テラーノベル
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正午を過ぎた頃。
太陽が綺麗に光っている。
まだ肌寒い中、華やかに桜は散っていった。
──そんな春の空気が一つも入れないような、重々しい空間が、そこにはあった。
カーテンは全て閉じきり、明るさが奪われている。聞こえるのは、十二歳の少年二人の呼吸音だけだった。
「……お前のせいだよ」
ゴンは、光を失った暗い瞳で、淡々と言い放った。
その声は、何の邪魔も入らずに、部屋に響く。
静かだ。それでも、俺の心はボロボロに傷付いて、逃げてしまいたくなった。
でも、そんなことはできる訳が無かった。
「……ちが……、ゴン」
胸が、頭が、ぐちゃぐちゃになって、光を失った目は、まるで死骸のようだろう。
ただただ、呼吸が荒くなっていった。
「ご、ごめ……」
途切れ途切れに発する言葉は、もはや自分の声なのかすら分からない。
もう、元には戻らない。それだけがはっきりと分かった。
コメント
2件
雰囲気好きです…♥︎♥︎♥︎