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あてんしょん!
長いです
後半にr18ほどではないけどえちちがちょっとあります
それでもokな人だけどうぞ
まるで夢のような
sm視点
夢を見る。
幸せで、ふわふわしていて。大きな掌が俺の頭を優しく撫でる。エメラルドの瞳が俺を見つめて、「大好きだよ」なんて。
いつからだろう。自分の視界を、思考を鮮烈な緑が奪ったのは。
にぱっとした笑顔を見るときゅうっと胸がいっぱいになる。人より低い声が耳に心地良くて落ち着く。楽しそうな姿を見るとこっちまで元気になる。
だけど、配信活動をしてシャークんが注目を浴びている様子を見て、複雑な気持ちにもなった。
胸の内を占めるのはどろどろとした不安。
シャークんがスポットライトを浴びて、たくさんの人がシャークんを見つめている。俺たち6人の世界が広がって、何千、何万の人々が入ってくる。
人気が出て、活動が軌道に乗って嬉しいはずなのに。不安な気持ちは小さくなるどころか際限なく膨あれ上がっていく。
綺麗に着飾った女性がシャークんと握手している。女性はニコニコと嬉しそうで、シャークんもニパッと笑っている。
とても眩しくて、不思議と胸が締め付けられる感覚がした。
「それってさぁ、恋してるんじゃない?」
「え、恋〜?みんな〜、あのスマイルに春が来たよぉー」
相手がシャークんということを隠し、不安な気持ちを打ち明けたら早速きりやんとぶるーくにクスクスと笑われる。
それでも、そんなことが気にならないくらい俺にとっては衝撃で。
だって相手はシャークんだ。
ずっと一緒にいる友達で、そして男で……。
しかし、それらを踏まえた上で、俺は納得してしまった。この気持ちに名前をつけるなら、それは”恋”という言葉が1番適している。
……ああ、俺はシャークんに恋をしたんだ。
「へぇ、良かったじゃんスマイル。頑張れよ」
みんなが俺を揶揄う声の中、ひとまわり低い声が聞こえる。
「……あー、うん。ありがとうシャークん」
恋をして、そしてきっとこの恋は叶わない。
「じゃあ次の企画はチームで別れてやるから」
なかむが「えい!」とボタンを押すとぽん!と組み分けが表示される。
「きりやんぶるーく、きんときなかむ、シャークんスマイルね!」
「えぇ〜、ぶるーくかよ!」
「なかむ〜!きりやんがいじめてくる〜」
「はいそこ喧嘩しない!」
いつも通り賑やかなメンバーを横目にシャークんに軽く挨拶をする。
「じゃあ次の企画の時はよろしく」
「……おう」
いつもならみんなに混ざって騒ぐはずのシャークんが不思議と静かだ。
「シャークん?」
「あ、俺この後用事あるから。ちょっとごめん」
ばたばたと慌ただしく出ていくシャークんは随分と急いでいるようだ。
「あれ?シャークんは?」
「なんかこの後予定あるらしい」
「あれ?そうだっけ。みんなの予定把握してるけどなんかあったっけなー」
きんときとなかむは不思議そうに首を傾げていたが、この時の俺は急に予定が入ったんだろうと深く考えることはなかった。
しかし、チームでの企画の時もなんだかよそよそしく、企画が終わった後もそれが続いた。
「シャークん、この後……」
「あー……ごめん。ちょっと用事が……」
「シャークん、あのさ……」
「ごめん!俺今忙しいからきんときに聞いて」
「シャーク——」
「きりやん!スマイルが聞きたいことあるってー」
人から鈍いと言われる俺でも流石に気づく。
明らかに避けられている。
みんなといる時は普通だが、2人で何かしよう、聞こうとすると尽く避けられる。
シャークんが好きだ。でも、それを態度に出したことはない。態度に出したら、きっとシャークんは困るし、迷惑だ。
だから、普段通りに接していた……はずだ。確証はないが。
「……嫌われた、かな」
最近は目も合わないしなんなら俺を見たらそれとなく進路を逸らされるレベルだ。
心当たりはない。
でも、きっと気づかれてしまったのだろう。
俺の瞳に以前とは違う熱があることに。シャークんをただの友達として見れなくなってしまったことに。
分かってる。そんなの自業自得だ。嫌われるに決まってる。
それでも、ただの友達としてでいいから、隣にいたい。嫌わないで欲しい。避けないで欲しい。
シャークんとのトーク画面を開く。
前の連絡は1週間以上前、それも事務的なものだ。
わずかに震える指でゆっくりと文字を打つ。
文字を打っては、あーでもないこーでもないと何回も消して打ってを繰り返す。
“今度さ、ご飯行かない?”
