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MIGI♡SAKU

第2話 - 【💜】長い夜

2025年04月14日

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cham

【sk】

「佐久間ぁ」

「んー？」

「俺佐久間のこと好きなんだよね」

「…はぁ！？」

いやいやいや、なんで今！？

俺んちでゲームの真っ最中、生きるか死ぬかの瀬戸際。

ムードもくそもない。

そもそもそれはどういう意味の好き？

「あ、佐久間死んだ」

「あーーーーっ！！」

画面に映し出されたGAMEOVERの文字を呆然と見つめる。

え、もしかして俺を陥れるための冗談だったりする？

混乱してぐるぐるする頭を整理していると、コントローラーを持っている手をちょんちょんとつつかれた。

「俺今告白したんだけど？」

「えっ、あ、うん」

だからどっち！？

なんでお前はそんな平然としてんだよ。

「ちゅーしていい？」

「待って待って待って！分かんない分かんない！」

返事だってしてないし、本気なのか冗談なのかも分からない。

戸惑っていると、持っていたコントローラーを外されて、替わりに手を重ねられる。

全然理解が追いつかない頭をフル回転してみても、何を考えているのか分からないふっかの瞳が俺をより混乱させる。

「いいや、しちゃお」

えっ、と声を上げる前に唇に柔らかいものが触れた。

目の前にはにやりと笑うふっかの顔。

「はっ…なに…なにしてんのお前…」

声が震える。

お前は冗談のつもりかもしれないけど、ずっとふっかのことが好きだった俺にとっては正に青天の霹靂。

女の子が大好きなふっかを振り向かせるのは無理だと、親友のポジションを大事に守ってきた。

望みなんかないって言い聞かせ続けて、最近やっと気持ちに整理をつけられたところだったのに…

「俺のこと諦めようとしてたでしょ？」

・・・は？

「分かるよ、俺だってそれなりに長い間佐久間のことそういう目で見てきたし」

「え、ちょ…何言ってんの？」

「俺これでもビビってるから」

重ねられた手をすり…と撫でられる。

「ずっと一緒にいるなら友達の方がいいのかなって思ってたんだけど、俺のこと諦めて他行っちゃったらやだなって」

なんだよそれ。

俺がお前のこと好きなの知っててずっと泳がせてたってこと？

こっちはお前の一挙手一投足に喜んだり落ち込んだりしてたのに、それすらもお見通しだったってこと？

「自分勝手だな…俺の気持ちは無視かよ」

「俺、勝てる勝負しかしないから」

ビビってたんじゃなかったのかよ！

じとっと睨むと余裕の笑みを返された。

「で？どうする？」

「知らない」

こんなやられっぱなしなのは納得いかない。

ふっかも追う側の苦しみを知ればいい。

そっぽを向いて不貞腐れていると、重ねられていた手がするすると上に上ってきて俺の首の後ろに添えられた。

「じゃあ分かってもらうしかないね」

いたずらっ子みたいににやりと笑って、耳元にキスをされる。

「好きだよ、さくちゃん」

一気に全身が熱くなる。

「ははっ、首まで真っ赤！」

言いながら次は首にキス、それから顎、頬、瞼と次々にキスの雨が降ってきた。

何を言っても言いくるめられてしまうから、目と口をぎゅっと閉じて早く終われと祈る。

「抵抗しなくていいの？」

むかつく！！

俺だってやればできるんだからな…

覚悟を決めて、ふっかの唇にキスをしようとした、が、

「だーめ」

勇気を出して近付けた唇はふっかの手に塞がれてしまった。

「俺のこと好きじゃない人とはキスしない」

はああああ！？

じゃあ今までのはなんだったんだよ！！

キッと睨み付けるが、反省するどころか愛しそうに微笑まれる。

「ほんと、かあいいね♡」

お前まじ覚えとけよ…

「じゃあお前とは一生キスしない！」

「えー好きって言ってくんないの？」

「…好きじゃないし！」

ふーん…と目を伏せるふっか。

自分の唇を撫でる仕草が色っぽくて、さっきあの唇とキスしたことを思い出してドキドキしてしまう。

「よし、分かった！」

じーっと唇を見ていると、ふっかがいきなり顔を上げたので急いで目を逸らす。

多分見ていたのもバレていて、ふっと鼻で笑った後、わしゃわしゃと俺の頭を撫でてきた。

「俺、さくちゃんに好きって言ってもらえるように頑張るね」

「…え」

「さくちゃんが今まで頑張ってくれた分俺も頑張らなきゃなって」

「ふっか…」

さっきからふざけてばっかだったけど、ちゃんと俺のことも考えてくれてたんだな。

ふっかが俺のこと好きでいてくれるんなら、俺だっていつかはちゃんと気持ちを伝えたい。

こんなぐだぐだなのじゃなくて、今度はふっかが驚いてくれるようなシチュエーションで告白しよう。

「俺も時間もらえるなら嬉しい。ちゃんとするから待ってて」

「え、何言ってんの？今日中に言わすよ？」

えっ？

「待てないもん」

エッ？？？

「言ったよね、勝てない勝負はしないって」

後退ろうとする腕をぐっと掴まれる。

にっこりと笑みを浮かべた後、反対の手がゆっくりと俺の頬に触れた。

「覚悟してね？」

こうして、俺の人生史上最も長い夜が始まった。

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