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人外研究所組のバレンタインデー
2/14の昼下がり
いつものように俺、ランス、うるが牢屋の中で過ごしていると牢屋の目の前に一人の研究員が来た
吸傘「はっぴーばれんたいん!なのじゃ~」
吸傘は牢屋の中に入り、三人それぞれにチョコを配っていく
自俺には小さなチョコがラッピングされたもの
ランスにはチョコのカップケーキ
うるには二人とは比べ物にならないほどの色とりどりのチョコ
渡されたチョコの量に格差を感じる
ランス「そういえばそんな時期だったね。ねね、後で侑磨に渡したいからもっとちょーだい」
カップケーキを美味しそうにかじりながらランスが言う
吸傘「儂から貰ったチョコをあげる気か!?」
ランス「えー、しょうがないじゃん?僕たちはご飯とかお菓子は全部研究員たちから貰ったものしかないんだから」
吸傘「確かにそうじゃけど…」
吸傘はランスと話しながらおねだりしているうるにチョコを食べさせている
ひな鳥に餌を食べさせている親鳥のようだ。親と子にしては身長がおかしい気がする(まぁ、姉妹だが)
そんな二人を眺めながら渡された小さなチョコのラッピングを剥がして食べている
銘「ん、意外とうまい」
吸傘「そうじゃろ?儂の手作りじゃぞー」
銘「ふーん」
一つ二つとどんどんチョコを口に放り込み、あっという間にチョコが無くなったいった
無くなったチョコを確認した吸傘は俺の手首を掴む
銘「え、なに…」
吸傘「全部食べたな?^^」
吸傘が浮かべる笑みに嫌な予感がする
逃げようにも口周りをチョコまみれにしたうるが後ろに付いていて逃げられない
吸傘「銘、お願いがあるんじゃが…」
銘「断る!」
吸傘「そんなこと言わずに~」
銘「やだ!お前の持ってくるお願いなんかどうせあいつ関連だろ!」
吸傘「おぉ、正解じゃ」
銘「嬉しくない!」
俺らの会話をランスはくすくす笑いながら眺めている
他人事のように遠目から見ているランスはとても楽しそうでむかつく
吸傘「お願いじゃよー、このままだと霊音がまともに仕事しないんじゃー」
銘「そんなこと俺に言われてもなんだが!?」
吸傘「元はといえばお主のせいじゃぞ?お主、霊音にチョコあげないと言ったらしいじゃないか」
銘「あ?…あー、そう言えば」
確かに今日の朝、目を輝かせて『チョコは?チョコは?』と霊音がせがんできたので『やるわけねぇだろ』と言った記憶がある
そのせいであいつが仕事をしない?んなもん知った子っちゃねぇよ
というか霊音が牢屋の外から恨めしそうにこっちを見ているのが見えるのは気のせいだろうか
吸傘「お願いじゃ~。ここの最近仕事が溜まってるんじゃよ~」
銘「だーかーら、俺に言われても知った子っちゃねぇんだって。それよりもこの時間お前が仕事したほうがいいだろうが」
吸傘「いやじゃ!儂が仕事したらうると遊ぶ時間が無くなる!」
銘「それこそ知った子っちゃねえよ」
仕事をするより妹を甘やかす時間のほうが大切だと言った。言い切った
このシスコンは本当にどうしようもない
ここで駄々をこねるぐらいだったらそこにいる霊音を回収して仕事に行ってほしい
ガキのように文句を言う吸傘に冷たい視線を浴びせていると、さっきまで遠くで笑っていたランスがちょこちょこと近づいてきた
ランス「銘、もうあきらめたほうが早いんじゃない?」
銘「は?」
ランス「このままだと吸傘に付きまとわれて、でも部屋に戻ったところであそこの霊音がめんどくさいだけだよ?」
銘「…」
ランス「ならさ、諦めて大人しくチョコ渡してあげなよ。ね?」
ランスには言い合いで勝てない
なんでこいつは齢7歳のくせにこんなに口が達者なんだよ
真っ向勝負で戦ったら丸め込まれてしまう気がする。というかもう丸め込まれてるな
吸傘「お願いじゃー、銘~」
ランス「ほら、吸傘もこう言ってるんだし」
銘「……はぁ、わかった、わかったよ」
こうなったらもうやけくそだ
吸傘に渡されたチョコを片手に霊音に近づく
銘「は、ハッピーバレンタイン…//」
霊音「…!」
銘「俺がめんどくさい目に合うから仕事してくれよ」
霊音「する!頑張る!」
後ろでランスたちが笑ってるのがわかる
お前らが言ってきたことだろうが!笑ってんなよ!
霊音「銘くん、これ宝物にしていい!?」
銘「するな!食うんだったらさっさと食え!」
侑磨「え、僕は?」