テラーノベル
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ずっと、同じ夢を見ていると思っていた。
それがただの独りよがりだったと気づくのに
そう時間は掛からなかった。
「え….?
元貴が、、、ソロデビュー?」
ミセスの活動が休止となり
世は未曾有のコロナ禍で
僕と若井は同居生活を送りながら、毎日ダンスレッスンに明け暮れていた。
いつまたバンドを再開できるかも不明なまま、
だけど休止に向かわざるを得なかった元貴の気持ちも
僕たちの至らなさも嫌と言うほど分かってはいたから。
とにかく必死で「今」を全うすることだけを考えて、力を蓄えるために、ただただがむしゃらに。
慣れないダンスレッスンで体力も気力も使い果たした時だけ、泣くこともなく眠りにつける。
願うのはただ一つだけ。
もう一度、元貴の隣で演奏がしたい。
元貴の音楽を鳴らしたい…。
それだけ、だったのに….
僕と若井がダンスレッスンやVlog企画や編集など、今後来るべきフェーズ2に向け、新たな挑戦に必死になる中、気がつけば元貴は新たに会社を立ち上げ、作家やVo.としてだけではなく、ミセスのプロデュースをも担うようになっていた。
想像もつかない程多忙を極める彼とは
以前のように頻繁に会えることも少なくなっていて…
「会いたい、なぁ…」心の内だけでそう思うのも烏滸がましほど
大切な人を支えきれず、そればかりか足手纏いになっていた自分が、そんなセリフを言う権利はないのだと…
気がつけば勝手に涙が出てしまう日々で。
そんななか。
元貴が個人名義でソロ活動を始める、と告げられた。
ミセスはもともとが大森元貴ありきで、デビューすら、本当は元貴個人で話が進められていた事実もある。
それを、どうしても「バンド」という形に拘ったのは元貴で。
レーベルとしても元貴の才能を諦めるくらいなら、バンドごと、でも抱えていく方針で始まったフェーズ1だった。
それが….
元貴が個人で表現することを選んだとしたら….
僕たちは?僕と、若井は…?
ミセスはもう要らないってことなの?
僕は….?
僕はもう君には不要だってことなの…?
目の前が急に真っ暗になって
足元の地面が崩れていくような…
あぁ『絶望』ってきっとこう言うことをいうのだと、僕は知った。
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