テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
涙を流した分だけ強くなれるとか
神様は乗り越えられる試練しか与えないとか
生きたくても生きられない人がいるとか、さ。
ああ、
なんて気持ちが悪いのだろうか。
綺麗事だから? 違う、違う。
どんな綺麗な言葉も
心に響かせることなく歪ませてしまう
【私】という生き物は
なんて愚かで気持ちが悪いのだろうか。
こんな汚い世界に
人間という非常に面倒な生き物として
生み落とされた私が
精一杯、自分らしく生きた人生の記録。
1992年 春
私はきっと大きな声で泣いたのであろう。
それはこの世界に生まれた事に対する
歓喜だったのか
それとも悲哀だったのか。
どちらだったのかなんて
その時の私にしかわからないことだけれど、
せめてその時くらいは嬉しくて泣いたのだと
今の私は信じていたい。
生まれた時の記憶なんてものは無いが
きっと初めて目を開いた頃には
すでに私の心は歪んでいたのだろう。
私のことだ、そんな気がする。
私の母親は
世間一般的なそれとは違う生き物だった。
ゲーマーの母親ではあったが
人生という名のゲームにおいて
母性というアイテムだけは
手に入れることができなかったのだろう。
そんな母親から
愛情というオモチャを
与えてもらえなかった私は
愛情というものに対して
貪欲な化物へと成り果てる。
実の父親の記憶は、無い。
私が生まれてすぐにいなくなった。
けれど、
母親が再婚してくれたおかげで
私にも父親と呼べる人が現れたのだ。
血の繋がりなど関係ない
そう思わせてくれるような
とても優しくて温かい人だった。
そんな私の大切な父親を
躊躇いもなく裏切り続けたのが母親だった。
思春期を迎えた中学校1年生。
私は月に3万円近いお小遣いを貰っていた。
中学校1年生にしては
大金すぎるそれは
自分の不倫を黙秘させるために
母親が私に与えた口止め料だった。
母親は自分の快楽のために
私を金で支配して育て上げたのだ。
父親は隔週で勤務時間が入れ替わる。
父親が仕事で家にいない日には
ママとごはん食べたか?って
電話をくれる優しい父親だった。
そんな父親に私は
うん、食べたよ。って返すしかなかった。
ママは何してるの?って聞かれたら
お仕事で疲れて寝ちゃったよ。って返した。
そんな生活が続くほどに
どんどん私の心は壊れていった。
大切な人のために
どうすることが正解だったのか
あの頃の幼い自分にはわからなかった。
結局、
今でも何が正しかったのかなんてわからない。
私は母親に金で飼われて
父親を裏切る人生に疲れ果てた。
だから、家を出る事にした。
14歳の夏、私は処女を捨てた。
出会い系サイトを使って
知らない人の家を渡り歩く人生が始まった。
体を委ねれば
優しくしてもらえることを知った。
今まで知らなかった
人の温もりを知った。
無知な私は幸せの意味を錯覚した。
まるで覚醒剤のように
SEXとリストカットの快楽だけが
私に生きてると思わせるようになった。
ここまでが私の人生の「起」である。
まず、一人目。
私を殺した母親へ。
一番最初に私の心を殺してくれたのは
あなたでしたね。
あまり目を合わせた記憶がありません。
学校での出来事を聞いてもらった記憶も
抱き締めてもらった記憶もありません。
そこで一度聞いてみたかったのですが
何故、あなたは私を生んだのですか?
まあ、デキてしまった結果
2択を選ぶしかなかったんでしょうけど。
できれば生んでほしくなかったと思います。
でも、不思議なものですね。
こんなことを言いながらも
私はあなたを嫌いにはなれないのです。
小さな子供は
虐待されても母親に縋ると言いますが、
今でもあなたに愛されたいと思う私は
小さな子供のまま
成長できていないのでしょうか。
あなたを想うと
涙が止まらなくなるのは何故なのでしょうか。
本当は甘えたかったです。
裕福じゃなくていいから
特別じゃなくていいから
「普通の家族」を知りたかったです。
怒られたかった。
褒められたかった。
愛されたかった。
卑屈な言葉でしか綴れない私ですが
100の意味を込めてあなたに送ります。
あなたに送る最期の言葉は
「こんな私に生んでくれてありがとう」
卑屈な言葉でしか綴れない私ですが
100の意味を込めてあなたに送ります。
あなたに送る最期の言葉は
「こんな私に生んでくれてありがとう」
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