{na side}
「naさん!!どーすればいいの〜!」
私の部屋にetさんの声が響き渡る。
午後20時、明るかった空は暗くなり満月だけが輝いている、そんな夜にetさんから相談があると言われ、今は絶賛女子会中だ。話の内容はこうだ。etさんは、urさんと付き合って1ヶ月ほどたった。だが、付き合う前とあまり変わったことはなく、男女の馴れ合いもあまりないらしい。最近etさんはそれを不安に思っているらしく、私に相談したということだ。
「..だってさ、普通ならハグしたいとか、キ…キスしたい..とか思うんじゃないの⁇」
「ま、まぁ。多少は…」
「..私ってそんな魅力ないかな..⁇」
「いや!あるよ!ないわけがない!!」
「でも…」
私からしてみれば、urさんがetさんと付き合って手も出さないとか、そんなことありえないって思ってたんだけど。あのurさんなら、もうキス以上のことまでしてると勝手に思っちゃったけど。
「手は繋いだ?」
「うん、」
「ハグは?」
「たまーに、」
「キスは?」
「まだ一度も..」
「じゃあ、etさんからキスをおねだりしてみては?」
「っ恥ずかしいよ..」
「でも、そうしないとずーっと今のままだよ?」
「そ、そうだよね」
「まぁ、そんなに不安にならなくても大丈夫だと思うよ。てゆーか、絶対大丈夫!」
「..そ、そう?」
「うん」
urさんがハグとかキスとかしてこなくても、そんなに不安になることはないと私は思う。だって、urさんわかりやすすぎるから。明らかに私に接するときと、etさんに接するときは態度が違いすぎる。etさんと話してる時なんて、周りに砂糖とかチョコとかが浮かび上がってくるぐらい甘々な雰囲気が漂ってる。よく喋るし、よく笑うし、よく子猫でも見るかのようにメロメロな視線をetさんに送ってる。etさんは気づいていないみたいだけど…。それに、etさんのことが好きじゃなくなったとか、そんなことは絶対にないと思う。絶対に。何か理由があるはず。
「etさん、とりあえず明日、urさんにキスをねだってみよう」
「え、ええええぇぇぇぇ!」
「etさんもずっと受け身じゃダメだよ。行動あるのみ!だよ!」
「うぅ、わかった〜。やってみるよ〜」
「それでよし!」
これは、私が間に入ってどうこうしていい問題じゃない。それに、urさんの様子だとetさんにおねだりされたら断るわけがない。 私は、そっとetさんを見守っていようと心に決めた。
それから後も何時間かetさんと喋り、夜も更けてきたところで女子会をお開きにした。
後日
{et side}
昨日、naさんが教えてくれたおねだりをurにしてみようと思う。正直めちゃくちゃ不安だし緊張してる。urは嫌がるかな..。うちのこと嫌いになるかな..。っって!!そんなこと考えてちゃ、始まらない!そう考えながらurの部屋へ向かう。
確かこの時間だったら部屋でゲームしてるはず..。私はurの部屋の目の前で立ち止まる。心臓がバクバクしてて、他の音がかき消されてしまうくらいにうるさい。体が動かない。あと一歩、ドアノブに手をかけてurにおねだりする..それが、そのあと一歩が、、踏み出せない。
ガチャ
その音と共に、いきなりurの部屋のドアが開いた。
「っうわっっ!!」
「…ってetさんじゃん!」
「まじびびった〜」
「いや、こっちのセリフな?笑」
「笑」
「んで、どうして俺の部屋の目の前にいたん?」
「すぅー…えぇーっとぉぉ..」
私がもじもじしていると、urはぷっと吹いて笑いながら言った。
「部屋に入りたかったんだね笑」
「な..なんでわかったの?!」
「いや、わかりやすすぎだろ」
