テラーノベル
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黒い煙が、米軍基地の滑走路中央に渦を巻いた。
次の瞬間――
レーザードリフタースキビディトイレと、その背に乗る一行が姿を現す。
「着いた……?」
オリバーが言い終える前だった。
警報。
怒号。
照準音。
「敵襲だ!撃て!!」
生徒と教官たちによる、一斉射撃。
銃弾が雨のように降り注ぐ。
「伏せろ!」
スカルがオリバーを引き、
二人はとっさにレーザードリフタースキビディの機体の陰へ転がり込む。
装甲に弾が弾かれる音が連続する。
「冗談だろ……味方基地だぞ……!」
だが、他の脱出メンバーには変化がなかった。
フィーメールミュータントのシールドも、
イエロータイドカメラマン、
スレッジハンマースピーカーマン、
ルビーの周囲にも、攻撃は一切通っていない。
やがて――
射撃が止んだ。
硝煙の匂いだけが残る。
沈黙の中で、
フィーメールミュータントが一歩、前へ出る。
両手を下げ、
敵意のない姿勢を取った。
「聞いてちょうだい」
低く、しかしはっきりとした声。
「私たちは敵ではありません。
貴方たち人間の味方――」
その言葉を、轟音が遮った。
「消えろ!!」
叫びと同時に、
タヴェルのロケットランチャーが火を噴く。
ロケット弾が一直線に飛来。
フィーメールミュータントは反射的にシールドを展開。
爆発。
衝撃波が基地を揺らす。
「よし。」
だが、シールドは破れなかった。
煙が晴れ、
フィーメールミュータントの姿が現れる。
――驚いた顔だった。
「……え?」
彼女は、自分を撃った“人間たち”を見つめていた。
その表情には、
怒りよりも、
理解できないものを見た困惑が浮かんでいた。
爆煙が流れ、張り詰めた空気が基地全体を覆った。
誰も動かない。
銃口は下がらず、だが引き金も引かれない。
その沈黙を――
怒号が引き裂いた。
「ふざけんじゃないわよ!!」
基地に響き渡る、ルビーの声。
「何も知らないくせに撃ちやがって!
状況も見ずに!敵か味方かも判断できないなら引っ込んでなさい!!」
黒い煙が彼女の足元で揺らぐ。
「こっちは仲間が怪我してんのよ!
無駄に被害出す前に退避しなさい!今すぐ!!」
苛立ちと怒りが、隠そうともせず叩きつけられる。
その剣幕に、生徒たちの肩が強張る。
「……撤退、だと?」
誰かが呟く。
その様子を、
レーザードリフタースキビディの陰から見ていたオリバーとスカルは、
完全に引いていた。
「……怖すぎだろ」
「敵に回したくないタイプだな」
その二人の横で、
イエロータイドカメラマンが小さく肩をすくめる。
「気にするな」
低い、落ち着いた声。
「テレビ軍のメンバーの多くは口が悪いんだ……」
一瞬だけルビーの方を見る。
「彼女は特に、仲間思いだ。
だからこそ、今は怒っている」
オリバーは黙って頷いた。
◆
教官たちの間で、短い指示が飛ぶ。
「……撤退だ」
「生徒を下げろ」
「ペーパー士官学校へ戻る!」
銃口が下ろされ、
隊列が崩れないよう慎重に後退が始まる。
生徒と教官たちは、
警戒を解かぬまま、学校施設へと撤退していった。
残されたのは、
基地の中央に立つ異質な一団と、
まだ消えない緊張だけ。
ルビーは舌打ちし、
黒い煙を一度、強く揺らした。
「……話ができる人間、出しなさい」
その言葉が、
次の衝突を予感させていた。
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