コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
■事務所様、ご本人様、関係者様とは全く関係ございません。
□『俺たちの条件』とは別の「俺たち終わりにしよう」話
□ハッピーエンドかどうかは読み手次第かも。
□GⓉΛの釣り場の記録に lr がいるの見つけて反応する ru 可愛いよなぁ。
事務所へ辿り着けば、どこからか賑やかな声が聞こえてくる。
一体誰だ…なんて考えるまでもなくMECHATU-Aの8人だろう。
本当に仲良いよなぁ…。
なんて、前の俺であればそんな平和なことを考えていたのかもしれない。
ただ、今の俺にはその方向に持っていけるほど余裕はなかった。
「ははは!」
俺の恋人である小柳の楽しそうな笑い声が聞こえる。
その後すぐに次はどういったコラボをするか、何に興味があるのかという話が始まった。
俺とはコラボしてくんないのにね。
なんて拗ねた声が脳内に流れてくる。
いやいや、落ち着け俺、思考の行先が終わってんのよ。
そりゃ同期なんだし、MECHANAKA-Eなんだからぽんぽん話が出てくんのは当然ね。
「……まぁ、俺と一緒にいるより楽しいよなぁ」
ぽつりと、言葉を口にしてしまったら終わりだと分かっていた。
そこまで来たら終わってしまうと、俺の中でこの関係を終わらせてしまうと分かっていた。
それでも、楽しそうに笑う小柳の顔を見ていたら我慢が出来なかった。
そういえば、いつから小柳から連絡が来なくなっただろうか。
いつからプライベートな会話をしなくなっただろうか。
マッドなタウンで出会った時の会話なんて配信を前提にしたゲーム内で交わされた会話でしかない。
とりあえず、それが答えみたいなもんだ。
いつの間にか出して眺めていたスマホを片付けて今日の収録に挑む。
・
・
・
その日の夜、俺は別れを告げるために小柳を家に呼びだしていた。
飲物以外出せるものが無いから飯は食ってきてとちゃんと伝えている。
「お邪魔します」
「適当に冷蔵庫から取っていいから」
「あざっす」
小柳はこの時間をどういう風に捉えているのだろう。
久しぶりに恋人との時間を過ごせると思ってくれているのだろうか、それとも先輩に呼ばれただけという感覚なのだろうか。
いや、流石に前者でないと寂しいが?
後者だったら何もかも終わってんだろ。
「来てくれてありがとうね。今日呼んだのは話がしたくてさ」
「話すか?」
「そう。まぁ、ちょっと言いにくい話ではあるんだけど…」
例え前者であったとしても今の状況が続くなら俺の考えは変わらない。
ここで呼び出したからと言ってそれが変わるとも思えない。
だからやはり、ここで終わらせた方が良いと思う。
「別れよう、俺たち」
「へ…」
「ただの先輩と後輩に戻ろうよ、小柳」
俺ばっかり好きなの辛いよ。
俺ばっかり気にしてるの辛いよ。
俺ばっかり一緒にいたいと思うの辛いよ。
「な、何で?え、俺何かした?」
「何もしてないよ。…むしろ、何もしてないからっていうか」
「ま、待って。俺、絶対嫌だから。ロレさんと別れるとかマジで無理なんだけど」
動揺を見せる小柳が俺の横に慌てて移動してくる。
震える手が俺の肩に置かれ、あぁ、まだこいつに俺は愛されているのかと感じた。
「でもさ、俺ら今、全然関わり持つことなくない?連絡だって取り合ってないし」
「それは…そう、かもしれないけど…」
「お前だってヒーローの皆と一緒にいる方が楽しいでしょ?向こうとか色々予定立ててるみたいだし」
「いや、あいつらとの予定が増えるのは…」
「分かってるよ。同期だもんな。同じヒーローだもんな。分かってんだよ、そんなこと。それでも…」
こんな感情ぶつけたくなんて無かったんだよ。
でも、絶対またどこかで爆発してお前を傷つけるんだよ。