「まぁ、そう……..かもしれない」
「なんだよそれ笑、どうぞ。」
そう言われて私はurの部屋へと足を踏み入れた。urの部屋はとても整頓されていて綺麗な部屋だった。基本黒色がほとんどで、ピアノやギター、観葉植物なんかも置かれていて、とてもおしゃれな雰囲気がある。パソコンの画面がついていて、さっきまでゲームしていたことがわかる。urの部屋を見ながら床に座る。
「突然お邪魔しちゃったけど、何か用があったの⁇部屋から出てきてたし、」
「あぁ〜、飲み物を取りに行こうとしてただけだよ」
「あっ、じゃあ私が持ってくるよ〜」
「え、いいよ。俺がいく」
「いや、urはここで待ってて、、」
urの部屋に入れたはいいものの、ここにいると変に緊張してしまい、居ても立っても居られなくなってしまう。だから意地でも飲み物を持って行きたかった。私はurに見えない圧をかけ、urに承諾させた。怪訝そうな顔をしてこちらを見てたけど…まぁ、いいよね⭐︎
「持ってくるね」
そう言って立ち上がった途端、シュッっと布が擦れ合った音と共に足が滑ってバランスを失い、前に倒れてしまった。けれども、転んだにもかかわらず痛い感覚はさほどなく、私はついに丈夫な体を手に入れたのかと思った。でも、目を開けた瞬間、なぜ痛みが感じないのかわかった。..私はurを下敷きにして倒れていた。私はurに飛びかかっていたのだ。
「っごめん!ur、へーき?」
「..あ、あぁ…」
「痛いところは?」
「…..なぃ…ょ…」
urは目線を逸らし顔を林檎のように真っ赤にして答えた。その表情を見たら、今、私もこの状況を理解した。密着した体、唇と唇が触れ合いそうなほど近い顔の距離、urが私に抱きついているような体勢。これまでにない、死ぬほど近い距離でいるから、今すぐurから離れようと思ったが、私はいいことを思いついてしまった。…..今、ここでおねだりすれば..いいんじゃね⁇…..と。
「ねぇ、ur…。」
「..e…etさん?…早く..起き上がろうよ…」
「urは、私のこと嫌い?」
「え…だ、大好きだけど、」
「..ね、キスして」
「…..は?」
「キスで私のこと大好きって伝えて」
「… 」
私はurの瞳をじっと見つめる。多分、私の顔にはキスしたいっていう文字が、デカデカと書いてあるだろう。urは最初は顔を真っ赤にしていた。思考停止していたのか、石のように微動だにしなかった。だが、ゆっくりと動き出し、互いの唇と唇が近づいていく。私は目を瞑った。少しした頃には、私の唇には柔らかい唇の感触が感じられた。
「…..っ」
やさしくて穏やかで、あたたかくて親密な口づけだった。
目を開く。そこには、私を見つめているurがはっきりと見える。
「…..伝わった?」
「…うん..」
私たちは互いに見つめ合い、それにしか目が離せなくなった。視線が絡み合う。2人は磁石のように引き寄せられ、もう一度キスをした。
それからというもの、etさんは相談に乗ってもらったnaさんに感謝して、無事に悩み事が解決した。
と思ったら、今度はurがキス魔になってしまい、新たにetさんの悩みができましたとさ。
めでたし、めでたし。
今回は少し長めです。少し積極的なetさんと、etさんを大事に思いすぎて、手がなかなか出せないurさんを書きました。どうでしたか。
ご感想をいただけたら嬉しいです。( ͡° ͜ʖ ͡°)
コメント
5件
最高です.ᐟ.ᐟur彡キス魔でえとさん少し積極的なの尊いです.ᐟ続き気になります笑
ふわぁぁぁ(ᐡ ̳>𖥦< ̳ᐡ)天才過ぎます.ᐟ.ᐟほんとに上手ですね.ᐟ.ᐟ
🎸さんキス魔になったんだ…最高すぎる💕💕今回もめっちゃ好みの作品でした!