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※中盤の会話がめっちゃ読みにくいです。
舜太side
秋になって冬がきた。
この時期寒がりな柔はいつもくっついてきて俺で暖を取る。
でも人目を気にしてコートのポケットで恋人繋ぎ。
左のポケットだけよく破れたっけ。
…だから今年は左手が寂しい。
柔からの手紙を受け取ってすぐメッセージを送った。
電話は繋がらなかったけど、しばらくしてから既読になった。
だからもしかしたら柔が見てるのかな…なんて思ったりして。
あれから毎日送ってるけど返事は来ないまま。
メッセージを見てるのが柔のお母さんやったらめっちゃ恥ずかしいけど。
けど、やっぱり少しでも柔のことを知りたくて…
居ても立っても居られず休みを取って柔の実家へ行った。
柔に似たお母さんが出てきて、困った顔でここにはいないって言った。
でもだからって、はいそーですか…って帰れるわけなくて。
会えるまで帰らないって粘ってたら、仕事帰りのお父さんに近所迷惑だと怒られた。
それでも玄関に佇んでたら、ため息を吐いたお父さんに家に上がるよう言われた。
初めて聞く柔のこと。
病気のこと、治療のこと
それから失った脳の機能のこと。
俺のことは覚えているけど、全ての記憶じゃなくて断片的であること。
新しいことは覚えにくいこと。
気を付けていても忘れてしまうこと。
スマホの複雑な操作はできないこと。
だから俺に返事ができないこと。
社会復帰は難しいこと。
そのことで自分を責めてしまうこと。
父「まだ若い君には君の人生がある。
あの子はあの子で今、必死に頑張っている。
だから、そっとしておいて欲しい」
母「舜太君、今日は来てくれてありがとう。
柔太朗はね、ずっと舜太君のこと気にしてたのよ。
本当のことを言えないままこっちに来ちゃったから。
でもね、病気のことを言ってしまったら優しいあなたが自分の夢を諦めてこっちに来ちゃうんじゃないかとか、新しい恋の邪魔になるんじゃないかって考えてたみたいなの」
「…そんな」
母「会わないって決めたのも、同じ理由かもそれないわね。
いつも、舜太君には幸せになって欲しいって言ってたから…
不思議なことにね、それは今も変わらないのよ」
「今も…ですか?」
母「えぇ。あなたのメッセージを眺めて笑いながらそう言ってるわ」
今日はもう遅い時間だから、と柔の部屋に泊めさせてもらうことになった。
柔が使ってたベッドに寝転がる。
かすかに柔の匂いがした気がした。
そういえば一回だけ、このベッドでしたことがあったな。
あの時は途中でお母さんが帰って来て…
慌てて服を着たら柔の服でさ。
ふたりで顔を見合わせてめっちゃ笑った。
感傷に浸りながら部屋を見渡す。
ふと雑誌が積まれた机の上にある写真に目が止まる。
柔が3年の夏、インターハイに行った時のものだった。
試合に負けて悔し泣きする俺と笑顔の柔。
本当は柔も悔しくて泣きたかったのに、俺が先に泣いちゃったから泣けなくなっちゃったんだよね。
あの頃も今も変わらず好きなのに
心の中に柔がいるけど
俺の隣に柔はいない。
…会いたいな。
俺のことを忘れててもいい。
思い出してくれなくてもいいから
柔に、会いたいよ。
俺…欲張りだから
夢も諦めないし柔のことも諦めたくない。