迷いに迷って、ようやく決めた言葉はシンプルなものだった。
さらにそこから数分迷ったのち送信ボタンを押す。
「……え?」
メッセージを送った瞬間に既読がつき、慌ててスマホを覗く。
バクバクと心臓が強く脈打つ。
1秒が何時間にも思えて、手に汗も滲んできた。
ピコン、と軽い音が鳴る。
“忙しくて無理”
「……は、」
詰めていた息を吐き出し、体が脱力感に襲われる。
「……はは、そう、だよな」
喉が詰まって、声が震えてしまう。
分かっていた。当然だ。
それでも、もし僅かでも希望があるならと手を伸ばした。
「…………ダメ、かぁ」
「え?シャークんとチームを組まないようにして欲しい?なんで?」
「喧嘩でもした?」と首を傾げるなかむにそっと頷く。
「喧嘩というか、嫌われた、から。シャークんのために、その、全く組まないってわけじゃないけど、頻度を落としたい」
詰まりながらも、なんとか事前に考えていた言葉を言う。なかむの目を見ることは出来なかった。
「嫌われた?シャークんにそう言われたの?」
「……いや、そうじゃない……けど、」
手に力が入りすぎて、握った指先が白くなっている。
爪が食い込んで痛むが、こうでもしないと情けない顔を見せてしまう。
「しばらくはお互い離れた方がいいと思うから」
「……分かった」
それから、チームを組むときにシャークんと一緒になることが減った。
相変わらずシャークんは俺を見ないし、避けている。
分かってる、当然だ。
出来ることならシャークんに言いたい。
友達で満足だから、特別になりたいなんて思わないから、だから嫌わないで。
何度も考えた言葉を反芻して、笑う。
「……嘘つき」
shk視点
「それってさぁ、恋してるんじゃない?」
「え、恋〜?みんな〜、あのスマイルに春が来たよぉー」
きりやんとぶるーくが揶揄って、なかむときんときが「ええ!?」と驚く。
スマイルの相談コーナーから場は一転、混沌と化した。
いつもなら混ざって揶揄うのに。
ひく、と喉が鳴って不思議と言葉が出ない。
中途半端に上がった口角が不恰好だ。それでもなんとか言葉を搾り出す。
「へぇ、良かったじゃんスマイル。頑張れよ」
上手く笑えていただろうか。
声は震えていなかっただろうか。
……たった今、俺の初恋は終わった。
その日は平常心が保てるか分からず、適当な言い訳で場を離れた。
その日の夜。
上手く寝付けず、頭を占めるのはあの時のスマイル。
俯きながら頬を染めて、愛おしいものをゆっくり思い出すような。
「……あんな顔、初めて見た」
紫の瞳には確かな熱があって。声もいつもより柔らかくて。
「……っ、」
密かな恋心。こんな時がいつか来るだろうと分かっていた。分かっていた、のに。
「……はぁ、つら」
スマイルに好きな人ができた。
好きな人に、好きな人ができた。
あの紫の瞳が見つめる先はどこなのだろう。
我ながら不器用だと思う。
それまでは平然と出来ていた振る舞いが突然出来なくなった。
「シャークん、この後……」
「あー……ごめん。ちょっと用事が……」
見え透いた嘘をついて、スマイルを避けてしまう。
こうしてスマイルを避けるのは何度目だろうか。
でも、スマイルとできるだけ話したくない。スマイルのことを見たくない。
だって、話してしまったら、見てしまったらもっと好きになる。
そんなのスマイルに迷惑だ。好きな人が出来たのに、こんな近くで、しかも男に好意を寄せられてるなんて。
だから、早く諦めなければ。終わらせなくては。
もう少しだけ待って欲しい。
あと少し。
そしたらきっと、全部受け入れられるはずだ。
きっと、笑顔で祝福できる。
スマイルとのトーク画面を開く。
明らかに態度を変えてしまった俺に、スマイルはどう思うだろう。
間違いなく良い印象はないだろう。このままだと嫌われてしまう。
だから何か弁明を、弁解をしたい。でも、なんで言えば良い?
