テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
青ニゴ桃番外編です。バレンタインネタ。
バレンタインだということを前日に思い出して急いで書きました…!
ネタ出しは青桃推し仲間のお友達が一緒に考えてくださいました(いつもありがとう)
ほのぼのギャグを書くつもりだったのに、最後どうしてこうなったのかは私も分かりません…
「聞いてないんやけど」
バレンタイン当日、まろがそんなことを言い出したのは先日の俺の配信がきっかけだった。
バレンタイン数日前の俺の個人配信で、高校時代、男友達に「どうせお前らバレンタインに何ももらえないんだろ」と手作りクッキーを配った話をおもしろおかしくしたところだった。
「聞いてない」の、まろのこちらを責めるような…いや、どこか拗ねるような一言に思わず首を捻る。
「そりゃ言ってないからな」「言うほどのことでもなくね?」なんて言葉を、目の前のちょっとお高いアイスと共に飲み下す。
「そんなうまいもんでもなかったと思うけどね、料理慣れもしてない男の手作りクッキーなんて」
「うまいかうまくないかじゃないやん」
「じゃあ何なんだよ。今年はチョコ好きなまろのためにちょっと珍しいやつ取り寄せてあるんだけどなぁ」
割と値段も張る、ネットの口コミでも高評価だったものだ。
絶対喜ぶと思ったのに、こんなタイミングで「手作りもらったことない」なんて拗ねられてもな。
そう思ったその時…、だった。
玄関のインターホンが軽快な音を鳴した。
まろと一緒にそのモニターを見やると、ピンク色の髪を直しながら佇んでいる…もうすっかり見慣れてしまった姿が目に映った。
「何しに来たんだよ」
腕を組み背中を壁に預けた態勢で、招かれざる客に向けてそう尋ねる。
俺の低い声に「おーこわ」と苦笑いを浮かべた俺そっくりなアンドロイド…ニーゴは、持っていた紙袋を少しだけ持ち上げて見せた。
「今日バレンタインじゃん。まろにチョコあげようと思って」
そう言って袋から取り出したのは、上質な細長い箱だ。
「昨日作ったんだよね。ないこがいない間に」
「は!? 作った!?」
まろの手に押し付けられたその箱は、どう見てもどこぞの高級店のようなラッピングが施されている。
促されるまま開けたその中からは、手作りとは思えないくらい完璧に整った形のトリュフが数粒並んでいた。
見た目も美しいその芸術品のようなそのチョコには、まろがこだわる「手作り」という付加価値まで存在するのか。
それを知って煽っているわけではないだろうけど、ニーゴが「ないこも何か用意したんでしょ?」と尋ねてきた。
…うるせーな、そんな完璧な手作り品出された後に、高級とは言え既製品をドヤ顔で出せるわけないだろ。
声には出さなかったそれを、ニーゴは読み取ったようだった。
「ふーん」と呟いた後、くるりとまろの方へ向き直る。
ずいと身を乗り出すようにして、その距離を詰めた。
「じゃあ今日俺があげるのがまろにとって初チョコ?」
嬉しそうに言いながら、ニーゴはトリュフを一粒長い指でつまみ上げる。
…こいつドSに調教されてるんじゃないのかよ。
まろに対してだけはこの軟化した態度なの、どうにかなんないのか。
思わず「ニーゴのリセットボタンどこだっけ」、なんて不穏なことを考えていた時だった。
あいつはまろに向けてそのトリュフを差し出し、「はい、あーん」なんて宣っている。
目を見開いたまろの口元に差し出されたトリュフは、箱の中でも一番きらきらしていたピンク色。
ベリー系の味だろうか……なんて、のんきに考えてる場合じゃない!
