あのまま、外に出てきてしまいました……。
アーサーさんに申し訳ないですね、
「……私、何がしたいんでしょうね、」
毎日、働いて働いて働いて働いて。そんな生活、国民の笑顔を見ないと、やりがいを見出さないとやっていけません。
それなのに、なぜこの国はこうも社畜が多いのでしょうか。なぜ自殺率は年々増えていっているのでしょうか。私にも分かりません。
自分で言うのもあれですが、まだ日本は平和な国です。やはりイタリア君みたいに、ハグを習慣づけると良いのでしょうか、
……やはり、恥ずかしくて出来ませんね、
その瞬間、急に頬に温かい感覚が走った。
「ひっ!?」
「ははっ、びっくりしすぎ〜」
「フ、フランシスさんでしたか、」
温かい感覚の正体は、缶コーヒーだった。
「あげるよ」なんて言われるけど、砂糖が無いと私コーヒー無理なんです。すいません。
「どうしたの。そんなとこで黄昏れて」
「……いえ、なんでも。」
「もーまたそれじゃん。」
あ、またやってしまいました。嫌われたでしょうか……。辛い顔は多少寝たから直ってるはずなのですが、
「……酷い顔。喧嘩でもしたの?」
「!」
「当たり?」
「……はい、実はアーサーさんと……。悪いのは私の方なのですが、」
「え!?意外……菊ちゃんって怒ったりするんだね」
「そりゃあ、普通の感情ぐらいはあるので、」
「…そうだね(笑)」
「すいません、暗い話になってしまいましたね。せっかく来てくださったのに……。近くの店にでも行きますか?」
「お、いいの?じゃあお兄さん奢っちゃおっかなぁ」
「え、いえ!私が奢りますよ、!」
「いいっていいって。最近菊ちゃん元気ないみたいだし?今だけでいいから甘えてほしいな。」
「……はい、ありがとうございます」
「久しぶりの和室だー。…んー…畳のいい匂いー」
「気に入ってくれて嬉しいです。」
「いろいろありますよ。何か食べたい物はありますか?」
「んー、じゃあ菊ちゃんのおまかせで!」
「………分かりました(笑)」
「うん、やっぱり日本の料理は美味しいね!」
「フランシスさんほどじゃないですよ」
「もーケンキョすぎ!」
「……で、菊はこれからどうするの?」
「……あぁ、帰る場所のことですか、」
「心配はいりません。ちゃんと考えているので。最後に食事が出来て良かったです。」
「………そう、なら良いけど。」
「…………ねぇ菊ちゃん」
「?」
「俺とアルフレッドならまだしも、あいつ不器用だからさぁ、?慣れてない奴と喧嘩するとドギマギしちゃうんだよ」
「だから、アーサーのことよろしくな。」
「……」
「ずるい人ですね。私の言葉の意味、分かった上で言ったんですか?」
「んー?なんのことかなー?」
「……俺、菊ちゃんが居なくなるの嫌だな。賑やかじゃなくなる」
「……アルフレッドさんとアーサーさんがいれば世界会議はいつも賑やかですよ。私が居なくても変わりません。」
「世界会議のことじゃないよ(笑)」
「? じゃあなんの、」
「とりあえず!まだあっちに行くのは早いんじゃない?俺、菊ちゃんのこととか良く分からないけどさ、菊ちゃんの悩んでること聞くぐらいならしてやれるからさ。ね?」
何気ない一言。初めてだった。相談していいの?なんて疑問が湧く。
でもその前に、あんなことを言ってしまったアーサーさんに謝らないといけません。話はそれからですね。
「ありがとうございます、フランシスさん。私、ちゃんと帰ります」
「うん。良いニュースを期待してるよ?」
「……はい(笑)」
期待されているはずなのに、こんなに身軽なのは久しぶりだった。人に期待されるたび、それが国としてのプレッシャーに変わっていったから。
早く良いニュースを持って帰らないといけませんね。
私は急いでマンションへと走っていった。
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