結局、いつも通り一言も送れず、スマホの電源を落とそうとした瞬間。
ピコン
「えっ」
“今度さ、ご飯行かない?”
いきなり届いたメッセージにスマホを落としかける。
ご飯……スマイルと2人で?
「……なんで、」
そんなの決まってる。ここ最近の俺の行動について問い詰めるためだろう。
ダメだ、そんなのダメだ。
だって、そしたらバレてしまう。
きっと、気持ち悪いと思われてしまう。
俺たちの関係が、終わってしまう。
既読をつけてしまっているので返事を遅らせることは出来ない。慌てて文字を打つ。
“忙しくて無理”
送信ボタンを押してから、自分の送ったメッセージの冷たさに気づいた。
これではあまりにも俺が酷すぎる。
違う、本当はもっと上手く断りたかったのに。俺が悪いのに。
かといって今更メッセージを取り消すのも不自然だ。
スマイルとは明日も会う。だから、そのときに謝れば良い。
そう、思ったのに。
「え?シャークんとチームを組まないようにして欲しい?なんで?」
それが聞こえたのは偶然だった。
よく通るなかむの声と、もう1人の声。
「——嫌わ——から。シャークん——組まない————頻度を落とし——」
小さくて途切れ途切れでしか聞こえないが、それは間違いなくスマイルの声で。
急いで息を殺し、早足で場を去る。
トイレの個室に逃げ込んで、詰めていた息を吐き出す。
「……きらわれた」
嫌われてしまった。
スマイルに、嫌われてしまった。
当然だ。たくさん避けた。たくさん無視した。
自業自得、当たり前だ。
スマホでなかむとのトーク画面を開く。
“体調崩したから休む”
それだけ送ってすぐさま家へ向かう。
途中でコンビニに寄って。
普段飲まないお酒をたくさん買い込んだ。
家に転がり込むように帰って、まだ明るいというのに酒を開けて飲む。
「……不味い」
酒は苦くてやっぱり美味しくない。
それでも無理やり胃に流し込んで1缶、2缶と空けていく。
俯いた拍子にポタリと水滴が垂れた。
視界が滲んで、上手く見えない。
「すき……だったのにな……」
ポツリと呟くと止まらない。
「好きだったのに……!嫌われたぁ……さいあく」
ぼろぼろと涙がこぼれ落ちて、頭がガンガン痛む。
それでも酒を飲んで、飲んで。
いつの間にか朝になってしまったらしい。
スマホを開くと、”大丈夫?お大事に”となかむから返信が来ている。
テーブルに突っ伏して眠ってしまったらしく、テーブルの上には空き缶が転がっている。
体を起こすとまだ頭がガンガン痛んだ。
出来ることなら記憶を飛ばしてしまいたかった。だというのに、どうやら自分は記憶が飛ばないタチらしい。
昨日のことを思い出してまた涙がこぼれかける。
気を紛らわすために部屋を片付けてシャワーを浴びる。
鏡に映った自分は、目が真っ赤に腫れ上がり、とてもではないが人に見せられない。
なかむに連絡して今日も休むことにする。
大きく感情を発散させたからスッキリ!なんてことはなく。
次の日から復帰したが、企画を見せてもらうと明らかにスマイルと組まれる回数だけが少ない。
思わず手に力が入り、くしゃっと企画書が折れる音に、なかむが「どした?」と声をかける。
「……いや、なんでもない」
上手く笑えていただろうか。
明らかにスマイルが俺を避けて。
6人グループでも避けられるとこうも関わりが薄れるらしい。
事務的なことでさえ人を介して伝える。食事の時も1番遠い席。
