テラーノベル
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目の下を指の背でするすると撫でるとスマイルは気持ちよさそうに目を細める。猫ちゃんみたいでかわいい。よしよしと頭を撫でるとスマイルがこちらを向いて紫紺と目が合った。
「準備どこまでやった?」
「あ、洗うだけ……その先は流石にちょっと、初めてだし自分でやるのは怖くて」
初めてでしかも本当に突然だったのに、スマイルひとりで洗浄までしてくれたのだから申し分ないと思う。なんなら洗浄も俺が全部やろうかと思っていたくらいなのに。
スマイルへの気持ちを自覚してからというもの、スマイルしかそういう目で見られないようになっていた。他の何を視界に入れても効果なし。男同士のやり方を調べた時もスマイルが蕩ける姿しか脳内にはなくて。そういう関係になることなんて現実には起こりえないと分かりつつも空想上で乱れるスマイルだけを追っていた。
つまり、一生実践することはないだろうと信じて疑わなかった頭の中だけの知識を総動員させる時が今。
全力でスマイルを甘やかしたい。そんな気持ちで紫紺を見つめる。
「いやいや十分。さすがにスマイルに全部任せる訳には行かないからさ。…俺がさわってもいい?」
「……お手柔らかに…頼む…」
ベッドに腰掛けていたスマイルは肩をトンと押されてそのまま後ろに倒れ込む。
今度は抵抗しないままで期待を含ませた瞳でとろりと見つめてくるスマイルに、きんときは笑みを深くした。
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頭をくしゃりと撫でられると緊張で凍りついた身体から力が抜けるのが分かる。
「こわい?」
「ん…ちょっと」
「俺もこんなの初めてだからさ、聞きかじりの知識しかないから痛かったらすぐ言って。」
「…はじめて、」
「うん?」
「や、なんかすげー慣れてそうな感じあったから。今だって…俺と違って、余裕そう、だし」
「……それは、ない」
きんときはスマイルの右手を取って自分の胸元に押し付ける。薄いジャージの生地越しにスマイルの手のひらに伝わるのは、確かな拍動ときんときの体温。
「俺も、めっちゃ緊張してる。スマイルと同じだよ」
思い返してみれば、ずっと自分のことに必死できんときをちゃんと見れていなかったのかもしれない。
腕を伸ばして背中を引き寄せるときんときは嬉しそうに抱き返してくる。上に乗っかられてぐぇ、と苦しげな声が出たがこの息苦しささえ幸せに感じられた。
ローションの包装を破るきんときを眺めながら、そういえば道中のコンビニでこれとゴムを買ってたってことはほんとに初めてなのか、と思考を巡らせる。そういうことに慣れているなら家に常備していそうな気もする。知らないけど。
思考を他所に飛ばしていたのがバレたのか、きんときが唇を尖らせる。
「……何、考え事?」
「ん、まぁ……きんときのこと考えてた」
「はー、かわいいのも大概にして……今から俺に抱かれるんだよ?」
きんときの節ばった綺麗な指が、スラックスの上から性器をゆるくなぞる。きんときとのキスで既に兆していたそれは些細な接触でも硬さを増す。
「……ッ」
「はは、興奮してるんだ。嬉しい…」
耳元に撫で付けるような声はきんときの心の底からの安堵の声音だったが、スマイルは羞恥心を煽られてしまって顔が熱くなる。恥ずかしくてたまらない。
夢の中でずっとあんなことをしていたからこれは仕方がない条件反射なのだと誰に向けたわけでもない言い訳を脳内で連ねていて、きんときの手の動きへの反応が遅れた。
「もうこれ脱いじゃおっか」
「ぁ、ちょっ……!」
きんときがベルトのバックルに手をかけるとカチャカチャと手際よく外される。そのままずるりと下着ごとスラックスが引き抜かれて下半身が一糸まとわぬ姿になる。サッと足を閉じようとしたところにきんときが体を捩じ込んできたせいで、ゆるく立ち上がった性器が目の前に晒されて顔がカッと熱くなった。
