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暑い夜
「あー寝れねぇ…」
今年は春でも7月並みの気温で、脳がオーバーヒートしてしまいそうだ。夏はどうなるのやら。
このままずっとベッドで仰向けになってても仕方が無いので、気晴らしに外にでも行って涼んでくるか。
「ふぃ〜」
部屋の気温とは多少違うが外の方が涼しかった。
~♪♬
「ん?」
どこからか音がする。何だ?
今の時間はだいたい23時頃だ。俺みたいにこんな時間に外に出る奴はいんのか?
警戒心が芽生えつつあるが音の正体を探ってみようという好奇心もあった。
「東側からか?」
よく耳をすましてみる。やっぱり東側からだ。
俺はなるべく音をたてないよう、そろりと足を動かす。
〜♬♪♫
さっきよりも音が近づいてきた。そして、建物の影から様子をうかがった。
そこには、一人の少女がいた。
目を凝らしてよく見てみる。
「耳郎?」
濃い紫色のしたショートヘア、紛れもなく耳郎だった。なにやってんだろ。
〜♬♪
音の正体は耳郎の鼻歌だった。
俺はしばらく、耳郎の鼻歌に聞き惚れていた。
「じろー」
そう呼ぶと耳郎はこちらに気づき、驚いた様子だった。
「は!?なんであんたがここにいんの?」
「いや〜なんか暑くて寝れなくて」
「……もしかして、聞いてた?」
「うん…」
「んあ〜…さいあく」
「えーなんでよ綺麗だったぜ、耳郎の鼻歌。聞こえてきた時は幽霊だと思って、マジビビったけど 」
「今のことはもう忘れて!なんでよりによって…」
耳郎が照れてる。レアだな。
「まーいいじゃん別に♪ 」
「つか、なんで耳郎はここに?」
「うちもなかなか寝れなくて、気分転換に歌ってた」
耳郎も寝れてなかったんだと何故か安心した。
「見て、上鳴」
「ん?」
「上見て」
そこには無数の星が空いっぱいに広がっていた。
「さっきまで雲かかってたから見えてなかったけど…」
「綺麗だな」
「うん…」
星空に目を奪われつつ、耳郎にも目を向ける。
生ぬるい風にあたり、髪がふわふわと揺れて、星空を眺めている耳郎は何倍も綺麗だった。
「耳郎も綺麗だな…」
思わず本音が漏れてしまったようだ。耳郎には聞かれていないだろうかと焦ってしまう。
「ん?なんか言った?」
「なんもない」
無意識に目を逸らしてしまう。鼓動が早くなってくるからだ。
「上鳴が寝れてなくて安心した。」
「え?」
予想外の発言に驚いてしまう。
「うちだけかと思ってた。寝れなくて…明日、学校じゃん?」
「あ、そういえばそうだったわ!」
「なんか安心して寝れそう。上鳴、ありがとね」
目を細めて笑った。
耳郎ってこんなんだったっけ?これがギャップ萌えってやつか?くそ可愛いじゃんか…
「…黙り込まないでよ、なんか恥ずいじゃん」
「耳郎って」
「なに?」
「綺麗だし、可愛いよな」
「急になに!? 」
この際、ハッキリ言ってしまおう。
「俺、耳郎のこと好きだ」
「待って…ほんとにどうしたの?」
「だから、好きなんだよ!耳郎が!」
「…うちも好き!」
「うぇ!ほんと!?」
いつの間にか耳郎は赤面していた。
もう、マジで可愛い…
「もうこんな時間だから寝るね、おやすみ上鳴」
「おやすみ耳郎」
時計の針は12時をさしていた。
「あ〜暑くて寝れなくなった」