スマイルの瞳は俺のことをもう見なくなって。
スマホを開くと、スマイルとのトーク画面はかなり下へ埋もれていってしまっている。
“忙しいから無理”
最後のメッセージを指でなぞる。
もし違う言葉を送れていたなら。
この時くらいはもっと素直になって。
“いいよ”
たった3文字、送ることができていたなら。
今はもっと違う関係でいられたのだろうか。
もし時間が巻き戻ったら。
最近、スマイルの夢を見る。
くだらないことで笑い合って、一緒に遊ぶ。
なんてことなかった日常が、今はとても遠くて眩しい。
俺が壊してしまった、戻ることのない日常。
この気持ちを諦めることができたら、また戻れるだろうか。
普通に笑って、ごめんねと謝って。
もう平気だと言えたなら。
そんな未来を思い描いてみる。
けれど、すぐに苦笑が漏れた。
「……無理だろ」
スマイルを好きじゃなくなるなんて。
そんなこと、できるはずがない。
もうぜんぶ、手遅れなのだから。
夢を見た。
スマイルが笑顔で俺に抱きついて、「好きだよ」なんて都合のいい言葉をいう。とても幸せで、そんな時間がずっと続けばいいと思った。
目を覚まして見慣れた天井が目に入る。
「……はっ、夢に決まってるだろ、そんなの」
全部、都合のいいただの夢。
sm視点
「そういえばさ、スマイルはどうなったの?」
帰りに6人で居酒屋に入った。
程よくアルコールが回った頃、きりやんに聞かれる。
「どうって?」
「ほら、恋したんだろ」
恋、という言葉を聞いて思わずシャークんの方を見る。当然だがシャークんは興味なさげにグラスを傾けている。
逆に、他のメンバーは興味津々で次々と先を促してきた。
グラスを持つ手に力が入る。
「あー……もう終わった」
「お、終わった!?」
もうどうにでもなれとグラスに残った酒を一気に飲み干す。
「嫌われた。もうマヂ無理……」
そう言って机に突っ伏せば、みんながケラケラと大きな声で笑い出す。
「ふふ……!お前、ぷっ……元気出せって!」
「あはは!まぁまぁ、次の恋があるよスマイルくん!」
みんな酔っているせいで馬鹿騒ぎである。
おい誰だ背中をバンバン叩いているのは。地味に痛いから力加減をしろ。
文句を言いたいが、今は情けない表情をしているので顔を上げられない。
後で覚えてろよ……!なんて考えていれば、一際低い声が聞こえる。
「ぷっ、あはははは!」
ここ最近聞くことがなかった笑い声に思わず顔をパッとあげる。
声の先には、笑いすぎたのか目尻に浮かんだ涙を拭いながら笑うシャークんがいた。
それだけで、俺の胸はきゅうっと締め付けられる。
誤魔化すようにグラスを煽り、中身がないことに気づく。
「すみません、生1つ」
「あ、俺も同じので」
シャークんも追加で頼み、ようやく俺はシャークんの飲んでいるものがオレンジジュースではなく、酒であることに気づいた。
「え、珍しいね。シャークん酒飲むの?」
「ああ、最近ちょっとね」
なんてことないやりとり。
でも、それがひどく懐かして嬉しい。
アルコールが入っているせいか、だらしなく顔が緩む。
「はは、うれし」
耳ざとく俺の言葉を拾ったきんときが「何が?」と聞く。
「シャークんとはなせて、うれしい」
追加で頼んだ酒が来て、それをまた一気に煽る。
頭がふわふわして気持ちいい。
シャークんが俺をみている。
緑の瞳に俺が映っている。
嬉しい。
