一覧ページ
追放殿下は隣国で、セカンドライフをおくります! 〜良い人過ぎてセルフ追放。だけど良い人だったので、ケ
第33話 - 第32話 クイナが貰ったお守り言葉 ~クイナ視点~
37
1,837文字
2026年03月14日
一覧ページ
37
1,837文字
2026年03月14日
テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
47
372
66
――クイナ視点。
ご飯を食べて、お腹が幸せでいっぱいになって。
真っ白なベッドにピョンッと頭から飛び込むと、柔らかな布団に包まれてとっても幸せ気分になったの。
「クイナー? 眠いんならちゃんと布団に包まっとけよー」
「んー……」
アルドがなんか「風邪引くぞ」とか言ってる。
しょうがないから言う通りにしておく事にするの。
うーん、あったかいの。
その上アルドが『ご褒美ナデナデ』なんかするから、もうこの睡眠の誘惑には抗えないのー……。
このナデナデはとってもクイナを安心させるの。
だってアルドの手のひらは、いつも教えてくれるから。
クイナに『大丈夫だよ』って。
――大丈夫。
アルドはいつも、クイナにそう言ってくれるの。
初めて出会った時も、そうだった。
お母さんがお星さまになっちゃってから2回寝た次の日の事だったの。
川の水を飲んで、木の実を食べて。
ちゃんとお母さんが言ってた通り、ニョッキ山を目指して歩いて。
寂しかったの。
怖かったの。
それでもお母さんは空の上から見てるって言ってたし、「集落には特に近づいちゃいけない。鍋にして食べられちゃうから」とも言っていたの。
だからその言いつけを守って、お母さんの言った通り『ニョッキ山』を目指して頑張ったの。
だけど怖い目をした大きなワンちゃんに追いかけられて、逃げて、逃げて、逃げて。
それでもずっと追いかけてきて。
もうダメだって思ったの。
「お母さん、約束を守れない悪い子でごめんなさい」って、そう思ったの。
だけどね?
「――もう、大丈夫」
すぐ近くで大きな音がしたすぐ後に、そんな声が降ってきたの。
その声がとても優しくて、ふわりとしてて温かくて。
ギュッと閉じてた目を開けてみたら、そこには大きな背中があって。
「俺が助ける、だからそこでじっとしてろ」
その声を、クイナは何でか「信用できる」と思ったの。
だから「一緒に行くか?」と言われて伸ばされた手を、ちゃんと握り返したの。
クイナの前にしゃがんで「一緒に行けば、多分今より怖くも心細くも無くなる。なんてったって、俺は君より強いしね」って言ったアルドの『大丈夫』を信じる事にしたの。
アルドは色んな事を知ってて、何でも持ってて、ご飯もくれる。
一緒に居ると、心がホワッなれる人。
人間だけどクイナを食べちゃったりしないし、とってもとっても『いい感じ』なの。
アルドが居たから、人間の子と話すのも安心だったの。
だからメルティーと仲良くなれたの。
メルティーにクイナが獣人だってバレちゃった時も、アルドが「大丈夫」って言ってくれたからこそ大丈夫だったの。
メルティーとお別れした時は、とっても悲しかったの。
でもアルドは「またすぐに会える」って、「大丈夫」だって言ってくれたから、きっと本当にまた会えるの!
お母さんがお星さまになっちゃう前、『お守り言葉』を教えてくれたの。
お守り言葉は、クイナを守ってくれる言葉なんだって。
お母さんはお父さんから「愛してる」を貰ったから、お母さんもクイナに「愛してる」をあげるって、そう言ってたの。
クイナは知ってるの。
「愛してる」は「大好き」っていう意味なんだって。
だからクイナはあの森の中、一人でも頑張れたの。
でもね? お母さん。
クイナが持ってるお守り言葉は、もう一つだけじゃないの。
――大丈夫。
この言葉は、何度もクイナを守ってくれたの。
だからこれはアルドがくれたお守り言葉に違いないの!
アルドはね、多分完璧なんかじゃないの。
今日だって、串焼きでお口火傷してたみたいだし。
だけどそれでも別に良いの。
アルドがダメダメな時には別に、クイナが守ってあげればいいの。
そうやって一緒に居れば、きっといつでも《《ぬくぬく》》なの。
《《ぬくぬく》》は最強なの!
「……ったく、どうしたもんかなぁーコイツ」
どこからかそんな声が聞こえてくるの。
「最初は俺に『調停者の祝福』があるからなんだと思ってたけど、もしかしてコイツには魅了系の恩恵でもあるのか? 誰に対しても発動させるコイツの無警戒さ、どうにも危なっかしいんだよなぁー……」
何言ってるのか、良く分からないの。
でもクイナが皆と仲良くできるのは、アルドが近くに居るからなの。
アルドが居るから笑えるし、アルドが居るからぐっすり眠れるの。
そんな言葉は声にならない。
でも良いの。
そんなのは、クイナだけが知ってればいいと思うから。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!