サイド キノ
「僕は、この議論に意味はないと思っている」
………………。
はぁ?!どーゆーことだっ?!
混乱する俺を尻目に、トキは言葉を紡ぎ続ける。
「まず、団長さんたちの意見は『これ以上仲間をを増やし続けると、命の危険があるから止めたい。』つまり、解散はおまけにすぎないんだ。……ここまでは大丈夫?」
……ギリギリだけど、多分理解できてる。
「次に、アミさんたちの意見だけど『モンダイジ団にいたい。』理由はいろいろあるみたいだけどね」
それは分かってる。さっき直接聞いたからな。
「だったらさ。今までと違う新しいモンダイジ団を作ればいいと思うんだ」
「……!つまり、無理に仲間を作るんじゃなくて、今のメンバーでこれからも活動していくってこと?」
「うん。活動の内容にもよるけれど、こうすれば命の危険もなくモンダイジ団としていられるんじゃないかな?」
……確かに、トキの言う通りだ。何で気づかなかったんだろう。
モンダイジを探して、助ける。そして、なるべくモンダイジ団に入れる。これが今までの目標だった。
なら、問題点だけを変えればいい。
してやられた、というふうにルネが笑った。
「キノ、どうする?みんなはもうそのつもりみたいだけど」
さっきまでの張り詰めた緊張感のある空気は、もうどこにもない。
みんなが俺の方を見て、俺が喋るのを待っているのが、わかる。
……俺は、良くも悪くもこのモンダイジ団の団長なんだ。
だから、俺は言ってやった。みんなに、仲間に伝わるように。
「……モンダイジ団は、終わらせねぇ!!これからも、俺らモンダイジの居場所はここにある!!」
「よーし!じゃあ、早速新しい目標考えましょう!」
「え、えっとね……!こんなのはどうかな……!」
「いいんじゃないっすか?」
「ユズもそう思う!」
「まーた難しそうな目標だねぇ」
「絶対無理な目標だが……俺たちらしいな」
「あたくしも、モンダイジ団らしいと思いますわよ!」
「うん。私たちらしいよね」
「あー!もう!いっぺんに喋らないでよ!騒がしいったらありゃしないじゃない!」
「まあ、落ち着いて……でも、この目標で満場一致かな?」
「ああ!これが新しい目標だ!!」
『一人でも多くの人を助ける』
俺たちは、正義の味方でも、ヒーローでもなんでもない。泥臭く、必死になって世界にしがみつく、モンダイジなんだ。
だけど、俺たちは一人じゃないから。仲間がいるから。それがわかっているから、俺たちは誰よりも前を向いて生きていける。
執着編、完!
長かったモンダイジ団シリーズ、一旦終了です!
コメント
2件
第一章の最初から思わず一気に読んでしまいました。とても面白かったです!無理せずに頑張ってください!