「あー、確かに最近スマイルとシャークんギスギスしてたもんね」
遠慮のないぶるーくの言葉に今度は悲しくなってくる。
「きらわれた、かなしい」
めそっとした拍子にぽろりと涙が一粒落ちる。
「え、わ、どうしたんだよもう」
隣に座っているきんときがペーパーナプキンで俺の目元をぐいぐいと雑に拭った。
地味に痛い。
「え、な……!嫌ってたのはお前だろ!」
慌ててシャークんが立ち上がって怒鳴る。
何を言ってるんだろう。先に避けたのはシャークんなのに。
「きわれたから、きょりおいた」
またぼろっと涙がこぼれてきたのをみて、きんときが「あーもう、俺知らね」とペーパーナプキンを数枚ポイっと俺に投げる。
地味な優しさが心に染みて、さらに涙が出てくる。
「嫌われたって……!お、俺は……!別に嫌ってなんか……!!」
シャークんが続けるが、返事をする余裕ももはやない。
「えー?でも、俺シャークんが先にスマイル嫌いになったのかと思った」
「あ、僕もぉ。だって明らか避けてたもんね〜」
きりやんとぶるーくに現実を突きつけられてまた涙が溢れる。
「ちょっと男子ィー!スマイル君泣いちゃったでしょー!」
なかむが裏声を出しながら俺の背中をさする。
場はまさにカオスだった。
「ち、違う!」と否定するシャークんと、それに応戦する他のメンバー。無言で泣く俺。
最終的に、「ちゃんと和解しろよ」とシャークんの家に2人共々放り投げられ、みんなはさっさと二次会へ行ってしまった。
あまりにも冷たい。
泣きすぎて腫れぼったい目でシャークんを見れば、バツが悪そうな顔でそっと目を逸らされる。
またじわじわと涙が滲んできた。
シャークんがキッチンの方へ向かい、保冷剤とタオルを持って戻ってくる。
保冷剤をタオルに包み、それを目元に当てられた。ひんやりと冷たくて気持ちいい。
「ほら、冷やせよ。酷い顔してるぞ」
「……ひどいのはシャークんじゃん」
「それは、ごめん」
今度は否定しなかったシャークんに、「ほらぁ!」と畳み掛ける。
「おれのことさけるし。たしかにさぁ、すきになったのはわるかったよ。でもさ、ふだんどおりにしようとがんばったのに、ひどい!」
「えっ、えっ、待って待って」
頭を抱えながらストップをかけるシャークん。
「……なに」
「え、なんて言った?」
「しゃーくんがひどい」
「違う!そこじゃなくてもっと前!」
「?」
首を傾げる俺の肩をがっと掴みながら、「さっき好きって言った?」と聞くシャークん。
見開かれた緑の瞳いっぱいに俺が映っている。
「うん、すき」
シャークんが肩を掴む力が強まり、ハッとする。
「あ、ごめ……。きもちわるいよな、こんな、おとこに、ごめん、うそ、うそだからいまのわすれて」
シャークんは何も答えない。嫌だ、ダメだ。なんとかしなきゃと慌ててまた弁明する。
「すきじゃない、から。だから、きらいにならないで。ぜんぶ、うそだか……ん、」
ふに、と柔いものが唇を塞ぐ。
何が起きているのか分からないが、視界いっぱいがシャークんで、でも息が苦しくて。
後ろに下がろうにも後頭部をがっちり押さえられており動けない。
シャークんの背中を叩けばようやく解放される。
「……っ、はぁ……え?」
息を整えていると、またシャークんの顔が近づいて、座った体勢のまま思わず後ずさる。
しかし、すぐに壁にぶつかってそれ以上後ろに行けない。
