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akpyak 二人きりの大晦日
キスシーンあり、同棲してます
大晦日の夜の、あったかいこたつの中。テレビを付ければ、どの番組も何時間もあるような年末特番をやっている。適当な番組を選び、ぼんやりと眺める。
今年は色々なことがあったなぁ、なんてことをしみじみと思い出す。モノパスとして活動を始めて、沢山の人に応援してもらって、沢山の幸せをもらって……
「Akiraさーん?」
「おそば、できましたよ?」
感傷に浸っていたその時、俺の目の前に蕎麦が置かれた。ピヤノが先ほどから作っていたものだ。ほかほかと、美味しそうな湯気を立てている。上機嫌ににこにこと笑う彼は、俺の隣に潜り込んで来た。
今年あったもう一つの出来事と言えば、彼と付き合い始めたこと。ついには同棲までしてしまった。一年前の俺に今の状況を教えてもきっと信じないだろう。
「何考えてるんですか?おそば冷めめちゃいますよ?」
ピヤノが俺の顔を覗き込んでくる。やっぱりかわいいな。こんな可愛い彼女と年を越せるなんて、人生で最高の大晦日だ。
「や、なんでもないよ」
「そうですか?じゃあ食べましょ!」
「うん、ありがとう」
「いただきまーす!」
蕎麦を一口分取り、口に運ぶ。
「あふっ」
「やけどしないでくださいよ?w」
ふーふーして少し冷ましてから、もう一度口に運ぶ。やっぱり彼女の手料理は格別に美味しい。
「うまっ」
しばらくの間、無言で蕎麦を食べる。歌番組の歌声と蕎麦をすする音だけが二人の間に流れた。
「明日、初詣行きません?」
蕎麦もそろそろ食べ終わる頃に、ピヤノが突然提案してきた。
「どうして?」
「や、そんなに深い意味はないですよ」
「初めて二人で迎える正月ですし、ちょっと特別なことしてみたくないですか?」
「いいよ!行こう!」
「ありがとうございます!」
いつになく楽しそうな顔のピヤノを見ると、こちらまで楽しくなってしまう。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
「それじゃ、お皿片づけますね」
二人分の食器をもって、ピヤノが立ち上がる。なんとなく離れたくなくて、腕を引っ張って抱き寄せた。
「おわっ」
「ちょ、なにするんですか」
「まだ行かないで」
「もうちょっと隣にいて」
「……はいはい」
ピヤノは俺に顔を近づけると、唇に触れるだけのキスをした。
顔を離して、じっとこちらを見つめる。
「すぐ戻るので、これで我慢してください」
にこりと笑い、俺から離れてキッチンに行ってしまった。
顔に熱が集まるのがわかる。こたつにずっと入っていたから、なんて言い訳は通じないくらい体が熱い。
「っ……反則じゃん…///」
俺の小さなつぶやきは、テレビと蛇口の水音にかき消された。
やっぱりピヤノは本当にかっこいい。こんな彼のそばで年を越せるなんて本当に幸せだ。
来年も、こんな幸せがありますように。
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