自分が過去の自分のことを聞くという、一見不思議で矛盾した私の問いかけに、海は一瞬だけ戸惑うように視線を泳がせた。だが、すぐに納得したように静かな口調で答えてくれる。
『陸は……未来の自分に会う顔もない言っていた。恐らく——』
「言わなくていいよ。陸兄は会うよりこっそり見守る方が好きだと思うし!」
にゃぽんが笑顔でぴょんぴょんと跳ねる。まさにその通り——そう頷こうとした矢先、空がにやりと笑う。
『まさにそんな感じだぜ!でも、今も昔も甘くて優しいからさ。』
急に優しいとか言われると少し胸がドキリとする。自分の過去の姿である日帝を「優しい」と褒められるのは、まるで自分自身を褒められているようで、どうしても気恥ずかしくなってしまう。
「あれー?兄ちゃん照れちゃったー??」
「にゃぽんっ……やめてよー!」
真っ赤になった顔を手で覆う。覗き込もうとしてくるにゃぽんが気になって動けなくなってしまった。
『ふふっ、そろそろ色々話そうか。今について。』
「……うん!」
一方、日本の実家で待っている国々は…………
「ったく遅すぎる……。もう1時間はとっくに経っているというのに……」
「近場って言っていたけど、どこなんだよぉー!」
ドイツとイタリアは近くでうろちょろと歩き回っていた。なにしろ、場所が分からないのだ。
「うーん、ちゃんと聞いていればよかった……。」
「————ないちたちの居場所知りたいの?」
声を掛けられると同時に、ドイツのジャケットがグッと引っ張られる。振り返れば、そこにはパラオがいた。こんな至近距離に誰かいるとは思わず、思考が停止する。
「パ、パラオがここにいるぅ!?」
「うん!今日はね、ないちたちに会える日なの!!」
「ないち…………まさか日帝が?」
「そう!!パラオね、久しぶりに皆に会えるけど、どう声を掛けようか迷ってたの……でもね!——」
きらきらと目を輝かせて一生懸命話す彼の姿を見て、二人の表情は和らいだ。ほほえましい様子など、国々の間ではめったにない。イタリアは膝を折って、優しい笑顔を浮かべ問いかける。
「僕らも日本に会いたいんだ。案内してもらえるかな?」
「パラオに任せて!」
意気揚々と歩くパラオの後ろをついていけば、少し離れた場所の丘についた。
「あっ、いたぞ。」
遠目ではあるが、桜が1本葉を広げたその下に、日本たちはいた。
兄弟と楽しそうに話すその姿はどこか懐かしい、大日本帝国の面影を思わす姿だった。
「おーーい!!にほーーん!!」
大きな声を聞いて私が後ろを振り向けば、そこにはドイツさんとイタリアさんが。
「あ、呼ばれてしまいました……。」
『あ、パラオがいるぞ!兄貴のことを待ってそうだなぁーー??』
「判ってるよ空。」
からかうように背中を押してくる空に苦笑いするしかない。でもその節介が近くに居てくれるようで嬉しい。
「皆と会えるし、いかなきゃ!」
にゃぽんも二人に背を向ける。その声がいつもより少し低い声のは、やっぱりどこかで寂しいと思っているからだろう。
『じゃ、お別れか。』
日本とにゃぽんは息を合わせたように、声を揃えた。
「じゃあ、いってくるよ/いってくるね。」
『『いってらっしゃい。』』
この言葉が、素敵なものになりますように。
おまけ
【その1】
「全くアメリカは、行き当たりばったりな行動が多すぎます。今日の式典もその調子でいたわけではないですよね?」
「そりゃそうだU.K.!俺がそこまで考えなしに見えるのか!?」
「……悪いが、俺にはそう見える。」
「イタリアもなんね。」
「酷いぜー!!他のみんなはどう思う!?」
待機中、アジアやヨーロッパ諸国は、アメリカの無茶を振られ続けるのだった。
【その2】
「ただいま戻りました…………!」
「おおJAPANだいぶ遅かったな………いっ!…ちょ、痛てぇよカナダ!」
「流石にそれは無神経すぎるよ兄さん……。」
「…………私は会ってなかったけど、アメリカ周辺国はいつもあんな感じだっけ……??」
「パラオは…………、えーっと……。パラオにはわからないかも……。」
オセアニアにアメリカ周辺の近況を聞いても、分かるわけないのだった。
【外伝と報告】
旧国、亡国注意。
第二次世界大戦の国が出ます。
——彼らが去った後、海と空は勢いよくばっと後ろを振り返る。帽垂れがついた帽子を被り、以前とは違い軍服を羽織のように着崩している彼の姿を見て、海は眉をひそめる。
『全く、弟は……。同じく国であったとしても、一度は顔を見せてやってもよかったのでは?陸。』
かつては大日本帝国と名乗り、東南アジア諸国を支配していた国であったが、今の表情には優しさが滲み出ている。日帝は自嘲気味に、返答した。
『俺が未来の俺に会うということの方が奇妙な話ではないか。それこそ、何か大きな問題が起きかねない。』
『…………。』
海は言い返す言葉が見つからなかった。同じ兄弟であるゆえ、もう二度と失いたくないと思ってしまったから。亡くなったという中で隣で会えるなら、居て欲しいから。
そこに空が、やけに真面目な声色で話しはじめた。
『言いたいことは分かるさ。…………実際、僕たちは今、片隅に残る思想や歴史、記憶で成り立っている。本当はいてはならない、意志だけの存在みたいなものだから。……だから……』
そこで、空の言葉が詰まる。
この言葉の続きが言えるほど、彼は強い者ではなかった。代わりにと言わんばかりに陸が続けた。
『会ってしまったなら、日本は————』
突然、続きを言おうとした日帝の言葉を遮るように、ある国が大きな声で嘲笑う。
『————馬ッ鹿らしい。流石、日本の祖先なだけはあるな。そう悲観的に受け取るなんてなぁ。』
戦時中、何度も聞いてきた軽薄な声。
『相変わらず真面目だね~。 ioたちなーんにも縛られてないんだからさ。ほら、そんな顔しなくてもいいんよ。』
枢軸国と呼ばれ同じ戦火を駆け抜けた、かつては同盟を結んだ大日本帝国の同盟相手国の二人。
『先輩にイタ王じゃないですか。』
『Ciao!久しぶりなんね~。』
『guten tag.挨拶が遅れたな。』
ナチス=ドイツとイタリア王国。第二次世界大戦の舵を切り、敗戦国と名を残した国々だ。ナチス=ドイツは大きなため息をつき、肩をすくめてこういった。
『こちらで用事ができた。悪いがそこの二人と構っている暇はなくなった。』
『……申し訳ないけど、枢軸としての関係性は、腐れ縁としてずっと続くと思うんね。史実は消えないけど……』
『………………いいさ。俺らは亡国、生きるには互いの力が必要不可欠だからな。』
しみじみと話す三人をよそに、空が不満と悲しみの声を上げる。
『まだ時間があるってのに兄貴に会えなくなるのかよー!!』
『空、これは仕方ない。外交なんか、昔もしょっちゅうあっただろう。』
凹んでいる空の肩をポンと叩く海。その光景を見て陸は微笑む。この二人なら大丈夫だと。静かに見ていたナチスとイタ王は日帝を手招きし、背を向けた。
『それじゃあ、またよろしくなんね。』
『また。』
ふらり、と夕日に紛れ姿を眩ました彼らを見届けたのちに、海と空もまた、去っていった。
現在、ここで日帝が言おうとした”もしも”についての物語を制作中。
そのため、投稿頻度下がります。すみません。