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月が地平線の下に降り、太陽が顔を出す。
どこにでもあるような現代風の一軒家
青い屋根に白いコンクリートの壁、所々に顔を見せる窓。
そんな家で悠は目を覚ます。
ピピピッというアラームがなる。
「ん〜ん?朝か…」
手を伸ばし、アラームを止める。
体だけ起こし腕を伸ばす。
ふわぁ〜
とあくびをもらす。
フローリングで、観葉植物やお洒落な小物に囲まれ
た温かい雰囲気のリビング
誠「悠君!おはよう〜!」
キッチンに立っているエプロン姿の誠
悠「いや〜誠もすっかり様になってるね〜」
誠「そりゃまぁもう2年目だし?悠君に料理も教えてもらったからな」
悠「悠君…」
ねえねえとフライパンの前の誠に近づく
誠「どうしたんだ?悠君?」
悠「あのさ、悠”君”じゃなくて悠って呼んでみてよ」
食い気味に
誠「嫌だ」
と否定する
悠「え〜なんで!前は呼んでくれたのに…」
誠「前って…いつ呼んだ?」
悠「え?あの…高校の時に告白してくれた時、、」
とあの時のことを思い出したのか恥ずかしそうに呟く
誠「高校の時って…5年も前のことじゃん!しかもあの時は…その…恥ずいし…言うなよ」
あの時の告白を思い出す
あの告白のあと……
悠と誠はどっちも自分の気持ちを曝け出して、
案外さらっと付き合うことになったため、悠が
悠「もう一回、ちゃんと聞きたい!」
と言ったため仕切り直しとなった。
誠「あ…あの悠君…」
悠「う、うん」
どちらも生唾を飲み緊張感が漂う。
誠「え…えと、そのずっと前から好きでひた付きひゃってください。」
この大事な場面で誠は盛大に噛んだのだ
そして、
悠「ひゃ…ひゃい!」
そう、悠も返事を噛んだのだ
そもそも、悠も好奇心ともう一度聞きたいという願望からくる仕切り直しの提案だったが、
いざ、ずっと想いを寄せていた相手と直接対面して、しかも、告白だと分かっている状況。
悠自身も羞恥心や、緊張、胸の高鳴りで冷静とは言えない状況であった。
しかし途中でやっぱやめようなんて言える筈もなく、結果はこの有様であった。
お互いを見つめ合う。
恥ずかしいとか、緊張するとか、そんなものを差し置いて笑いが込み上げてきた。
フフッとどちらかが笑いの蓋を開けると、
あはははは、ふふふふ、と笑いの渦に入ってしまった。
誠「格好つかないけどこれからず〜〜っとよろしくね”悠” 」
悠「ふふっこれからもずっと大好きだよ誠」
しばらくお互いの茹でタコと間違えるくらい頬を染めた顔を見つめ合う。
その顔の距離が近づく。
文字通りお互いの顔しか目に入ってこない距離まで
互いの唇が交わろうとしたとき、
ブルルルと振動が服のポケットから鳴る。
悠と誠が目を合わせる。
ぶっと吹き出し、また笑いあう。
悠「誠さっさと電話出ないと」
と笑いながら言う。
誠「もしもし…あ…あ〜え〜とまぁ、今日はそういうことで…あ〜はい、すみませんでした…では失礼します」
悠「なんだったの?」
誠「ん?え〜と今日一応学校サボっててさ、学校からだった。今日来てないけど休みか?って」
悠「あ、ごめんね誠…」
誠「悠君も勘違いだったんでしょ?俺もだったし… お互い様じゃね?」
悠「え?誠も勘違いって?」
誠「公園で夜君と歩いてたのを…その…彼氏が居るのかと思って…」
それを聞き、悠はぶふっと吹き出す。
悠「夜のことを彼氏?ふふっそんなわけ、ふふ」
誠「そんなふふふふ言わなくてもいいだろ」
悠「いや〜あんな大事な場面で噛むって…ふふっ」
誠「悠君だって噛んでたじゃん!ひゃい!ってアニメでしか聞いたことねえよ」
悠「あ〜もううるさいうるさいほらご飯食べよ?大学遅れちゃうよ」
誠「今日の担当は俺だぞ」
悠「それを教えたのは僕です〜」
誠「関係ないだろ、んなもん」
悠「誠はすぐああ言えばこう言うんだから」
想いを寄せた相手と同じ屋根の下
朝をだらだらと過ごす
そこには
比喩も、ポエムのような詩的表現も必要ない
ただ、ただ、曇り一つない幸福があった。
誠「悠君デート行こっか!」
悠「え?で…デート?」
誠「なに今更恥ずかしがってんだよ、付き合って5年だろ〜」
悠「いや…だって…恥ずかしいじゃん?」
誠「も〜悠君はネガティブなんだから」
悠「ていうか!今日どこ行くの?」
誠「恥ずかしがっておいて乗り気じゃん!」
悠「当たり前でしょ!大好きな誠とイチャイチャできるんだよ?乗り気にならないわけないでしょ」
誠「俺も大好きだよ!悠君♡」
悠「絶対今の悠君呼びハートついてたよ」
誠「悠君が可愛いのが悪い!」
悠「はいはい、で?どこ行くの?」
誠「今日は〜映画見に行こっか!」
悠「ポップコーンは絶対塩だよ?」
誠「キャラメルだろ普通」
悠「いやいや〜塩の良いところが分かんないか〜まだまだお子ちゃまでちゅね〜」
誠「悠君こそ甘いものの重要さを分かってない!」
悠「はい!これで終わり!いっつも映画の話になったらこの会話してるよ」
誠「悠君が始めたんじゃん!」
悠「はいはい、で?何見るの?」
誠「はいはいって適当な…今日見る映画は…」