次の瞬間、ニーゴが差し出したそれに横からぱくりと食らいついた。……「俺」が。
いや、ぱくりなんてかわいいもんじゃないな。
がぶりと歯を立てると、「いたいいたいいたい!」と、痛覚があるのかどうかも怪しいアンドロイドは勢いよく手を引っ込めた。
それを「ふん」と見やりながら、がりぼり、と硬めのトリュフの表面を噛み砕く。
だけどどんなに調教されて性格を変えようとしても、ニーゴの大元は俺だ。
それくらいのことで引くはずもなく、めげることもない様子で次の一粒を「はいあーん」と再びまろの方へ差し出す。
まだ口内に残されているチョコがあるのに、俺はその2個目にも横からかぶりついた。
「痛いって!何なんだよないこ!!」
ニーゴの悲鳴に似た声が響き渡る中、俺はもぐもぐと無表情でトリュフを咀嚼する。
おかげでこの後も5粒ほど立て続けに食らいつくというくだらない攻防戦を、目の前のアンドロイドと繰り広げる羽目になった。
噛まれ続けた指をさすり、不満を零しながらニーゴは帰っていった。
この後社員や他メンバーにも手作りチョコを配り歩くのだと言う。
あの紙袋にはまだたくさんのチョコが入っているんだろう。
手作りにこだわるなんて、本物よりも遥かに人間らしい。
思わず苦笑いを漏らした俺を、ないこがじとっと見据えてきた。
ピンクの瞳が少し不機嫌そうに細められる。
「そんなにいいのかよ、手作りが」
「え?」
「ニーゴが手作りしたって言ってチョコ出してきた時、まろちょっと嬉しそうだった。ちょっとにやけてた」
「は!? いや、そんなわけないやん…!」
手作りにしては売り物みたいに凝ってるな、さすがアンドロイド…確かにそう思いはしたけれど。
決してにやけてはいない。
しかもそれが俺の元に到達するよりも前に、全部お前が喰らいつくしたんだろ。
責められる謂れはない。
「…せっかくまろのために珍しいチョコ買ったのになぁ」
言いながらないこは、持参していた荷物の中から大きめの箱を取り出した。
どうやら俺のために用意していたらしい。
きっと値が張っただろう、おしゃれなラッピングが施されている。
その中の一つをひょいと指先で取り上げた。スクエア型の薄いチョコだ。
さっきのニーゴに対抗して「あーん」でもしてくるのかと思ったら、目の前の男はそれを自分の唇で挟むようにして咥えた。
…まじか、自分で食うんかこいつは。
「え、俺にくれるんちゃうん? それ」
決して俺は、「手作り」にこだわっていたわけじゃない。
自分の知らない誰かがそのないこの「手作り」を高校時代に享受したことがあるという事実に嫉妬してしまっただけで、決してそこにだけこだわっているわけじゃない。
だから、手作りじゃないからと言って欲しくないわけではないのに。
…いやむしろないこからもらえるなら欲しいだろ、既製品でも。
「うん、まろのだよ」
チョコを咥えた隙間からそう返事をしたかと思うと、ないこは唇の端を持ち上げて笑った。
そのまま俺の後頭部に手を回し、ぐいと力強く引く。
「…っ」
少し乱暴に合わさった唇。
その数ミリの間から薄いチョコが差し込まれる。
そしてすぐに、お互いの口内の熱でどろりと溶け始めた。
甘さと共に、濃厚な香りが鼻を突き抜けて脳内を刺激する。
溶けてすぐに跡形もなくなってしまったはずのチョコを追い求めるように、何度も何度も角度を変えてキスをした。
やがて唇を離した瞬間、ないこが「ふふ」と笑う。
「はい、これも『手作り』ってことで」
…なんなんその独特すぎる身勝手な理論。
確かに既製品とは言え、こんな渡し方はないこにしかできない手法だけれど。
突拍子もないのに「らしい」持論。
思わず吹き出すように笑ってしまった俺は、もう一度ないこの唇に自分のそれを重ね合わせた。
「…いったぁ、まじでなんなんだよあいつ」
まろのマンションを出て歩道を歩きながら、俺は指をさすった。
自分がアンドロイドじゃなく生身の人間だったら、きっと歯型が残っていたに違いないくらいの力強さだった。
「分かってないなぁ、ほんとに」
ないこが阻止しなくても、まろは俺が「あーん」と差し出したチョコはきっと食べなかったよ。
まだないこからのチョコも受け取ってないみたいだったし、そこは義理堅いまろなら譲らないだろう。
やんわりと俺の手作りトリュフは後回しにしたに違いない。
…俺はアンドロイドだから傷つく心なんてないって言ってるのに、それでも俺を傷つけないように配慮しながら。
…まったく、あの社長は矛盾だらけだ。
まろに愛されてるのは自分だと自負していながらも、他の人間がまろにアピールしようとするのには全力で阻止しに来る。
まろが他の人間に惹かれることなんてないと、もっと理解するべきだ。
たとえそっくりに造られた俺にでさえ、きっとまろはなびいたりしないのに。
「…あれ?」
そんな思考を巡らせた瞬間、体の一部がズキンと疼くのを感じた。
…なんだこれ、どこだ…?
