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もとぱ

1 - 第1話

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64

2025年04月05日

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「元貴、今日のステージ……ヤバかったな」「んー、そんなに?」

「……めっちゃ綺麗だったよ。だから、ムカついた」


楽屋の奥。

機材の片付けが終わった頃、若井は無言で大森を壁際に追い込んだ。

汗がまだ引かない。

なのに、距離はどんどん縮まっていく。


「……ちょ、滉斗?」

「他のやつらがさ、お前の声聴いて、“やばい”“好きかも”とか言ってんの。聞こえてたんだよ」

「えっ、それって……」

「冗談でもムカつく。俺以外の奴に、元貴の声、聴かせたくない」


真っ直ぐな眼差し。

けれどその奥には、嫉妬と執着が隠しきれずに滲んでいた。


「……滉斗、怒ってるの?」

「うん。だから証明して」


大森の手首を掴み、壁に固定する。

そのまま、唇が重なった。


最初は甘く、けれどすぐに深く激しく。

唇を噛むように、奪うように。

それはキスというより、支配に近かった。


「ん……っ、や、ちょっと……っ」

「ダメ。声、漏らして」

「……こんなとこ、誰か……」

「聴かせたいやつには聴かせる。けど、この顔は、俺しか見られたくない」


震える身体を、強く抱きしめる。


「ステージでどんなに綺麗でも、どんなに遠くにいっても、元貴は俺のものだから」

「……独占欲、強すぎ」

「自覚してる。でも、止まんないんだよ。お前が魅せるたびに、俺の心がぐちゃぐちゃになる」


耳元で囁かれる声に、ゾクリとした。

首筋に熱いキスが落とされ、服の襟が引き下ろされる。

音楽とは違う、別の熱が身体を支配していく。


「滉斗、ほんとに……」

「黙って、俺だけ見てて」

「……うん、俺……滉斗にしか、こうならないから」


その言葉を聞いた瞬間、若井は一度深く息をついた。

そして、優しさを取り戻したように、唇をそっと重ねた。


「なら……全部俺に見せて。声も、表情も、全部」


部屋の奥、スタッフも戻らない深夜の楽屋で、

二人は誰にも邪魔されない世界に溺れていった。


それはもう、愛とか恋を超えて——

執着と欲望でしかないほどに、強く、甘く、重いものだった。

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