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視点ないこ

このままじゃ良い年した大人二人に読み書きを教えられる青年とか言う意味わかんない構図が生まれかねない…この小説を読んでくださってる皆様の為にも俺がなんとかしなきゃ…(ー待って🍣くんメタ発言やめて…ー)

ないこ「あのさ、俺ぇ、読み書きくらい出来るよ??」

すると二人は数秒面食らった表情をしたが、直ぐに桃李はニヤリとしながら「ははーん?😏」とか言い出した。

桃李「さてはないこ。お前恥ずかしがってんだろ😏」

いや全然。多分俺17くらいなんで、いや、6、?は、ち、??…とにかく!15を越えた人間が読み書き出来ない訳がないという旨の事を伝えると、アニキは少し考えた後理解してくれた。ついでに桃李の事もディスった。

悠佑「確かないこは自分の産まれもわからんのよな?うーん、…まあ、読み書きくらいは出来てもおかしくないか。」

ないこ「逆に出来ない方がおかしいでしょ。」

悠佑「それがな、そうでもないんよ。」

俺は悠佑さんからこの街についての事を聞いた。長いことこの街に居たが、ここまで教育の行き届いていない街だったとは、そーゆー店の女とうっかり出来てしまった子供だったり、単に子供には需要が無いため、教育を受けさせる気も無い親も多いんだとか。

だからと言って顔が良くてもそれだけで食っていける為教養は要らない。二人は俺をこう感じたらしい。

桃李「えーーー?、、じゃあ俺お兄ちゃんらしい事できないじゃん…!」

悠佑「はぁいショック受けなぁい、良い事やで?なぁ、ないこ。別に疑っとる訳やないんやけど、この本。朗読してみてくれんか??」

そういってアニキは割と分厚い本を手渡してきた。とても有名な本だ。確か子供の頃読んだ気がする。

タイトルは『蒼い君と輝く太陽』。

あらすじは…

記憶喪失で行く宛の無い罪人の主人公が、その国の王子様に拾われ、その親友に正体を暴かれるという物。

タイトル中の『蒼い君』と言う言葉は諸説あるが、わかりやすく言えば本作のヴィラン?である王子様の親友の目や髪の色が、美しい青色であった事から取られていると言う。作中で何回もその様な比喩表現が使われている為、ほぼ確実と言って良い説だろう。

ここからは文献で読んだ物ではなく、個人的な意見にはなってしまうのだが、

俺は同じくタイトル中の『輝く太陽』を、王子様から取ったものだと考えている。

結論から言うとこの王子様、死んでしまうのだ。詳しく言えば主人公の知り合いであるモブの一人が、主人公を捕らわれの身なのだと勘違いを起こし、あるいは主人公に恨みがあってか、何年にも及ぶ幸せな三人の生活を、たった一発の弾丸で見るも無惨な結末に変えてしまうのだ。噛ませ犬に見えなくもないが、主人公視点でこの作品を読むと間違い無く王子様は、主人公にとっての心の支えなのだ。

太陽はいずれ沈む。それがいくら輝かしく、永遠に思える程の勇気を与えてくれたとしても。実際の所‘‘永遠’’なんて存在しない。

よって俺はタイトル中の『輝く太陽』を、王子様であると考えている。

俺はこの作品に置いて‘‘王子様’’について深く考えたが、皆は違うらしい。

この作品が大ブレイクした要因として一つ確実なのは、物語への考察心を煽る展開や終わり方だろう。例えば、モブ1の行動原理だとか。

そして、有名なのがもう1つ。


王子様は流れ弾から主人公を守り亡くなり、

主人公は王子暗殺の疑いをかけられて処刑。


…では、蒼く美しい彼は??


彼について、ある者は主人公を殺す為に裏で暗躍した敏腕ヴィランと言い、ある者は王子に恨みを持つ亡霊の様な執着の持ち主だと言った。


皆、『蒼い君』をヴィランとして考えていたが、あの人だけは違った。

名前も知らない、俺の故郷に紙芝居を良く読みに来ていた老人。

…まあ、故郷どこか、本当に故郷なのかも知らないんだけど、、。

あの老人だけは、他の者とは意見がまるで違うのだ。



ーないこが、四番街へ来る前の話の事…ー



たまたまゴミ捨て場で拾った本。もう何回も読み返してるおまけに元からボロボロだったので、もう読めた物じゃなかったが、それでも当時の俺は嬉しかった。

あまり読める字は多くなかったが、誰かとこの疑問と本の素晴らしさを共有したかったからか、普段全く行かない街に繰り出して、厄介者とツバを吐きかけられてでも他人の意見を聞き回った。知りたかったのだ。アドレナリンがドバドバだったので、殴られても痛くも何とも無かった。たまに親切な人が、漢字の読み方や意味を教えてくれたから、一通りは覚えれた。

そんな事を繰り返して、傷だらけでも、ウキウキで最後に質問したのがじーさんだ。

ないこ「結局、親友は三人の仲を引っ掻き回したいだけだったのかな?ねえ、じーさん。じーさんはどー思う??」

当時5、6歳の俺の質問に老人は一言、こう答えた。

老人「蒼い君こそが、一番のヒーローなのだよ。」

ないこ「、??」

当時意味がわからなかった俺は、老人に怒涛の質問攻めをしたが、全て受け流されてしまった。

やれ「子供が大人振るものではないよ。」やら「お前は子供の癖に、かわいげが足りないな。」やら、7日くらい連続で聞きに行き断られた時、それでも教えろと駄々をこねる俺に老人は呆れか何かわからないが、柔らかな笑みを浮かべ、大きな手で小さな俺の頭を撫でてくれた。その時言ってくれた言葉を、今でも覚えている。