「わ、ちゃんと勃ってる……♡」
「…あ、んま見んなよ…」
恥ずかしくなってきんときのジャージの股座に目を向けるとそこもしっかりと反応を示していてほっとする。自分ばっかり気持ちよくしてもらっているのがなんだか申し訳なくて、きんときにも施そうと手を伸ばすとその手首をゆるく掴まれる。
「……俺は、後でいいから。今はスマイルを気持ちよくさせて?」
優しいのに有無を言わせない笑みでそう言われると引き下がるほかない。
こくりと頷けば性器にきんときの綺麗な指がそっと沿わされて、そのままゆるゆると刺激を与えられる。決して激しくはないがそれでも確実に快感を与えてくる指先に高められていく。物理的な刺激と、本来人前に晒すものではない場所をきんときに触られているという事実とで頭がくらくらとした。
ローションの滑りを足した指先に亀頭をぐりと抉られて婀娜な声が出る。
「んん゙……♡っは、ァ♡きん、とき…っ…」
「ん…スマイル、きもちいい?」
気持ちいい。出したい、出したい。
しかしあともうすこし、というところできんときの手の動きは緩慢になり、終いには動きを止めてしまった。
きんときにも何か考えがあるのだろうが、快感に夢中になっている脳はその先を求めてしまって、勝手に腰がカクンと動いてきんときの手に先っぽを擦り付けてしまう。
「だーめ。1回出しちゃう前にこっち触らせて。」
嗜められるように根元をぎゅっと握られて射精感が無理やり押し戻される。同時にもう片方の手で臀部をついと撫でられた。
とうとう後ろに触れられるのかと思うと無意識に息が詰まる。そんなスマイルの様子に気づいてか、長い前髪をさらりと横に流されてきんときと目が合った。
底の深い群青はスマイルをやわらかく見つめている。その温かさにスマイルは胸の奥でつっかえていた憂慮がじわりと溶かされるような気がして、やはりきんときには敵わないのだと思い至る。
「大丈夫だよ」
「……うん」
「じゃあ、ちょっとずつ進めるから。まだ冷たかったらごめんね」
ローションを手元でぐちゃぐちゃと捏ねて滑りを良くした手で後ろに触れられる。未経験の感覚に背筋が震えたが、この程度でビビっていてはこの先どうしようもない。努めて息を大きく吐いた。
指先で穴のふちをくるくるとなぞられて背筋がぞわぞわとする。気持ち悪いのと気持ちいいのとが混ざったような、背徳的な感覚がした。そのまま撫でられ続けていると筋肉に変に力が入ってひくりと引き攣った感触があった。目を伏せると、もう片方の手で前髪をゆっくりと梳かれる。それを合図に指先が窄まりへとゆっくりと侵入していく。
「っ……ふ、ぅ……」
「息ちゃんと吐いて…ゆっくりだから大丈夫」
「ふーっ……は、ぁ…」
眉根を寄せて感覚を逃がすように息を吐く。ゆっくりと進めてくれているので痛みこそないが、内臓を直接触られているかのような違和感がある。
「……ぅぅ……い、たくはない、けど……」
「きもちわるい、って顔してんな。」
「ケツに、指突っ込まれてるんだから、あたりまえだろ……」
ローション足すね、と言われて指がずる…と引き抜かれると、背筋を何かがぞくぞくと駆け上がる感覚に歯を食いしばった。
「、ぅ゛ぐ、……っふ…」
おかしな声が出てしまいそうなのを喉を締めて耐えると喉奥から変な音が漏れる。なるべく抑えている声も距離が近いきんときには聞こえてしまっているのだろう。
変な声を聞かせてしまって申し訳ないと思うと同時に、自分の口から声が漏れる度にきんときがふぅ、と吐く熱い息が耳元にかかるのが心地よくて、訳が分からなくなる。
スマイルは震えるまつ毛を伏せて、全てをきんときに委ねた。
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