探るようにぺたぺたと自分の体を触ってみる。
疼くというより…痛みに近いだろうか。
そしてそれを一瞬感じたのはこの辺りだったかも…と思う場所で手を止めた。
「…胸…?」
知識としてしか知らないその「痛み」を、まさか自分が感じたのかと愕然とする。
…違う、そんなわけない。俺は傷つく心なんて持っていない。
そう思った時、今度は自分の手にぽつりと雫が落ちた。
思わず空を仰ぎ見たけれど、もちろん雨が降っているわけでもない。
「涙」だ。それも知識としてしか知らない。
自分の性能として備わっていることは知っていたけれど、機能する日が来るなんて思ってもいなかった。
「なんで…」
自分の中に何が起こっているのか、把握すらできない。
戸惑い気味に目元をこすって、まだ浮かびそうな雫を拭う。
そんな俺のもう片方の手の中では、空き箱しか入っていない紙袋の持ち手部分が、かさりと音を立てて揺れた。
コメント
2件
うわ……うわ、うわぁ……✨️✨️ 語彙力がないのは申し訳ないのですが、もう全てがよかったです💖💖 桃さんは、ニゴさん敵対視して、一生懸命チョコをブロックするところとか、どうにかして自分の既製品チョコを手作りチョコに作り上げようとするところとかが可愛かったです💕 青さんは、たとえ今の桃さんが自分のことを想っていたとしても、過去の桃さんごと独り占めしたいのが、それこそ青さんらしい🙂↕️ ニゴさんは、青さんが想っているのは見た目が同じでも、桃さんただ1人だと理解しきっているのも、ベースが桃さんだからこそ、桃さん自身の気持ちを汲み取っているのもいい。 そして、最後のシーン!! あれは、ベースが桃さんじゃなければできなかったのでは!?🤔 桃さん→青さんだったからこそ、生まれたこの作品。青さんの気持ちを確かめるためにロボットを作ってしまうのなら、それはそれは精巧なものだったはず。つまり、無意識下のうちにニゴさんの性格(感情)として 青さんの想いも込められていたのでは……?その気持ちをバレンタインで認識したんじゃないかなぁ……と勝手に考察してます🙄🙄 ……なんか、桃さんロボット超えて、チャットAI付きのクローン人間作ったと言ったほうが正しい気がしますね🤭 改めて長文になってしまいましたが、バレンタイン番外編ありがとうございました🍫💞
嫉妬桃さん可愛いなぁ、とか呑気に思いながら読んでたらまさかの展開…!! ロボットに感情が芽生えるのすごい、、、いい😭 全部横取りして食べる嫉妬心丸見えの桃さんと結局青さんのことを理解していたニーゴさん、どっちも応援したくなる…😿 チョコの渡し方いいですね、!!口渡しすっごいめろすぎる、、、 どこかほろ苦いバレンタインネタありがとうございました!🍫🖤