手でシャークんを押さえようとすれば、その手を逆に掴まれて壁に押し付けられる。足の間にシャークんが体を入れて、いよいよ距離がこれでもかと近くなる。
ぎゅっと目を瞑れば、また唇に柔い感覚がした。
「ん……ふ、」
じたばた抵抗するも、シャークんはビクともしない。
息が苦しくて口を開けば、ぬるっと熱い舌が侵入してきた。
「んぅ!?」
舌で追い出そうとするが、逆に絡め取られて軽く吸われる。
もともと酒がまわってふわふわしていたせいか、気持ちよくて身を捩る。
たっぷり数分はたっただろう。ようやく舌が離れて、互いの口を繋いだ銀色の糸がぷつりと切れる。
こっちは息も絶え絶えでいるというのに、何故か余裕そうなシャークんはそのまま俺のまぶたや耳、首元にキスを落としていく。
「ちゅ……ふ、体震えてる。気持ちいい?」
「……っ、やめ」
今度は唇に触れるだけのキスを落とされ、シャークんは少し意地の悪い笑みを浮かべる。
「気づいてる?足、俺のこと離したくないって締め付けてくる」
「ち、ちが!」
「あ、じゃあ気持ち良くて足もじもじしてた?」
図星を突かれて一気に熱が顔に集中する。
「ふは、きもちーんだ。かわい」
シャークんにこのまま好きにされたらおかしくなってしまいそうで、慌てて口を開く。
「ねぇ、なんで、んっ。おれのこときらい、っ、なんじゃないの?」
「ん、……ちゅ、はあ?そんなわけねぇじゃん」
「んえ?」
「言っとくけど、俺のほうが先にお前のことが好きだったから」
「……え、は?」
意味がわからなくて嘘だと思うのに、シャークんの瞳は真剣だった。
「うそだ」
「嘘じゃない」
「だって、おれのことさけた」
「それは……ごめん。本当にごめん。スマイルに好きな人ができたから、迷惑だと思ったんだ」
「かなしかった」
「ごめん」
ぎゅっと優しく抱きしめられて、耳元でシャークんの少し掠れた声がする。
「好きだよスマイル。お願い、嘘なんて言わないで。ずっと好きなんだ……」
シャークんの肩がわずかに震えているのを見て、そっと俺も腕をシャークんの背中にまわす。
「俺も……好きだよ。お願い……嫌わないで」
「君たちさぁ、仲直りしてとは言ったよ?でもさ、いくらなんでも仲良くなりすぎじゃない?」
ソファの上でベッタリとくっつく俺らを見て、呆れたようになかむが苦笑する。
「え?え、なに?恋〜、しちゃったの?君たち」
「うん、しちゃった」
ぎゅっとシャークんに抱きつき頷けばシャークんに頭を撫でられる。嬉しい。好き。
きりやんは聞いたくせに俺の回答に「うぇ〜」とドン引きしている。
「え、もしかしてもうヤっちゃった?」
「あ〜、それはまだ」と今度はシャークん。
頭を撫でていた手がするりと首、背中、腰、と滑るように下へ行く。そのままトンっと尾てい骨あたりを軽く叩かれて「んっ」と声が漏れる。
「きゃー!」と黄色い?悲鳴をあげるぶるーくと嫌そうな顔をするきりやん、苦笑するなかむきんとき。
「なんでも良いけどさぁ、2人しかいないところでやってくんね」
「当たり前じゃん。つか見せねーよ」
「見たかねーよ!」
わいわい騒がしい中、シャークんが「ん」と手を出す。
よく分からないが合わせるように手を出せばそのまま恋人繋ぎされた。
透き通って綺麗な瞳が優しく弧を描く。
ふと、以前見た夢の景色と重なる。シャークんはこのあと、聞いたことのないくらい優しい声で。
「大好きだよ」
————「まるで夢のような」——完