小鬼がゆっくりと動き始めた。
僕はそれを見てから、魔法を詠唱する。暗闇に青色の魔方陣の光がうっすらと見える。
「解除」
小鬼はその場に座り込んだ。僕がしたのは小鬼にかかつた呪いを解いただけだ。そんなに難しい呪いではないので、解くのは容易い。だれかが、この小鬼に何かしらの命令をするために呪いをかけた。そして、僕は襲われたというわけだ。
小鬼は僕のほうを見て、怖がりながらも近づいてきた。もう敵意はないようだったが、油断は出来ない。そうこうしてるいると、鞄の中からカナルが顔を出した。
カナルは火を細く噴くと、鞄から飛び出した。まだ歩き方がおぼつかないが、ゆっくりと小鬼の前まで来ると小鬼がカナルの頭を撫でた。カナルはどうやら小鬼を友達かなにかと勘違いしたらしい。カナルは小鬼に軽く頭突きをしたりして、しばらく2人で遊んでいた。ときおりカナルが小鬼の顔に火を吹きかけてたけど、どうやら小鬼は熱くないらしかった。なぜなんだろう。僕はそれを眺めながら、焚き火へ木の枝をくべた。
結局、その日は小鬼にシチューと肉と水を与えた。翌日も小鬼は僕たちについてきたので、しばらく旅を続けることにした。ドラゴンの名前を考えた次に小鬼の名前を考えなくてはいけないのは世界で僕だけなのではないだろうか。まあたまに小鬼を使役する魔道士もいなくは無いような気もするけれども。
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