テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
甘い喧嘩
会議が始まる。今日は9号災害対策などについての話し合い。シェルターやらなんやらだけだからそう時間は取らないはずの会議。自分の話すターンまではまだまだ時間はある。いつも通り余裕を持って過ごしたかったが、余裕などこれっぽっちも今日は持てなかった。始まって10分が既に経過、距離は離れているが、目の前には机に足を乗せて、椅子の背もたれを背もたれとして使っていな座り方、いやむしろそれもう背じゃなくて頭やん、……、紙コップを咥えてさっきからプラプラと行儀の悪い。いつぶりに見ただろうか。最近ずっと鳴海さんを見てなかった。声も聞いてないし、まずまず会ってすらいない相手。すごく懐かしく久しい気がした。絶賛喧嘩中の相手。
ずっと会いたいと思ってたし話したいと思ってた。けど実際、”思う”のと”会う”のじゃ話は違う。この際、視線を送っとけばもしかしたら気づいてもらえるかも!!なんてポジティブなことはできない。いや、もう普通になんか見れない。目が合ってしまったらどうしよう。煙たがられたらどうしよう。思考はマイナスへマイナスへと進むばかり。どうしても自分の心の中の気まづさが勝ってしまう。ついにはもう同じ空間にさえ居たくないと思えてきそうだった。
はーーーっ、あっかん無理、、兄貴みてリセットでもしとこ、………。。
ちょうどモニターの隊長達が会話をし始めた頃、視線を向けるには絶好のチャンス。誤魔化すのなら今っ、……
あっ、あかん、……これ以上視線が進まへんっ、……拒絶反応やッ、……あっ、無理やわ、
やっぱ亜白隊長で浄化……
あーーーーかっっっっっっっっっっっっっこええぇぇ、………
ここまで来るとおもしろいほどにもう身も心も全てがグズグズのボロボロ。
あと何分で終わんねんやろ、。。
目の前の男はやっと紙コップを食い飽きたのか、ようやく口から離し顔が見えるようになった。何度惚れ直して好きと思った顔か。いっつも思う。やっぱりずるい顔。整っていて美形、かっこいい顔と言えば”かっこいい”、かわいい顔と言えば”かわいい”、になってしまう。あーー今すぐにでも、、、…もし2人きりで喧嘩なんてしていなければ迷いなく抱きついていた。
呑気に”If”のことなんか考えている場合では無い。気づけばもうすぐ自分の番だそうだ。
「では次に保科宗四郎、前に」
「はい」
僕の説明が最後やから、とっとと済ませてたろ、
覚えた文とアドリブ、あとは図とグラフを簡単に使って説明。
話すこと役10分程。
「まあ、こんな感じですね」
「ここのところはどうなる予定だ?」
「そこは私が保科に代わって補うと計画している」
「なるほどね〜」
「緒方てめぇ酒ッ」
「ん?あっ、トーコちゃん取らないでよー、」
「会議参加してください」
「…、」
「そーしろ〜!!俺やでぇなあなあ」
「戻っていいぞ」
「ありがとうございます」
防衛隊ほんまおもろいわあ、
〜
なんだかんだ少しバタバタになったが、無事会議が終わった。
あかん、きっと鳴海さんに話すこともできひんだろうからはよ帰ろ、、……
「そうだ保科」
「どないしました?亜白隊長」
「今日はもうこのまま帰るといい。それから明日、第3の冷蔵庫にケーキを入れておく」
「良かったらぜひ食べてくれ」
「誕生日おめでとう」
「えっ、……え、え、ええんですか、??」
「ほ、ほな…お言葉に甘えて、……ぜひ頂きます」
「うわー、むっちゃ嬉しい、……ありがとうございます」
「あ、そーしろ??兄ちゃんからもプレゼント送っといたから感想待っとるで」
「ほなもう僕上がらせてもらいますね」
「え?そーしろー??」
一言言い、会議室の扉に手をかける。そして1歩外へ出る。
「ほっしっなっふっくったっいっちょっ〜」
「お誕生日おめでとうございますッ!!」
「お、お誕生日おめでとうございます、、、…!」
「わっ、……なんやカフカと四ノ宮」
「わー、…おおきに!」
「これ、俺とキコルからです」
「コーヒーとモンブランが好きとお聞きしたので、」
「スタバの券と、立川から近いケーキ屋さんの券です」
「あぁ、この前言っとったやつ?」
「はい!」
「うわむっちゃ嬉しいわ、……おーきに、さっそく使わせてもらうなあ」
「充実した日にしてくださいね!!」
「カフカは充実しすぎない日にせえよ?」
「どーゆーことですか!!」
「わはは」
ほんまに、……気ぃ使わんでも良かったんに、…。。ふふ、……素直な奴らやな、。
ほんで……そーいや兄貴からはなんやろなあ、……、、去年は要冷蔵のハコにブラックモンブランぎゅぅぎゅぅに詰められとってええ迷惑やったわ。はーーー、……完全に箱の中身はなんでしょかみたいで怖いわ、…。。また変なの来たら返そかな。
「ほしな!!、」
「ん、?」
「……」
「え??」
ふと名前を後ろから呼ばれた気がしたから振り返る。
が、会議室の扉はパタン、と閉じており、辺りを見渡しても誰もいない。
気のせいか??
ちょお気にしすぎ??まあなんでもええか
「よーし帰ろかぁ、」
〜
結局なにもなかったし何もできなかったし、本当に今までと変わらない日だった。本来帰りも行きと同様、どんと気分が落ちて帰っているはずだろう。だが今は少しばかり心が踊っていた。尊敬する隊長からのケーキのプレゼント。可愛いひよっこ達からのプレゼント。今までのことがコロッとうってかわってホワホワとした空気になってしまった。本当は鳴海さんとも話したかったけど、もうしょうがない。
なんだかもう疲れてしまったから今日は帰って少し寝よう。
無心で車を走らせ家へと向かう。
〜
「ただいまあ、」
カチャ
トス
カチャ
ドアを開けて、荷物を下ろして、ハンガーに上着をかける。ここまでの流れはいつどんな状況であれ絶対に変わることは無い。
そのままリビングのドアを開け、流れるようにスイッチへと手をやる。パチッと一気に部屋が明るくなる。
予定だった。
今日行った作業はたった一つ。ドアを開けるだけ。だって電気が着いているんだもの。
状況把握。リビング、ソファ、座ってる、人。
「おかえり」
「えっ、……、、なる、み、、さん、…」
ねくすと100
またじかい⋆✴︎˚。⋆
コメント
5件
わかるわかるよ保科さん!! ミナさんって佇まいとか戦闘能力はもちろん顔もクールな感じで整ってて声も中低音(言い方あってるのかな)でかっこいいですもんね!!😖😖💗💗💗 「保科!」って言ったのたぶん鳴海さんな気がする、! 鳴海さんはなんだかんだ保科さん大好きだから、会議とかで真剣に聴いてる保科さんとか朗らかに話す保科さんとか見るだけで「あいつ可愛すぎるな…誘拐されるぞ」みたいなの思ってそう😹😹
??あの「ほしな」って言ったの誰だったのかな!?鳴海かな??保科の誕生日終わっちゃう😭好きな人に祝われるのめっちゃ嬉しいですよね💕︎今回もめっちゃ最高でした!つぎもたのしみにそてます🥰
はつこめ失礼します!主様のお話全部読んでて、毎回涙腺崩壊案件やばすぎて大好きです!神展開すぎてもうここが私の墓場(は?)続き楽しみです!