だったらもう終わりにしたい、解放してやりたい、お前を助けてやりたい。
「それでも…悲しいもんは悲しいでしょ」
小柳が俺を勢いよく押し倒す。
俺は何が起こったのか分からなくて、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。
「ロレさんだって、俺以外の奴とばっか仲良くしてる…」
「…」
「ロレさんから連絡くることだって全然無かったし、俺以外の奴の話ばっかして、俺以外の奴とばっか遊んで…俺だって悲しかった」
そうだ。
それを突かれるとかなり痛い。
俺も小柳も自分から積極的に連絡するタイプでは無いし、遊び相手は沢山いる。
まだ小柳が連絡くれてた時も、俺は果たしてちゃんと恋人らしい返し方はできていただろうか。
いや、きっと他の人に対するものと同じように素っ気ない返事しかしていなかった気がする。
互いに互いの距離感を測っていただけなのか。
それを俺が、俺が一人で被害者面して落ち込んでいただけなのか。
「ロレさんが嫌じゃないなら、俺、これから押しまくるよ」
「……良いの?」
「俺はただ我慢してただけだし」
「違う…俺はまだ、お前と関係を続けても良いのかなって…。酷いことしたの気付いちゃったし…」
自分の酷さに気付かずこんなことをやらかした俺は、尚更離れた方が良いのではないか。
そんな考えが頭の中をぐるぐると回る。
「いやいや。だから、ロレさんと別れるのがマジで無理なんだって」
「う、うん」
「絶対分かってないでしょ。じゃあ、今から教えてあげますね」
「え?」
「今まで伝えられなかった分、伝わってなかった分、全部教えてあげます。今から」
「え?え?」
「早めに来て良かった。明日オフでしょ?俺もなんでたっぷり時間ありますね」
俺の上に跨ったまま小柳が上に着ているものを脱いでいく。
く、喰われる。
「愛してますよ、ロレさん」
でも…でも……
「…俺も、愛してる…」
泣きそうなくらい幸せではあるよ。
・
・
・
あれから数時間、外が明るくなるまでたっぷり時間をかけて愛し合った。
目を覚ましたらきっと声がガラガラになっているだろうロレさんのために水を取り出しておく。
こういう時は冷えたものより常温か温かくしたもので冷たいものはNG。
で、温めてもロレさんが起きなければ冷めていくだけだから常温。
体力を限界の限界まで使い切ったロレさんはぐっすりと眠っていて、珍しく多少のことでは目を覚ましそうにない。
「……ふっ、はは…」
そんなロレさんを見ていたら思わず笑いが漏れた。
ねぇロレさん。
あんた、きっとあのまま俺から離れていた方が良かったですよ。
「あはは……ははっ…」
事務所でロレさんが俺たちのこと、俺のこと見てたの知ってたんです。
そこで何を思ったのかもなんとなく雰囲気で察してたんです。
『あの状態になる』まで待ってたんだから、ずっと。
あの場から離れていくロレさんを見て、俺が何を思ったか知ってますか。
―かかったー
って思ったんですよ。
知らないでしょうね、知ってたら別れ切り出したりしてないですもんね。
「ロレさん…心が弱くなって、ふにゃふにゃになったところを固めてくれる他人が現れたらどうなると思います?」
あぁ、可愛い。
「俺にはこの人しかいないのかもしれないって、依存しちゃうんすよ。離れられなくなって、自分から深くまで堕ちていっちゃうんすよ」
どうしようもなく愛おしい。
可愛くてたまらない。
「ゆっくり固めていってあげますね。抜け出せないところまで堕ちていけるように。心も、感情も、思考も、何もかも俺で染めてあげる。身体にも教えてあげる。俺がいないと駄目になっちゃうくらい」
ねぇロレさん。
「ふ、…あはははっ…」
もう俺から離れらんないね。
「愛してますよ、これからも、永遠に」
解放なんてしてやんないよ。