ー大丈夫?
『大丈夫。』
ー怖くない?
『….怖..くな、い』
ー震えてる
『震えてない..』
必死に自分を否定する。
こんな僕が一番醜いだろう。
お前たちは嗤うだろう。
でも、怖くない。
怖くない。
今回で何回目?
大人たちの話し声。
何を話しているのかなんてすぐに理解ってしまう。
理解りたくないが、な。
僕ら双子の引取回数
引き取られては、戻されて。
そんな生活も少々飽きてきた頃だろう。
【虹ヶ丘孤児院】
僕らが今いる孤児院の名前だ。
今いるのは僕ら双子と先月入ってきた少年。
今時、孤児院にいる子供を引き取るのは一般人ではなくなっている。
有名な大手会社の代表取締役社長。
売れっ子アイドルの親。
そんなもんだ。
こいつらは少々普通の生活に飽きたのだろう。
普通と言っても、僕達一般人、いや、一般人以下の人間は、一生味わうことのないゴージャスな生活だ。
だがそれは、普通らしい。
考えられないだろう?
でも、慣れてきたらそうでもない。
先月入ってきた少年も、一軒目の引取先に行ったとき驚くだろうな。
そんなことを想像していると、双子の兄が話しかけてきた。
兄は今まで、院長と話していた。
どうしたのだろう。
兄の表情が暗い。
嫌な予感がする…..。
聞きたくないかも知れない。
兄の顔が怖く見えてくる、。
「ごめん。憂京、」
「ごめんなぁ?」
「兄、s」
「憂京くん、おいで?」
院長に呼ばれた。
ー嫌な予感がする。
自分が自分を押さえつける。
まるで、もう行くなというように。
ーな。
ーkな。
ー….行くな!
ビクッ
体が震える。
行きたくないよ。
行きたくない。
けど、でも、さ?
ーきっと後悔することになる?
判ってる………….。
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