老人「君の探求心は目を見張る物があるね。そんなに知りたいのなら、着いておいで。」

そのじーさんは、街の奥の奥、誰も見向きもしない様な古い小屋に幼い俺を連れていってくれた。まあまあ生活インフラは整っていて、(かろうじて水道がある)何より大量の本や偉人達の残した貴重な文献が腐る程あった。どうせ家も無いし、親も知らないし、乞食か盗みで生計を建てるんだから暇はいくらでもあった。ゴミ山と共に、一人路地裏で空虚な時間を過ごすより、ここで本と向き合っていた方がよっぽど有意義に過ごせる様な気がした。

定期的にじーさんも顔を出しに来てくれていて、他愛ない会話をしながら勉学に励み、大体二年くらい?最後の一冊に手を伸ばそうと小屋に向かうと、小屋の中にじーさんの影が見えた。「なんだ。昨日来たから、しばらく来ないものかと思っていたのに」脳に浮かんだ言葉は酷く冷たい物の様に思えるが、それに反して足取りは軽く弾んでいた。喜びから来る物だろう。

ないこ「じーさんおはよ。こんな早い時間にどうした、、の、、、。」

じーさんは、椅子に座った体制で机に突っ伏したまま動かなくなっていた。

その時俺は悟った。嗚呼、死んだんだな。と

会話はするが名前も知らない。お互いの事なんて話した事も無いし、話す必要も無いと考えていた。

でも、なんでだろうな。どうして、なんだろうな。

俺は、恐らく産声を上げて以来初めて、涙を流していた。

産声とは違い静かに、何かを堪える様に、別に誰も聞いてや居ないのに、我慢する必要など無いのに。そんな事を考えると同時に、「涙」がどんな物かへの知的好奇心が沸いて来た。

嗚呼、泣いている。涙だ。どんな味だ??どんな気分だ??

1つ1つ紐解く様に確認していく。が、何も頭に入らない。

どんな、顔だ、?っ、、なんでっ…!!こんなに、、…

‘‘‘苦しいんだ、???’’’

唖然とする。今までの人生は如何にお気楽な物だっただろうか。多くの小説や文献で用いられる‘涙を流す。’という表現はここまで、苦や悲しみの感情が凝縮された物だったのか。

自分は不幸である自覚はあった。けど、同時に幸せだったのかもしれない。だって、

今まで、こんな思い、した事が無かったから。

ねえ、俺はなんで泣いてるの?どうしてこんなに苦しいの?教えてよ、じーさん。全然わからないんだ。本にも書いてないんだ。理屈なんてわかりっこないのに、どうしようも無く悲しいんだ。

頼むよ、起きてよ。お願いだよ…。

じーさんは手には、あの本、『蒼い君と輝く太陽』が大事そうに抱えられていた。

そうだ。『蒼い君』。王子様の親友がどうしてヒーローなのか、まだ教えて貰って無い。

呆然と涙を流し、じーさんを眺めていたが、本の事を思い出した瞬間に、弾かれた様に手足が動いた。今、この本を読まないといけない気がした。

表紙を捲り、涙で歪む視界で本の内容に目を向けると、そのページに何かが挟まっている事に気付いた。手紙…、???

折られている小さな紙をペラリと開き、内容を確認する。全て読み終えた時俺は、じーさんの思いを味わい、膝から崩れ落ち、ただただ泣きわめいていた。



少年へ

急な別れになってすまないね。

突然だが、僕にはもう余り時間が残されて居ない様だ。だからこれは、僕の遺書だとでも思って読んでいて欲しい。

まずは僕の後悔からだ。

1つ、君の好きな物を聞けなかった事。

1つ、君の嫌いな物を聞けなかった事。

1つ、~~

1つ、~~~



この様にじーさんの手紙には、俺への謝罪や後悔が綴られていた。手紙は途中から水玉のシミで模様が作られていて、これを書いている途中じーさんが泣いていた事がわかる。

じーさんの後悔は、全て俺についての事で、簡潔にまとめると「もっと俺と親密な関係になりたかった。」という物だろう。

やれ

君の事をもっと知りたかった。

やら

君の事を抱き締めてあげられなかった。

やら

名前を知りたかった。聞けなかった。寄り添ってあげられなかった。

『君はいつでも其処に居たのに。』

その言葉一つ一つを読みとく度に、壊れた蛇口の様に涙が溢れ出す。視界がぼやける。それでも、読んだ。これまで読んできたどんな偉人の文献より真剣に、

長ったらしい後悔、嫌、愛の唄を読み終えて最後の一行。そこには


最期になってしまったが、実は本当に伝えたかったのは、

伝えるべきだったのは、この一言だけなんだ。

少年。僕は君の事を、


ないこ「『愛してる』。」



この作品はいかがでしたか?

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コメント

2

ユーザー

じいさぁぁぁぁぁぁん、、😭😭 🍣くん、辛かっただろうなぁ、、すぐそばにいた人が急にいなくなるってめっちゃ辛いよね、、やっぱりあやめさんの小説好きぃぃぃ、、🫰🏻💕

ユーザー

涙が止まらない😭視界がボヤけてコメントが打てませんඉ ̫ඉ 🍣くんにこんな過去があったなんて……おじいさんすごくいい人ですね。もう少し時間があればちゃんと好きな物も嫌いなものも名前も全部聞けてただろうに…

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