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『おお・・・これは大きいね、流石貴族用の別荘』
新居は新築の大きな一軒家だった。
入口は二階になっており、貴族たちは基本二階以上のフロアで過ごすことになっているらしい。
使用人用の入口は1階の隅の方に設置してある分と裏の勝手口になっているらしい。
食材を勝手口から搬入していたロノは嬉しそうに明かりの差し込むキッチンについてバスティンと語り合っている。
『じゃあ皆は1階の部屋を使うことになるんだっけ?
今回は個室だから好きな部屋を使って良いよ』
主は1階の個室のフロアを見て回り、十分な広さと収納のある個室に満足そうに頷いた。
「ありがとうございます、主様!
なんて素敵なお部屋なんでしょう・・・
ここにティーカップの棚を置いてみたりしたいですね・・・あ、カーテンも好きな柄に出来ますね!」
主と一緒に部屋を見て回ったベリアンは嬉しそうに内装をどうしようかと悩み始めていた。
主は各自荷物を1階に運び込んだら、2階の食堂に集合するように声を掛けた。
執事たちはとりあえずは各階ごとにまとまって部屋を使うことにして荷物を運び込み、食堂へ急いだ。
『おや、早かったね』
お茶を飲みながら待っていた主はバタバタと駆け込んでくる執事達に少々驚いた様子でそう言った。
「主様をお待たせするなんて、執事としてあるまじき行為ですから!」
一番に到着したハウレスが胸を張ってそう宣言する。
主は嬉しそうに笑うと、屋敷の見取り図を出して皆に説明を始めた。
『この屋敷は3階建てで地下は無いから、全員日の当たる部屋を使えるのが嬉しいね。
1階は使用人達の寝室とキッチンとランドリーがあるだけらしい。勿論トイレとかはあるから心配ないよ?
2階に大浴場と使用人用のバスルームがあるから、迷わないようにね。
それと、寝室が2つと客間も2階にあるから私はそこで寝ることになりそうだ。
客間は一応開けておいて・・・寝室の一つは治療室に使おうか。
3階は基本的にはプレイルームとかに使うらしいけど、会議室とか、仕事部屋とか、そういうのに使って欲しい』
「お気遣い感謝いたします!
それでは主様、私に3階の一番小さなこの部屋を頂けますか?」
ナックは元々仕事部屋を持っていたため、恐らく倉庫に使うであろう小部屋を仕事部屋に所望した。
『もっと広くても良いんだよ?』
「いえ、広い部屋はルカスさんの研究や音楽係の活動に必要でしょう」
なるほどと頷いた主の後ろから、フルーレが興奮気味に細長い部屋を指さした。
「そ、そしたら、俺ドレスルームと仕立て部屋としてここのお部屋を貰っていいでしょうか!?」
『勿論』
ルカスが見取り図と屋敷の庭を確認してから角の部屋を指さした。
「こちらを研究室として頂いてもよろしいでしょうか?ここなら薬草を育てやすそうな庭を見ることが出来ますから」
『ああ、勿論』
そして、一番大きな部屋は会議室に、二番目に大きな部屋は演奏室になった。
まだまだ部屋は余っているので、2階と3階の部屋はトレーニングルームや瞑想部屋などに活用される予定だ。
『さて、個室は決まったけどベッドがないな?』
「カーテンも欲しいです!」
「インテリアも買いてぇ」
「壁紙も変えなくてはいけませんね」
「図書室用の本棚も欲しいです」
『よし、買い出しだ!』
「お、お待ち下さい予算を・・・」
『あー大丈夫大丈夫、銀行にいっぱいお金あるから』
心配するナックを置いてけぼりにして主はさっさと借りた馬車に乗り込んでしまった。
馬車の中でバスティンが思い出したように主にねだり始めた。
「主様、馬も買いたいんだが」
『気に入ってるならレンタルじゃなくて買い取りにしようか?』
「ありがとう」
「でも馬小屋を建てないとお馬さんが寝るところが無いんじゃないでしょうか・・・」
ムーが心配そうにそう言ったので馬は準備ができてから買うことになった。
街に到着すると、主は銀行で金を下ろしてナックに持たせ、家具屋に向かった。
『セミダブルロングのベッドが18台、すぐに必要なんだが』
[す、すぐにでございますか・・・在庫を確認してまいりますっ]
「主様、シングルで良いんじゃないかな・・・?」
ミヤジがそんなに大きなベッドは・・・と渋ったがはみ出して良いわけ無いだろうと怒られて引き下がった。
[お待たせいたしました!すぐご用意できますが、どのようになさいますか?配達ですと少し日数がかかりますが・・・]
『転送するから大丈夫だ』
MAKO
主はひとりひとりの個室にベッドを転送し、ついでにデスクセットも注文して次の店に向かった。
支払っていたナックは金貨を渡す手が震えていたという。
「あ・・・」
ベリアンは雑貨屋の前で足を止めた。
持ってこられなかった大事なコレクションの中にあったティーカップにそっくりなカップがショーウィンドウに飾られていたのだ。
『とりあえず既製品のカーテンを買おう。
大きさは・・・あれ?ベリアン?』
主は横で必要なものリストを確認してくれていたベリアンが居なくなっているのに気づき、近くの店のショーウィンドウの前にいるベリアンを見つけた。
『ティーカップか・・・集めてたもんな』
「あ!申し訳ありません主様!」
ベリアンは急いで主のもとに駆けてきた。
『いや、良いんだよ。コレクションもまた始めないといけないもんな。最初のカップは私からプレゼントさせてくれ』
そういった主は高級なティーセットをお買い上げ。
さっきのベッドより高かったらしく、何度もナックに本当に買うのか確認された。
その分カーテンは安いもので統一された。
その後、街中をゆっくり歩いて周り、執事達の欲しがるものを片っ端から買っては転送し、レストランで鱈腹飲み食いして帰った。
ナックは深夜、今日だけでパレスの1年分の予算を使い切るほどの出費をしたことを震える手で帳簿につけるのだった。
「主様!無駄遣いは辞めてください!!」
そんな声が寝静まった屋敷に響いていたらしい・・・
コメント
1件
読み終えました!今回もほっこりしましたね〜。新しい屋敷の間取りと各部屋の割り振り、それぞれのキャラの希望がちゃんと反映されてて、なるほどなあと。それにしても主様の宙ぶらりんの金銭感覚、毎回笑わせてもらってます。ベッドはセミダブルで聞いてない!ってツッコミたくなりますね(笑)。ナックの心労が目に浮かびます…。でもベリアンに最初のティーカップをプレゼントするシーン、すごく素敵でした。ああいう気配りが自然にできるの、主様の魅力ですね。