『国と恋と戦争と。』
Season II Episode 11「はじまりの朝、ふたりで」
――窓から差し込む朝日が、カーテンの隙間からゆっくりと部屋に溶け込んでいた。
まぶたの裏に光を感じながら、日帝は小さく眉をひそめる。まだ眠い。けれど、その心地よさに包まれるように、逃げるように再びまどろもうとしたときだった。
「……日帝ちゃん、おはよ」
低く優しい声が、すぐ耳元で囁かれた。
「っ……」
反射的に目を開けると、すぐそこにアメリカの顔があった。サングラスは頭に上がっていて、金色の瞳がまっすぐこちらを見ている。日帝の頬が一気に熱くなった。
「な、なんでそんな近くに……」 「へへ、起きる瞬間、見たかったんだもん。……かわいすぎて我慢できなかった」
アメリカがにやりと笑う。日帝は思わず布団を引き上げて顔を隠した。
「……っ、ばか……」 「でもさ、こうして隣に君がいるって、ほんと夢みたいだな」
優しく撫でられる髪。日帝は顔を隠したまま、そっと目を閉じた。
胸の奥がくすぐったくて、でもあたたかい。昨夜のことを思い出して、鼓動が早くなる。
「朝ごはん、何か食べたいものある? 俺、作るよ」 「……アメリカが?」 「うん、任せて!」 「……キッチン燃やすなよ」
呆れたように言いながらも、口元は自然と緩んでしまう。こんな朝が、ずっと続けばいい――そんな風に、思ってしまった。
「それより……日帝ちゃん、起き上がれる? 昨日の夜……けっこう、激しかったし……」 「~~っ、米帝ッ!!」
顔を真っ赤にして枕を投げる日帝。その枕を軽やかに受け止めながら、アメリカは声を上げて笑った。
「ははっ、そういうとこも、好きだよ」
日帝はふてくされたように顔を背けたまま、でもその耳は、ほんのりと赤く染まっていた。
――ふたりの新しい朝が、こうして静かに始まった。
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ガチめに口角上がるて