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飼い猫のミアが姿を消してもう3日になる。
縁側に出したままの缶詰は乾ききっている。
私は強烈に心もとなくなった。身体の一部が消えてなくなったような、寒々しい気持ちに襲われる。どこかで事故にあっていたらどうしよう。そんな不安が胸をよぎり、暗い水の底に引きずり込まれたように息苦しくなった。
その時、チリンと鈴の音が確かに聞こえた。間違いない。ミアの首輪につけた鈴の音だ。
私のこわばった身体は弛緩し、温かい血液が全身を駆け巡っていく。目頭には熱いものを感じた。
それからミアは,いるよと言うように風が吹く。
冬だからすごく寒い。
でも私の隣は暖かい
「ミアだ」思い出が振り返る。
ミアは,重いがんにかかり,病院へ行く前
「正月には戻ってくるから」
そういうように優しく笑いかけるミアの顔が霞んだ。ミアの声はいつもより少しかすれているように思えた。
こんなに寂しいことは今まであっただろうか。
夢だといいなんて…夢でも嫌だ。
同時に嗚咽が止まらなくなってしまう。
私の手をそっと引きはがすミアの手は冷たく、小さく震えているのがわかった。そして意を決したようにミアは背を向けた。
「いってらっしゃい」
そういうしかわたしにはできなかった。
最後にミア大好きだよ。
(にゃー)
ッ!!
ミアだ。…泣
今まで楽しくて幸せいっぱいだった思い出が振り返る。
今までありがとう。なんてことしか言えないけど大好きだよ。